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美人コンテスト編
episode608
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「なあにいいいいいい!」
ダンッと台に両手を叩きつけ、ベルトルドはライオン傭兵団を睨みつけた。
「リッキーが何故おらんか説明せい馬鹿者ども!!」
引き止めておくべきだった、と皆胸中で後悔する。
「ええっと、汗かいちゃったからって、温泉に……」
「汗ならこの俺が隅々まで丁寧に舐め拭ってやるものをっ!」
――いやあ、それは無理じゃこの変態… という視線が、握り拳のベルトルドに集中する。
「そんな不埒なことを、この私が許すわけ無いでしょう」
「黙れ敗者!」
「ンぐっ」
ツッコむアルカネットを一撃で沈め、ベルトルドはラケットを台に置く。
「リッキーが観ててくれないと、こんなんやっててもつまらん!」
プイッと腕を組んで、ツーンとそっぽを向いた。
「あらベルぅ、そんなコト言ってもいいの~ん?」
甘くねっとりした声が、ぞぞーっとベルトルドの背中を撫でるように這いのぼる。
しなを作って立つリュリュを目の端に捉え、ベルトルドは顔を青ざめさせた。
「アタシに勝たないと、今夜もたーっぷり、あーたの暴れん棒を喉の奥まで咥えこんじゃうわよ?」
ベルトルドの顔が更に青ざめる。
「もしかしてあーた、ホントはアタシにそうして欲しいんじゃなくってン?」
「そんなわけあるかーーーーーーーっ!!」
恐怖を振り払うように大声で叫び、ベルトルドはラケットを持つと構えた。昨夜の屈辱的な悪夢が脳裏に広がる。
「負けん!!」
――魂の叫びだ…。そう、ライオン傭兵団はゲッソリと肩を落とした。
「な……なかなか……やるじゃないベル…ぜぇ」
「フンッ、ターベッティを歴代1位で卒業した俺だぞ……ケホッ」
試合が終わり、息も荒く台に手をついて、ベルトルドとリュリュは肩を喘がせていた。
スポーツスキル〈才能〉を持つプロ相手でも互角以上じゃ、と思える程の高レベルな試合を繰り広げた2人である。
「ベルトルド様、リュリュ様、お疲れ様でございました。決勝戦の勝者はベルトルド様です!」
大きな声を張り上げ、アリサが告げた。
「いやあ、ホント凄かったですねえ」
やや呆れ半分といった声でカーティスが言うと、皆深々と頷きを返す。
髪も浴衣も振り乱し、凄まじい咆哮を迸らせながらのラリーだった。
台に叩きつけられる小さなボールは、時に破裂し、時に外野に飛んで建物に傷を付け、見学者たちを心胆寒からしめる勢いなのだ。
スキル〈才能〉使用禁止だったので、サイ《超能力》使いである2人は必死にサイ《超能力》が発動しないよう抑えてはいたが、あれはどう見てもサイ《超能力》が無意識に発動しているとしか思えないパワー戦だった。
技術的にはリュリュに分があったが、パワー的にはベルトルドが勝り、2セットを落としてリュリュが負けた。
「皆様お疲れ様でございました。白熱したいい試合でしたね」
女将のシグネがニッコリと頭を下げた。
「お夕食はご馳走をたくさん振舞わせていただきますので、楽しみにしていてくださいまし」
「色々協力していただき、ありがとうございました。建物などへの破損請求は、あそこの息の荒い大人げない人にお願いします」
カーティスが微笑みながら応じると、シグネは愉快そうに笑った。
「いいんでございますよ。久々に面白いものを見せていただきました」
賭け金の精算をするライオン傭兵団をジロリと睨み、アルカネットから差し出されたタオルでベルトルドは汗を拭う。
「温泉にでも行きますか?」
「そうだなあ、汗もかいたし」
「ならちょっと、3人とも露天風呂付きの部屋へ。話したいことがあります」
