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美人コンテスト編
episode567
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開始ギリギリまでいたファニーとハドリーは、そろそろ戻ると言ってテントを出て行った。そして入れ違いに、副宰相様御一行が到着する。
テントに飛び込むようにして入ってきたベルトルドとアルカネットは、
「応援にきたぞリッキー!!」
「緊張はしてませんか?」
返事も待たずにキュッリッキに飛びつく。
「ふにゃっ」
嬉々としたベルトルドとアルカネットに飛びかかられて、かわすことができなかったキュッリッキは、抱きつかれたまま盛大に後ろにひっくり返った。
「もおおおっ、重いんだよ~~~2人とも!!」
足場は柔らかい砂なので、倒れてもあまり痛くなかったが、ステージに上がる前に衣装が汚れてしまうと思って抗議の声を上げる。
「あまりの美しさに我慢しきれなくてな。場違いなブスどもに思い知らせてやるといい!!」
「勘違いした醜女共に、リッキーさんの神々しい美しさを見せつけましょうね」
防音措置のされていない麻布の簡易テントだ。当然ベルトルドとアルカネットの暴言は、隣3個分のテントには筒抜けのまる聞こえである。猛然と抗議する声が飛び交っていたが、当然2人の耳には入ってこない。代わりにルーファスが背中で汗を流し続けた。
「メス豚どもがギーギー怒っているケド、白熱してるところへ衝撃の事実を叩きつけられると、当分の間撃沈できるから楽しみだわね」
メイク崩れがないかコンパクトの鏡でチェックしながら、リュリュがニッコリと追撃する。
「身の程を知るイイ機会ですね」
色のついたレンズで奥が見えないシ・アティウスが、眼鏡のブリッジを指で押し上げながら無表情にトドメを刺す。隣のテントからは、歯軋りとぐぅの音しか聞こえてこなくなっていた。
「シ・アティウスさんも来たんですね。こういうトコにいるのって珍しい」
蚊帳の外状態のルーファスが、不思議そうにシ・アティウスを見る。こういったイベントには、少しも興味がないだろうと思っていたからだ。
「今日は是非にとも、キュッリッキ嬢に優勝して欲しくて、応援に駆けつけた次第ですよ」
「へ~、シ・アティウスさんも温泉に行きたいんですね」
「…まあ、温泉のあるケウルーレに用事があってな」
温泉に行きたい目的の3人と一緒に括られたくないシ・アティウスは、のっそりと訂正を入れておく。
「そっかあ。まあ、よほど審査員がヘンなモノ好きじゃなければ、優勝間違いないから。ね、キューリちゃん」
2人の中年に抱きつかれながら、地面にペタリと座っているキュッリッキに、ルーファスの愛嬌あるウインクが投げられた。
「メルヴィンのためなら、頑張るんだもん」
憮然とするキュッリッキはそう言って、プイッとそっぽを向いた。
正午になり、ビーチに大きなドラを打つ音が鳴り響く。この暑い中、黒いタキシードに身を包んだ司会者により、美人コンテストの開始が大声で告げられた。
ステージ前に集う観客たちから、絶叫にも近い声援が上がっていた。
衝立の向こう側が盛り上がり、誘われるようにしてキュッリッキはテントから出る。ルーファスはライオン傭兵団が陣取る客席に戻っていた。
出場者の控え用に建てられているテントの前に、大きな衝立が建てられ、観客たちから出場者の姿が見えないようになっている。その内側からは、ステージを見ることができた。
「アタシたちもここから、ステージ見られるんだ~」
「ブスがぞろぞろ続くだけだぞ」
ベルトルドもキュッリッキの横に並び、興味なさそうに言う。
ウキウキしているキュッリッキは、物珍しそうに目を輝かせ、ステージのほうを見上げていた。
「ほら小娘、メイク直してあげるから、ちょっとこっちにきなさい」
「え~~~、出番まだまだだし、もうちょっと見たいよう」
「どうせ落選するブス共を見たって、しょうがないわよン」
「そうですよ。お化粧を直してもらいましょうね」
「ふぁ~い」
リュリュとアルカネットに促され、キュッリッキは渋々テントに戻る。
「顔はどれも低レベルだが、おっぱいと尻は、なかなかにイイ線イってるな! 見ろ、あの引き締まったヒップに、ココ椰子のようにバインバイン揺れるおっぱいを!! 俺の股間はすっかりバーニングだ」
「連続でマイクロビキニで攻めてますねえ。あんな細い紐で、殆ど隠れてませんよ。こっからだと丸見えだ」
ベルトルドは鼻の下を伸ばしながら、艶かしい美女たちの肢体に釘付けである。
