片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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召喚士編

episode644

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 思わずファニーはズッコケそうになり、頭を抱えた。

「アタシの口から言わせるな……」

 ため息をこぼし、そしてキュッリッキの首を絞める。

「メルヴィンさんは大人の男でしょ! あんたがいつまでもそんなオコチャマじゃ、可哀想じゃないのっ!」

「ぐ……ぐるじぃ…」

「焦れったいから、裸でメルヴィンさんのベッドに飛び込んでみなさいよ! そしたら勢いでヤッてくれるわきっと!!」

「だ、ダメなんだもん!」

「なんでよ」

「だってぇ……」

 キュッリッキは思わず自分の胸に目を向ける。

「ファニーのおっぱいみたく、おっきくないもん…」

「どーせこのままでもおっきくならないわよ。だってあんた、アイオン族なんだから。もう観念して、思いっきり抱かれちゃいなさい」

「ぶー」

 何をするかいまいち理解できていないが、温泉旅行の時に、裸を見られちゃったなと思い出して、再び顔を赤らめた。

 2人とも裸で、露天風呂に入って濃厚なキスをし合ったのだ。

「ったく、よく我慢してもらえてるわね、メルヴィンさんに。いい加減オトナになんなさいよ」

「ファニーはエッチってしたことあるの?」

「アタリマエデショ! あんたより3歳年上なのよ」

「おー」

 キュッリッキは思わずファニーを尊敬の眼差しで見つめる。しかし、実際何をしているかは全く理解していない。

「あ、ここの階段あがると、お店いっぱいのところに出る」

「おけー」

 2人は地上に出る階段をのぼる。

 射し込んできた陽光の眩しさに一瞬目を細め外に出ると、そこには上品な建物の数々が並ぶ場所に出た。ハーメンリンナの西区である。

「わお! 素敵なお店がいっぱいあるわね!」

 初めて見る西区の高級店に、ファニーの目が輝く。

「結構高いんだって。ファニーお金大丈夫なの?」

「ふふーん、6月に副宰相からた~んまり報酬もらってて、懐あったかいのよ。今日はじゃんじゃんお買い物しちゃうぞ!」

 ナルバ山の遺跡調査のため、ケレヴィルに雇われていたファニーと、もう一人の友人ハドリーは、その後キュッリッキたちライオン傭兵団と行動を共にし、ベルトルドから莫大な報酬を支払われていた。この先10年は遊んで暮らせると、ハドリーから聞いている。

「まずは、あそこのブティックからよ!」

「ふぁーい」

 ファニーに手を引っ張られて入った店は、大人っぽいデザインの服が多くならんでいる。

 可愛らしい顔立ちをしているが、年相応の大人の雰囲気を漂わせるファニーには、とても似合うデザインが多い。

「やーん、迷っちゃうなあ」

「アタシには胸が余るのばっか……」

 服のサイズ表を見て、キュッリッキは眉を寄せた。ウエストなどもブカブカなのだが、やはりバストサイズが気になってしまう。

「そいえば、あの子たち胸おっきかったな…」

「あの子たちって誰よ?」

「こないだ召喚スキル〈才能〉を持ってる子たちに会ったの」

「ほへ~、なに、いっぱいいたの?」

「十数人はいたかも。喧嘩しただけだったけど」

「なによそれ」

「ベルトルドさんやアルカネットさんが大好きみたいで、アタシに嫉妬してた」

「ふーん。まあ、見た目はカッコイイ感じだもんね、あの2人」

 温泉旅行の時に、散々間近で見ている。

 どちらも女性の心を掴んで離さない美丈夫で、あれで41歳だというのが信じられないほど若々しい顔立ちをしていた。

 もっとも、顔だけ見れば腰が蕩けそうなのだが、キュッリッキを巡ってのバカ親ぶりがが凄まじく、正直それでゲッソリと萎えた。

「おんなじスキル〈才能〉持ってるコたちに初めて会えたのに、仲良くできなくって残念だったかも」

「まあ、あんたもこうしてハーメンリンナにこれるわけだから、そのうちまた会えるわよ。そしたら仲直りして、たくさんお喋りすればいいわ」

「うん、そうだね」
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