片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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美人コンテスト編

episode568

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 キリッとした口調でベルトルドが断言すると、その直後、中身の入ったビール瓶が後頭部に直撃する。

「おだまりエロ中年! 小娘いんのよっ!」

「すいまえん」

 顔だけでなく、挑発的で大胆な水着美女が連続出場し、会場はヒートアップである。派手な音楽の生演奏と、熱に浮かされ盛り上がる観客たちで、ビーチを包む熱気はとどまるところを知らない。

「40番から50番までの出場者のみなさん、ステージ裏に集まってくださーい!」

 スタッフがテントに声をかけて走り回っている。

「アタシ行かなくちゃ」

 キュッリッキは跳ねるように椅子から立ち上がった。

「緊張してませんか? 大丈夫ですか?」

 アルカネットが落ち着かない様子で言うと、キュッリッキは「大丈夫!」とにっこり笑った。

「いってくるね!」

「頑張ってらっしゃい」

 アルカネットとリュリュに見送られ、キュッリッキはステージのほうへと元気に走っていった。

「やれやれ、小娘見送らずに、デレデレ鼻の下伸ばしちゃってベルったら。溜まりすぎよ」

「首から下は、満点が多くて困る」

「そういえば、先程から何か特技のようなものを各自披露していますが、キュッリッキ嬢は何を魅せてくれるんでしょうね」

 興味深そうにシ・アティウスが言うと、ベルトルド、アルカネット、リュリュの3人は顔を見合わせて、揃って眉間を寄せる。

「リッキーって、特技なんだろうな?」



「エントリーナンバー45、トリカブト傭兵集団のファニーちゃんだよ~~っ!」

 司会者に名を呼ばれ、ファニーは隣にいるキュッリッキにウインクした。

「いってくる」

「ファニー頑張ってね!」

「まっかせなさい」

 ファニーは颯爽とステージに上がって行き、両腕を上げて、元気をいっぱいにアピールする。

 愛らしくもハツラツとした印象が素敵なファニーに、観客たちから熱い声援が飛び交う。

「ファニーちゃん最高だよー!」

 観客席のルーファスが、飛び跳ねながらファニーに賛辞を送る。すると、

「俺たちのファニーちゃーん!」

 ドスの効いた厳つい声が、観客席からドラムのような重低音を轟かせてステージに浴びせられた。

「な、何あれ?」

「あらぁ、ファニーの親衛隊っすね」

 ルーファスの誘いでライオン傭兵団の陣取る席に来ていたハドリーが、疲れた顔で説明する。

「あいつ結構モテるんっすよ。イカツイ系の傭兵たちの間にファンも多くて」

「ははは…さすが」

 筋肉ムキムキマッチョ集団が、頬を染めて必死に声援を送っている。

 それらをステージの上で内心ゲッソリしながら見て、ファニーは表向きは愛想を振りまく。

「徹夜で練習した手品、見せちゃうぞー!」

 ステージの上で手を振っていたファニーは、手から突如沢山のカラーカードをあふれさせ、カラフルな演出に会場は一気に盛り上がった。

「声援ありがとー!」

 そう言って投げキッスをしながら、ファニーはステージから下がった。



「ファニーおつかれさまあ。手品すごいね~」

「ふう、ちょっと緊張しちゃった」

「でも、みんな盛り上がってた」

「まあ、それに助けられて、手品もちゃんと出来たけどネ」

 ステージ裏で出迎えたキュッリッキに、ファニーは笑った。

 2人は笑い合いながら、会話に夢中になっていると、

「エントリーナンバー50、ライオン傭兵団のキュッリッキちゃ~ん! 本日最後の美人ちゃんだよ~~~~!」

 司会者がキュッリッキを呼ぶ。

「ほら、あんたの出番よ。ちゃんと顔上げてステージに立つのよ」

「はーい」

 キュッリッキは両拳を握って気合を入れると、ステージに上がった。
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