顔ではなく身体で勝負に出ている美女たちの水着に、どこまでが水着で裸体なのかの判断を、シ・アティウスは真剣に悩んでいた。
「ちょっとあーたたち、下品な感想述べてんじゃないわよ!」
「夏は理性を丸裸にする」
テントに飛び込むようにして入ってきたベルトルドとアルカネットは、
「応援にきたぞリッキー!!」
「緊張はしてませんか?」
返事も待たずにキュッリッキに飛びつく。
「ふにゃっ」
嬉々としたベルトルドとアルカネットに飛びかかられて、かわすことができなかったキュッリッキは、抱きつかれたまま盛大に後ろにひっくり返った。
「もおおおっ、重いんだよ~~~2人とも!!」
足場は柔らかい砂なので、倒れてもあまり痛くなかったが、ステージに上がる前に衣装が汚れてしまうと思って抗議の声を上げる。
「あまりの美しさに我慢しきれなくてな。場違いなブスどもに思い知らせてやるといい!!」
「勘違いした醜女共に、リッキーさんの神々しい美しさを見せつけましょうね」
防音措置のされていない麻布の簡易テントだ。当然ベルトルドとアルカネットの暴言は、隣3個分のテントには筒抜けのまる聞こえである。猛然と抗議する声が飛び交っていたが、当然2人の耳には入ってこない。代わりにルーファスが背中で汗を流し続けた。
「メス豚どもがギーギー怒っているケド、白熱してるところへ衝撃の事実を叩きつけられると、当分の間撃沈できるから楽しみだわね」
メイク崩れがないかコンパクトの鏡でチェックしながら、リュリュがニッコリと追撃する。
「身の程を知るイイ機会ですね」
色のついたレンズで奥が見えないシ・アティウスが、眼鏡のブリッジを指で押し上げながら無表情にトドメを刺す。隣のテントからは、歯軋りとぐぅの音しか聞こえてこなくなっていた。
「シ・アティウスさんも来たんですね。こういうトコにいるのって珍しい」
蚊帳の外状態のルーファスが、不思議そうにシ・アティウスを見る。こういったイベントには、少しも興味がないだろうと思っていたからだ。
「今日は是非にとも、キュッリッキ嬢に優勝して欲しくて、応援に駆けつけた次第ですよ」
「へ~、シ・アティウスさんも温泉に行きたいんですね」
「…まあ、温泉のあるケウルーレに用事があってな」
温泉に行きたい目的の3人と一緒に括られたくないシ・アティウスは、のっそりと訂正を入れておく。
「そっかあ。まあ、よほど審査員がヘンなモノ好きじゃなければ、優勝間違いないから。ね、キューリちゃん」
2人の中年に抱きつかれながら、地面にペタリと座っているキュッリッキに、ルーファスの愛嬌あるウインクが投げられた。
「メルヴィンのためなら、頑張るんだもん」
憮然とするキュッリッキはそう言って、プイッとそっぽを向いた。
正午になり、ビーチに大きなドラを打つ音が鳴り響く。この暑い中、黒いタキシードに身を包んだ司会者により、美人コンテストの開始が大声で告げられた。
ステージ前に集う観客たちから、絶叫にも近い声援が上がっていた。
衝立の向こう側が盛り上がり、誘われるようにしてキュッリッキはテントから出る。ルーファスはライオン傭兵団が陣取る客席に戻っていた。
出場者の控え用に建てられているテントの前に、大きな衝立が建てられ、観客たちから出場者の姿が見えないようになっている。その内側からは、ステージを見ることができた。
「アタシたちもここから、ステージ見られるんだ~」
「ブスがぞろぞろ続くだけだぞ」
ベルトルドもキュッリッキの横に並び、興味なさそうに言う。
ウキウキしているキュッリッキは、物珍しそうに目を輝かせ、ステージのほうを見上げていた。
「ほら小娘、メイク直してあげるから、ちょっとこっちにきなさい」
「え~~~、出番まだまだだし、もうちょっと見たいよう」
「どうせ落選するブス共を見たって、しょうがないわよン」
「そうですよ。お化粧を直してもらいましょうね」
「ふぁ~い」
リュリュとアルカネットに促され、キュッリッキは渋々テントに戻る。
「顔はどれも低レベルだが、おっぱいと尻は、なかなかにイイ線イってるな! 見ろ、あの引き締まったヒップに、ココ椰子のようにバインバイン揺れるおっぱいを!! 俺の股間はすっかりバーニングだ」
「連続でマイクロビキニで攻めてますねえ。あんな細い紐で、殆ど隠れてませんよ。こっからだと丸見えだ」
ベルトルドは鼻の下を伸ばしながら、艶かしい美女たちの肢体に釘付けである。
顔ではなく身体で勝負に出ている美女たちの水着に、どこまでが水着で裸体なのかの判断を、シ・アティウスは真剣に悩んでいた。
「ちょっとあーたたち、下品な感想述べてんじゃないわよ!」
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