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美人コンテスト編
episode612
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ユリハルシラで過ごす最後の夜、振舞われたご馳走は素晴らしかった。
生魚が苦手な全員が、箸の動きを止めないほど新鮮な刺身、色とりどりの握り寿司、新鮮な魚介類の網焼き、柔らかく煮た野菜や練り物など、普段食べ慣れない味付けが美味である。
「帰ったら試しに作ってみようかしら」
キリ夫妻はただ食べるだけではなく、味を盗もうと研究しながら食べている。
「これ、あんまり油っこくなくて美味しい~」
野菜や魚介に衣をつけて揚げたものを、キュッリッキはぱくぱく食べていた。
「全体的にカロリー低そうで、しかも美味しい料理が多いね。オレ蒸し物気に入っちゃった」
ルーファスはプリンのような蒸し物を、独占して食べている。
おやじ衆は食事もそこそこに、米で作った酒を飲む方が必死だ。
よほど気に入ったようで、ベルトルドとアルカネットの2人でどんどん空瓶を量産していた。
食事が始まりしばらくすると、宴を盛り上げる芸者たちが登場し、朝顔の間はますます盛り上がった。
美味しく楽しい夕食は終わり、温泉へ行く者、まだ酒を飲む者、皆思い思いにユリハルシラ最後の夜を楽しんだ。
日付も変わり、皆寝静まったその頃。
ズンッ、という衝撃が、ケウルーレ全体を揺るがせた。
寝ていた者は全て目を覚まし、酒を楽しんでいた者は酔いが吹っ飛ぶほど驚いた。上から落とされ地面に激突したような衝撃が、重く激しく身体に伸し掛ったのだ。
「ちょ、なんて殺意なの!?」
リュリュはゾッとそそけ立つと、アルカネットと顔を見合わせた。
「これは、ベルトルド様ですね…」
普段動揺など微塵も見せない男(アルカネット)が、冷や汗を額に浮かべている。
「さっき、フラッと席を立って、そのまま戻りませんね」
シ・アティウスも複雑な色を浮かべた顔で、メガネをクイッと押し上げる。手を震わせながら。
朝顔の間から桔梗の間へ席を移し、おやじ衆4人は酒を飲み続けていた。そのさなか、ベルトルドが無言で部屋を出て行ってから、暫く戻っていない。そこへ、突然の激しい殺意である。
3人はそれきり黙る。あまりにも凄まじい殺意を感じたため、身体が萎縮して動けないのだ。
そうして暫くすると、何でもないような表情で、ベルトルドがひょっこり戻ってきた。
「何だお前たち、豆鉄砲でも食らったような顔をして?」
吹き出しながらベルトルドは言うと、自分の座布団に座った。
「な、なんだとはナニヨ!」
ハッとなったリュリュは、ベルトルドに食ってかかる。
「一体今のはナンナノ!? 心底驚いたんだからっ」
「何かあったのか?」
ベルトルドはキョトンっとリュリュを見る。
「しらばっくれてんじゃないわよっ! あの殺意はナンナノ!?」
「さあ?」
胸ぐらを掴まれたまま、ベルトルドは自分の盃を掴むと、アルカネットに酌をしろと催促した。
「これ飲んだら寝るぞ」
「ベルっ!」
「そこまでにしてくださいリュリュ、もう寝ますから、出て行ってください」
「なーによ、今夜はユリハルシラ最後の夜なのよ。ベルと朝までしっぽりぐっちょぐちょに濡れまくるんだから、あーたが出て行きなさいよ」
「ダメですよ。帰りはベルトルド様に転移していただくんですから、今夜はしっかりと休んでもらわなくてはならないのです」
「あら、普通に帰らないのン?」
普段大勢を空間転移させろと言うと、猛烈に嫌がる。
「長時間の汽車に揺られてケツが痛くなり、監獄かと思うような狭い船室に閉じ込められ、吐き出すほどマズイ飯を出され、せっかく心身ともにリフレッシュしたのに帰宅で疲れるとかありえんからな。それよりは転移したほうがラクだ」
「そういうわけですので、出て行ってくださいな。私が一緒にこの部屋で寝ます」
「ずるいわアルカネット! アタシが代わるわよ」
「なら、私と朝までしっぽりネチョネチョいやらしくねっとり濡れまくりますか?」
