710 / 882
召喚士編
episode647
しおりを挟む
やや呆れ気味にキュッリッキが言うと、
「1秒でもリッキーのそばにいたいんだ!」
「そうです。たかが仕事ごときに邪魔されませんよ!」
書類から顔を上げず、2人はきっぱりと言い切った。
「ぶー」
せっかく一緒に寝るのだから、少しは楽しい話でもしたかった。しかし2人共書類に見入って、すっかり仕事モードである。
暫く背中を見つめていたが、焦れて2人の間に移動して、交互に顔を覗き込む。でも少しも振り向いてくれない。
「もお、つまんなーーーーい!」
キュッリッキは2人の手にしている書類をワシャッと掴むと、ひったくるように奪い取り、ポイッと宙に放り投げた。
「リ、リッキ~~~」
「あわわ……」
ベルトルドとアルカネットは、ヒラヒラと宙を舞って落ちる書類を慌てて拾い始めた。
「これ、アルカネットのだな」
「ベルトルド様のはこっちのですね」
拾った書類の中身を確認しながら、交換しつつ再度確認する。
「この、イタズラっ子め!」
ベルトルドはキュッリッキに飛びかかると、そのままベッドへ押し倒した。
「キャッ」
「悪い子はオシオキだぞ~」
「えへへ、だって2人共かまってくれないから、つまんないんだもーん」
「しょがないですね、リッキーさん」
アルカネットは苦笑しながら、ベルトルドのぶんの書類もテーブルの上に乗せに行く。
「さて、どうしてくれよう、この小悪魔」
ベルトルドが芝居がかった口調で言うと、キュッリッキはくすくすと笑った。
「今すぐ子持ちの父親になれますね」
2人の様子を見て、アルカネットが嫌味な笑顔を浮かべてベルトルドに言う。
「たわけ、愛し合う恋人同士のようじゃないか。なあ、リッキー」
「いえいえ、どう見ても仲のいい親娘(おやこ)のようです」
「がるるる」
「アタシとベルトルドさん、親娘(おやこ)みたいに見えるんだ~」
妙に感心したようにキュッリッキが言うと、
「ええ、とっても親娘のように見えますよ」
アルカネットが畳み掛けに出る。
「私とは恋人同士にしか見えませんが」
いつまでも抱きしめているベルトルドの腕から、キュッリッキを強引に奪い取ると、アルカネットは自分の腕に抱き抱えなおす。
「リッキーさんは、永遠に私のものです」
心の底からアルカネットは言うと、キュッリッキの頬に優しくキスをした。
「寝言は寝てから言え。もう寝るぞ寝るぞ!」
キュッリッキを奪われて面白くないベルトルドは、声を荒らげてシーツをめくった。
ベッドに戻されたキュッリッキは、横になりながら、ベルトルドと親娘(おやこ)のように見えると言われたことが、嬉しいと思っていた。
いつも優しく包みこでくれるベルトルド。メルヴィンとのことで怖い態度を見せはしたが、それ以外はいつだって優しい。そのうち、メルヴィンとのことも心から認めて祝福してくれると、キュッリッキは信じていた。
ベルトルドに対しては、そう思えた。しかしアルカネットはそうじゃない。きっと、一生認めてはくれないと思っている。それでもアルカネットのことも大好きだ。過剰なまでに自分を愛してくれ、いつだって優しい。
血は繋がっていなくても、キュッリッキにとって、2人は大切な父親たちなのだ。
3人が横になると、キュッリッキは2人の手をとって、ギュッと握った。大好きと感謝の気持ちを込めて。
「おやすみなさーい」
ベルトルドとアルカネットは顔を見合わせ、そして苦笑した。2人は同時にキュッリッキの頬にキスをすると、ぴったりとキュッリッキに身を寄せて目を閉じた。
「1秒でもリッキーのそばにいたいんだ!」
「そうです。たかが仕事ごときに邪魔されませんよ!」
書類から顔を上げず、2人はきっぱりと言い切った。
「ぶー」
せっかく一緒に寝るのだから、少しは楽しい話でもしたかった。しかし2人共書類に見入って、すっかり仕事モードである。
暫く背中を見つめていたが、焦れて2人の間に移動して、交互に顔を覗き込む。でも少しも振り向いてくれない。
「もお、つまんなーーーーい!」
キュッリッキは2人の手にしている書類をワシャッと掴むと、ひったくるように奪い取り、ポイッと宙に放り投げた。
「リ、リッキ~~~」
「あわわ……」
ベルトルドとアルカネットは、ヒラヒラと宙を舞って落ちる書類を慌てて拾い始めた。
「これ、アルカネットのだな」
「ベルトルド様のはこっちのですね」
拾った書類の中身を確認しながら、交換しつつ再度確認する。
「この、イタズラっ子め!」
ベルトルドはキュッリッキに飛びかかると、そのままベッドへ押し倒した。
「キャッ」
「悪い子はオシオキだぞ~」
「えへへ、だって2人共かまってくれないから、つまんないんだもーん」
「しょがないですね、リッキーさん」
アルカネットは苦笑しながら、ベルトルドのぶんの書類もテーブルの上に乗せに行く。
「さて、どうしてくれよう、この小悪魔」
ベルトルドが芝居がかった口調で言うと、キュッリッキはくすくすと笑った。
「今すぐ子持ちの父親になれますね」
2人の様子を見て、アルカネットが嫌味な笑顔を浮かべてベルトルドに言う。
「たわけ、愛し合う恋人同士のようじゃないか。なあ、リッキー」
「いえいえ、どう見ても仲のいい親娘(おやこ)のようです」
「がるるる」
「アタシとベルトルドさん、親娘(おやこ)みたいに見えるんだ~」
妙に感心したようにキュッリッキが言うと、
「ええ、とっても親娘のように見えますよ」
アルカネットが畳み掛けに出る。
「私とは恋人同士にしか見えませんが」
いつまでも抱きしめているベルトルドの腕から、キュッリッキを強引に奪い取ると、アルカネットは自分の腕に抱き抱えなおす。
「リッキーさんは、永遠に私のものです」
心の底からアルカネットは言うと、キュッリッキの頬に優しくキスをした。
「寝言は寝てから言え。もう寝るぞ寝るぞ!」
キュッリッキを奪われて面白くないベルトルドは、声を荒らげてシーツをめくった。
ベッドに戻されたキュッリッキは、横になりながら、ベルトルドと親娘(おやこ)のように見えると言われたことが、嬉しいと思っていた。
いつも優しく包みこでくれるベルトルド。メルヴィンとのことで怖い態度を見せはしたが、それ以外はいつだって優しい。そのうち、メルヴィンとのことも心から認めて祝福してくれると、キュッリッキは信じていた。
ベルトルドに対しては、そう思えた。しかしアルカネットはそうじゃない。きっと、一生認めてはくれないと思っている。それでもアルカネットのことも大好きだ。過剰なまでに自分を愛してくれ、いつだって優しい。
血は繋がっていなくても、キュッリッキにとって、2人は大切な父親たちなのだ。
3人が横になると、キュッリッキは2人の手をとって、ギュッと握った。大好きと感謝の気持ちを込めて。
「おやすみなさーい」
ベルトルドとアルカネットは顔を見合わせ、そして苦笑した。2人は同時にキュッリッキの頬にキスをすると、ぴったりとキュッリッキに身を寄せて目を閉じた。
0
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。


覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる