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アン=マリー女学院からの依頼編
episode527
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ブローリン街の雑貨屋で食用油の大瓶を2つ買って店の外に出ると、店の前で待っているはずのキュッリッキがいない。メルヴィンは辺りを見回して、斜め向かいの店の前にキュッリッキを見つけた。
ショーウィンドウに張り付くようにして、何かに見入っている。その足元には、仔犬姿のフェンリルとフローズヴィトニルが、退屈そうに座っていた。
「どうしたんですか、リッキー」
「うん……」
上の空のような返事をするキュッリッキに、メルヴィンは不思議そうに首をかしげ、ショーウインドウの中を見る。
真っ白なシルクのドレスに白いレースをふんだんにあしらった、煌くようなウェディングドレスが飾られていた。
キュッリッキは夢見るような、憧れを込めた眼差しで見入っている。
それに気づいて、メルヴィンはちょっと照れくさそうに微笑み、そしてウェディングドレスに目を向けた。
いつの日か、ウェディングドレスを纏ったキュッリッキを、この腕に抱く時がくるのだろうか。つい先日恋人同士になったばかりだが、ドレスを見ていると思ってしまう。
ちらりとキュッリッキを見て、目の前のドレスを纏った彼女を想像してみる。
金色の髪を結い上げて、半透明な白いヴェールをかぶり、雪のように白いこのドレスを身にまとった彼女は、誰よりも美しく、天使のように無垢な姿だろう。
「ねえ、メルヴィン」
突然声をかけられ現実に戻ると、メルヴィンはちょっと慌てながら、見上げてくるキュッリッキに笑いかけた。
「ど、どうしました!?」
「いつか、アタシもこんな綺麗なウェディングドレス、着たいなぁ……」
そして、恥ずかしそうに頬を染める。
それはつまり。
(ウェディングドレスを着たいとおねだりしてくるってことは、遠巻きに、プ、プロポーズを受けているってことじゃ……?)
メルヴィンは焦った。何故なら、プロポーズは男からするものだと昔から思っているからである。しかしこの解釈は、やや角度がズレていた。
キュッリッキは単に、乙女の憧れを口にしただけで、なにもメルヴィンにおねだり攻撃兼プロポーズを仄めかしているわけではない。
大きく勘違いしたメルヴィンは、買ったばかりの食用油の大瓶をいれた紙袋を落としそうになって、慌てて抱えなおす。
「ま、まずは、婚約指輪からですよ!?」
思わず声が裏返りながら言うと、メルヴィンも顔を赤くしながらキュッリッキの手を掴み、逃げるようにエルダー街のほうへ早歩きし始めた。いきなりのことに、キュッリッキは「あれ?」と首をかしげる。
「?? メルヴィンどうしたの!?」
「早くこの油をキリ夫人に届けないと、もうすぐお昼ですしね!」
「にゅ? でも、今日のランチは外で食べようって、言ってなかったっけ?」
「い、急ぎますよ!」
「あぁん」
(『外に出たついで』に『ストック用』の食用油を買ってきて、ってキリ夫人に言われてた気がするんだけど??)
そうキュッリッキは数十分前の記憶をたどったが、メルヴィンにグイグイ引っ張られて、抵抗のしようがなかった。
ショーウィンドウに張り付くようにして、何かに見入っている。その足元には、仔犬姿のフェンリルとフローズヴィトニルが、退屈そうに座っていた。
「どうしたんですか、リッキー」
「うん……」
上の空のような返事をするキュッリッキに、メルヴィンは不思議そうに首をかしげ、ショーウインドウの中を見る。
真っ白なシルクのドレスに白いレースをふんだんにあしらった、煌くようなウェディングドレスが飾られていた。
キュッリッキは夢見るような、憧れを込めた眼差しで見入っている。
それに気づいて、メルヴィンはちょっと照れくさそうに微笑み、そしてウェディングドレスに目を向けた。
いつの日か、ウェディングドレスを纏ったキュッリッキを、この腕に抱く時がくるのだろうか。つい先日恋人同士になったばかりだが、ドレスを見ていると思ってしまう。
ちらりとキュッリッキを見て、目の前のドレスを纏った彼女を想像してみる。
金色の髪を結い上げて、半透明な白いヴェールをかぶり、雪のように白いこのドレスを身にまとった彼女は、誰よりも美しく、天使のように無垢な姿だろう。
「ねえ、メルヴィン」
突然声をかけられ現実に戻ると、メルヴィンはちょっと慌てながら、見上げてくるキュッリッキに笑いかけた。
「ど、どうしました!?」
「いつか、アタシもこんな綺麗なウェディングドレス、着たいなぁ……」
そして、恥ずかしそうに頬を染める。
それはつまり。
(ウェディングドレスを着たいとおねだりしてくるってことは、遠巻きに、プ、プロポーズを受けているってことじゃ……?)
メルヴィンは焦った。何故なら、プロポーズは男からするものだと昔から思っているからである。しかしこの解釈は、やや角度がズレていた。
キュッリッキは単に、乙女の憧れを口にしただけで、なにもメルヴィンにおねだり攻撃兼プロポーズを仄めかしているわけではない。
大きく勘違いしたメルヴィンは、買ったばかりの食用油の大瓶をいれた紙袋を落としそうになって、慌てて抱えなおす。
「ま、まずは、婚約指輪からですよ!?」
思わず声が裏返りながら言うと、メルヴィンも顔を赤くしながらキュッリッキの手を掴み、逃げるようにエルダー街のほうへ早歩きし始めた。いきなりのことに、キュッリッキは「あれ?」と首をかしげる。
「?? メルヴィンどうしたの!?」
「早くこの油をキリ夫人に届けないと、もうすぐお昼ですしね!」
「にゅ? でも、今日のランチは外で食べようって、言ってなかったっけ?」
「い、急ぎますよ!」
「あぁん」
(『外に出たついで』に『ストック用』の食用油を買ってきて、ってキリ夫人に言われてた気がするんだけど??)
そうキュッリッキは数十分前の記憶をたどったが、メルヴィンにグイグイ引っ張られて、抵抗のしようがなかった。
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