瞬間、リュリュの顔から血の気がひいた。
「おやすみ、ベル、アル…」
「はい、おやすみなさいリュリュ、シ・アティウス」
生魚が苦手な全員が、箸の動きを止めないほど新鮮な刺身、色とりどりの握り寿司、新鮮な魚介類の網焼き、柔らかく煮た野菜や練り物など、普段食べ慣れない味付けが美味である。
「帰ったら試しに作ってみようかしら」
キリ夫妻はただ食べるだけではなく、味を盗もうと研究しながら食べている。
「これ、あんまり油っこくなくて美味しい~」
野菜や魚介に衣をつけて揚げたものを、キュッリッキはぱくぱく食べていた。
「全体的にカロリー低そうで、しかも美味しい料理が多いね。オレ蒸し物気に入っちゃった」
ルーファスはプリンのような蒸し物を、独占して食べている。
おやじ衆は食事もそこそこに、米で作った酒を飲む方が必死だ。
よほど気に入ったようで、ベルトルドとアルカネットの2人でどんどん空瓶を量産していた。
食事が始まりしばらくすると、宴を盛り上げる芸者たちが登場し、朝顔の間はますます盛り上がった。
美味しく楽しい夕食は終わり、温泉へ行く者、まだ酒を飲む者、皆思い思いにユリハルシラ最後の夜を楽しんだ。
日付も変わり、皆寝静まったその頃。
ズンッ、という衝撃が、ケウルーレ全体を揺るがせた。
寝ていた者は全て目を覚まし、酒を楽しんでいた者は酔いが吹っ飛ぶほど驚いた。上から落とされ地面に激突したような衝撃が、重く激しく身体に伸し掛ったのだ。
「ちょ、なんて殺意なの!?」
リュリュはゾッとそそけ立つと、アルカネットと顔を見合わせた。
「これは、ベルトルド様ですね…」
普段動揺など微塵も見せない男(アルカネット)が、冷や汗を額に浮かべている。
「さっき、フラッと席を立って、そのまま戻りませんね」
シ・アティウスも複雑な色を浮かべた顔で、メガネをクイッと押し上げる。手を震わせながら。
朝顔の間から桔梗の間へ席を移し、おやじ衆4人は酒を飲み続けていた。そのさなか、ベルトルドが無言で部屋を出て行ってから、暫く戻っていない。そこへ、突然の激しい殺意である。
3人はそれきり黙る。あまりにも凄まじい殺意を感じたため、身体が萎縮して動けないのだ。
そうして暫くすると、何でもないような表情で、ベルトルドがひょっこり戻ってきた。
「何だお前たち、豆鉄砲でも食らったような顔をして?」
吹き出しながらベルトルドは言うと、自分の座布団に座った。
「な、なんだとはナニヨ!」
ハッとなったリュリュは、ベルトルドに食ってかかる。
「一体今のはナンナノ!? 心底驚いたんだからっ」
「何かあったのか?」
ベルトルドはキョトンっとリュリュを見る。
「しらばっくれてんじゃないわよっ! あの殺意はナンナノ!?」
「さあ?」
胸ぐらを掴まれたまま、ベルトルドは自分の盃を掴むと、アルカネットに酌をしろと催促した。
「これ飲んだら寝るぞ」
「ベルっ!」
「そこまでにしてくださいリュリュ、もう寝ますから、出て行ってください」
「なーによ、今夜はユリハルシラ最後の夜なのよ。ベルと朝までしっぽりぐっちょぐちょに濡れまくるんだから、あーたが出て行きなさいよ」
「ダメですよ。帰りはベルトルド様に転移していただくんですから、今夜はしっかりと休んでもらわなくてはならないのです」
「あら、普通に帰らないのン?」
普段大勢を空間転移させろと言うと、猛烈に嫌がる。
「長時間の汽車に揺られてケツが痛くなり、監獄かと思うような狭い船室に閉じ込められ、吐き出すほどマズイ飯を出され、せっかく心身ともにリフレッシュしたのに帰宅で疲れるとかありえんからな。それよりは転移したほうがラクだ」
「そういうわけですので、出て行ってくださいな。私が一緒にこの部屋で寝ます」
「ずるいわアルカネット! アタシが代わるわよ」
「なら、私と朝までしっぽりネチョネチョいやらしくねっとり濡れまくりますか?」
瞬間、リュリュの顔から血の気がひいた。
「おやすみ、ベル、アル…」
「はい、おやすみなさいリュリュ、シ・アティウス」
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