片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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美人コンテスト編

episode617

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「さて、食事が終わったら、11時までは自由行動、11時には荷物持ってロビーに集合ネ」

「出発そんな遅くていいんですかぃ?」

「ええ、帰りはベルにハーメンリンナに転移してもらうから、チェックアウトまでゆっくり堪能してらっしゃい」

 おお!っと歓喜が上がる。

 ここへ来るまでの道のりを思い返すと、あれをこれから「マタカ」という気分なのだ。それをベルトルドの空間転移で帰れるのが、嬉しくてしょうがないライオン傭兵団だった。

 しかし、

「ええ、もう一度港行きたかったなあ…。お土産屋さんいっぱいあったし、ちょっと見たかったかも」

 キュッリッキだけが酷く残念そうに呟いた。

「よし、予定を変更して、港で昼飯を食べて帰ろうか」

「ホント?」

「ああ。リッキーがそうしたいなら、そうしよう」

「ありがとう、ベルトルドさん」

 港に立ち寄れることになって、キュッリッキはベルトルドに抱きついて喜んだ。

「リッキーのためなら、なんだってしてやるからな」

 キュッリッキを素早く自分の膝の上に抱き上げ、これでもかと額にキスの雨を降らせる。

「ずーずーしー」

 ドヤ顔のベルトルドに、アルカネットは舌打ちした。



 朝食のあとは、みんな温泉に浸かりに行った。

 もう二度と来れないかもしれないと思うと、最後にしっかり入らないと気がすまない。

「たった2日だったけど、随分と肌がつるつる綺麗になったわよね」

 ファニーが浴衣の袖をまくり、腕を見せる。

「それに、腰痛や脚の痛みが、なくなったような気がしますよ」

 キリ夫人が嬉しそうに微笑んだ。

「わたくしもリフレッシュできました~。お嬢様のおかげです」

「よかったね、アリサも」

 女性陣はみんな揃って、肌が綺麗になるという露天風呂に入った。

 一方男性陣は各自散って、それぞれ好きな温泉に入っていた。



 思い残すことがないくらいギリギリまで温泉を堪能し、最後にベルトルドがきて全員揃った。

「あれ、御大仕事ですか?」

 軍服を着て現れたベルトルドに、ギャリーは目を丸くする。

「当たり前だ! 仕事が溜まりに溜まってるらしいからな、帰ったらすぐ宰相府行きだ…」

「総帥本部でもお仕事ヨ」

 リュリュもアルカネットも軍服を着ており、シ・アティウスは白衣をまとっていた。

 ハーメンリンナに行く前に、エルダー街で下ろしてくれ、とギャリーは言いたかったが、軍服を着ているのを見るとそれは言えなかった。

 見送りのため、女将のシグネと従業員数名がロビーに姿を現した。

「またのお越しを、お待ちしております」

 艶やかな笑みを浮かべ、シグネはゆるりと頭を下げる。

「料理も温泉も宿も、何もかも素晴らしかった」

 ベルトルドの言葉に、シグネは更に笑みを深めた。

「貴様ら、忘れ物はないな」

 ういーっす、という返事をもらい、ベルトルドは顎を引いて意識をこらす。

「まずは港へ飛ぶ!」

 ベルトルドが叫ぶように言うと、皆の姿はその場から消えた。
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