片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

文字の大きさ
上 下
636 / 882
美人コンテスト編

episode573

しおりを挟む
 生演奏が再び会場を盛り上げ、タキシード姿の司会者が結果発表開始をアナウンスする。そして、参加者の美女たちが、1番から順にステージ上へ戻ってきた。

 1番はライオン傭兵団のマーゴットであり、最後をつとめる50番はキュッリッキだ。

 広いステージに美女全員が並び、会場が再びヒートアップする。

「ふふん、やはり俺のリッキーが一番の美女だな! 他の女どもは、首から下なら入賞するだろうが」

「色気でカバーできるはずもない顔で、よくもぬけぬけと参加できたものです。ちなみに、私のリッキーさんですよ」

 ベルトルドとアルカネットは横目で視線を飛ばし合う。その間に割って入り、リュリュは大仰に嘆息した。

「ハイハイ、全くバカ親たちなんだから。それにベル、エロイ身体見て股間がバーニングしないようにネ」

「リッキーだけを見てるからダイジョウブだ!」

 そう言いつつ、ベルトルドは居並ぶ艶かしいボディに、チラチラと好色の視線を向けていた。鼻の下が若干伸びている。それを見て、リュリュは呆れたように肩をすくめた。

「さあ! まずは3位からの発表だよー!」

 美女たちの前に陣取り、司会者が高らかに片手を挙げる。

 ドドドドドッとドラムが鳴り、会場中が息を呑む。

「エントリーナンバー34番、《悠々快適傭兵団》のエルマちゃんだよー! おめでとう!!」

 赤髪の巻き毛美女が、両手を上げて会場に喜びをアピールする。裸体と区別がつかないまでのマイクロビキニ姿で、インパクトは強烈だ。一歩一歩前に出る都度、揺れるおっぱいと際どい股間に、男たちの視線が集中した。

「マリオンとタメ張れるくらい、ケバイな、エルマちゃん」

「えー? あたしのほうがぁ、美人よぉ~?」

「ないわ」

「ひっどぉーい」

 ザカリーの言いように、マリオンが嘘泣きで応じる。

 前に出ていたエルマは、審査員からトロフィーを受け取ると、観客たちに投げキッスをしながら後ろに下がった。

「お次は2位、エントリーナンバー45番、《トリカブト傭兵団》のファニーちゃん! おめでとう!!」

 おめでとおおっ! と観客席の一部からドスの効いた歓声が沸き起こった。ファニーの親衛隊たちだ。

「おお、アイツ2位を取れたかあ」

 髭をザリザリ摩りながら、ハドリーは笑顔を浮かべた。

「さっすがファニーちゃん、優勝は無理だったけど大健闘じゃない」

「ええ、リッキーがいますしね、優勝は難しいですって。――2位でも賞金はそこそこ良かったと思いますよ」

 ルーファスに笑顔を向け、ハドリーはステージ上から手を振るファニーに、手を振り返した。

「さあ! 今年の優勝者の発表だよー!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

覚悟はありますか?

翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。 「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」 ご都合主義な創作作品です。 異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。 恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「聖女はもう用済み」と言って私を追放した国は、今や崩壊寸前です。私が戻れば危機を救えるようですが、私はもう、二度と国には戻りません【完結】

小平ニコ
ファンタジー
聖女として、ずっと国の平和を守ってきたラスティーナ。だがある日、婚約者であるウルナイト王子に、「聖女とか、そういうのもういいんで、国から出てってもらえます?」と言われ、国を追放される。 これからは、ウルナイト王子が召喚術で呼び出した『魔獣』が国の守護をするので、ラスティーナはもう用済みとのことらしい。王も、重臣たちも、国民すらも、嘲りの笑みを浮かべるばかりで、誰もラスティーナを庇ってはくれなかった。 失意の中、ラスティーナは国を去り、隣国に移り住む。 無慈悲に追放されたことで、しばらくは人間不信気味だったラスティーナだが、優しい人たちと出会い、現在は、平凡ながらも幸せな日々を過ごしていた。 そんなある日のこと。 ラスティーナは新聞の記事で、自分を追放した国が崩壊寸前であることを知る。 『自分が戻れば国を救えるかもしれない』と思うラスティーナだったが、新聞に書いてあった『ある情報』を読んだことで、国を救いたいという気持ちは、一気に無くなってしまう。 そしてラスティーナは、決別の言葉を、ハッキリと口にするのだった……

処理中です...