メガネをクイッと押し上げながら、シ・アティウスがひっそりと言った。
ダンッと台に両手を叩きつけ、ベルトルドはライオン傭兵団を睨みつけた。
「リッキーが何故おらんか説明せい馬鹿者ども!!」
引き止めておくべきだった、と皆胸中で後悔する。
「ええっと、汗かいちゃったからって、温泉に……」
「汗ならこの俺が隅々まで丁寧に舐め拭ってやるものをっ!」
――いやあ、それは無理じゃこの変態… という視線が、握り拳のベルトルドに集中する。
「そんな不埒なことを、この私が許すわけ無いでしょう」
「黙れ敗者!」
「ンぐっ」
ツッコむアルカネットを一撃で沈め、ベルトルドはラケットを台に置く。
「リッキーが観ててくれないと、こんなんやっててもつまらん!」
プイッと腕を組んで、ツーンとそっぽを向いた。
「あらベルぅ、そんなコト言ってもいいの~ん?」
甘くねっとりした声が、ぞぞーっとベルトルドの背中を撫でるように這いのぼる。
しなを作って立つリュリュを目の端に捉え、ベルトルドは顔を青ざめさせた。
「アタシに勝たないと、今夜もたーっぷり、あーたの暴れん棒を喉の奥まで咥えこんじゃうわよ?」
ベルトルドの顔が更に青ざめる。
「もしかしてあーた、ホントはアタシにそうして欲しいんじゃなくってン?」
「そんなわけあるかーーーーーーーっ!!」
恐怖を振り払うように大声で叫び、ベルトルドはラケットを持つと構えた。昨夜の屈辱的な悪夢が脳裏に広がる。
「負けん!!」
――魂の叫びだ…。そう、ライオン傭兵団はゲッソリと肩を落とした。
「な……なかなか……やるじゃないベル…ぜぇ」
「フンッ、ターベッティを歴代1位で卒業した俺だぞ……ケホッ」
試合が終わり、息も荒く台に手をついて、ベルトルドとリュリュは肩を喘がせていた。
スポーツスキル〈才能〉を持つプロ相手でも互角以上じゃ、と思える程の高レベルな試合を繰り広げた2人である。
「ベルトルド様、リュリュ様、お疲れ様でございました。決勝戦の勝者はベルトルド様です!」
大きな声を張り上げ、アリサが告げた。
「いやあ、ホント凄かったですねえ」
やや呆れ半分といった声でカーティスが言うと、皆深々と頷きを返す。
髪も浴衣も振り乱し、凄まじい咆哮を迸らせながらのラリーだった。
台に叩きつけられる小さなボールは、時に破裂し、時に外野に飛んで建物に傷を付け、見学者たちを心胆寒からしめる勢いなのだ。
スキル〈才能〉使用禁止だったので、サイ《超能力》使いである2人は必死にサイ《超能力》が発動しないよう抑えてはいたが、あれはどう見てもサイ《超能力》が無意識に発動しているとしか思えないパワー戦だった。
技術的にはリュリュに分があったが、パワー的にはベルトルドが勝り、2セットを落としてリュリュが負けた。
「皆様お疲れ様でございました。白熱したいい試合でしたね」
女将のシグネがニッコリと頭を下げた。
「お夕食はご馳走をたくさん振舞わせていただきますので、楽しみにしていてくださいまし」
「色々協力していただき、ありがとうございました。建物などへの破損請求は、あそこの息の荒い大人げない人にお願いします」
カーティスが微笑みながら応じると、シグネは愉快そうに笑った。
「いいんでございますよ。久々に面白いものを見せていただきました」
賭け金の精算をするライオン傭兵団をジロリと睨み、アルカネットから差し出されたタオルでベルトルドは汗を拭う。
「温泉にでも行きますか?」
「そうだなあ、汗もかいたし」
「ならちょっと、3人とも露天風呂付きの部屋へ。話したいことがあります」
メガネをクイッと押し上げながら、シ・アティウスがひっそりと言った。
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