片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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美人コンテスト編

episode604

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 キュッリッキ対タルコットは、勝者キュッリッキ。ルーファス対シ・アティウスは、勝者シ・アティウス。ランドン対マーゴットは、勝者ランドン。

 ノーキン組の予想を裏切り、案の定、大番狂わせだ。

 タルコットに至っては、ミス失点までおかしている。

「このボ…、ボクが、キューリに負けたナンテ……」

 妖艶な美貌を苦痛に歪ませ、タルコットは竹のベンチに撃沈した。

「オレもシ・アティウスさんに完敗だったよ~」

 タルコットの隣に座り、ルーファスは天を仰ぐ。

 情けないことに、2人揃って一点も取れなかったのだ。

「あーあ、勝てると思ってたのになー」

 ハァ、と2人は揃って情けない溜息を深々と吐いた。



「おや、運が良いですねえベルトルド様。あのメルヴィンごときに、手心なんか加えてはダメですよ?」

「フッ。立ち直れないほど、ギッタンギッタンに打ちのめしてくれるわっ!」

「サイ《超能力》は使っちゃダメよ、ベル」

「使うまでもない!」

 凄絶な笑みを浮かべ、ベルトルドは台の前に立つ。

「……」

 その反対側には、ガッカリした表情を貼り付けたメルヴィンが立っていた。

「頑張ってメルヴィン! ベルトルドさんなんて、けちょんけちょんのコテンパンにやっつけちゃってね!」

「りっきぃ…」

 キュッリッキの容赦ない応援に、ベルトルドはシクシクと涙を目に浮かべる。

 本来ならば「大好きなベルトルドさん頑張ってね! 勝ったらご褒美にチューしてあげるんだから」という、愛らしい声でキュッリッキに応援されるのは自分のはずなのだ。それなのに、目の前の青二才が、キュッリッキに応援されている。

「許さん……、許さんぞ青二才!!」

 フゴゴゴゴゴ、という効果音でも聞こえてきそうなベルトルドの剣幕に、メルヴィンはひっそりと心で重いため息をつく。

(よりによって、ベルトルド様と当たるなんて)

 絶対当たりたくないベスト3は、1位はキュッリッキ、2位はベルトルド、3位はアルカネットである。

 キュッリッキと当たったら、まず試合になりそうもない。ほのぼのラリーで時間が潰れそうだ。

 しかしベルトルドとアルカネットは、何をしてくるか判らないほど、本気で向かってくるだろう。目の前のベルトルドの様子を見ていれば判る。

 すでにキュッリッキの愛を勝ち取っているので、これ以上は恨まれる原因を増やしたくない。勝つ自信はあるが、勝ったら恨みが特倍になりそうなのだ。

(かといって、負けるのは悔しいな)

 2人から特大の嫉妬を向けられる覚悟は、とうにできていることだ。ならば、全力で勝つまでのこと。キュッリッキも自分を応援してくれている。

 メルヴィンの顔に、不敵な笑みが浮かんだ。

「では皆様、始めてくださーい!」

 アリサの合図で、2回目の試合が開始された。

「貴様なんぞ、この俺の前にひれ伏すがいい!!」

 気合充分、渾身のサービスがベルトルドから始まった。



「オーバーアクションしても、テーブルテニスって地味に始まっちゃうのよネ」

「ボールが軽くて小さいからな」

 ケラケラ笑うリュリュに、シ・アティウスが笑いを堪えながら応じる。

 あまりにも適当に力のまま叩きつけても、ホームランかアウトになるのが関の山である。

「点を取ったら、ポーズキメて派手に叫べばいいのですよ」

 アルカネットは苦笑気味に茶化した。

「ふふっ、ベルならやりそうねン」
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