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番外編・2
コッコラ王国の悲劇・37
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「防御魔法が間に合いません~~!!」
シビルが泣きそうに叫び、
「だったらこれでどうだよ!!」
ハーマンがトイコス・トゥルバで土の壁を作る。しかしアルカネットの作り出した水柱は、土の壁を易易と粉砕して襲いかかった。
ギャリーとメルヴィンが、ハーマンとシビルに襲いかかる水柱を刃で叩き落とそうとした。しかし、水柱はまるで蛇のように刃に絡みつき、2人の自由を奪ってしまう。
ザカリーから放たれる魔弾では全ての石礫を叩き落とせず、タルコットの放った大鎌スルーズの剣圧も空間に飲み込まれてしまう。そして水柱は容赦なく襲いかかってくる。
「きゃあっ」
マーゴットは腕を水柱で貫かれて悲鳴を上げて倒れた。それに気づいてカーティスが駆けつけようとしたが、同様に両足を水柱で貫かれて転んで倒れる。
「ほらほら、あなたたちは甘いのですよ」
笑顔のアルカネットは手心も加えず水柱を操り、
「イラアルータ・トニトルス」
水柱を操りながら、今度は雷の雨を戦場に降らせた。これには周囲で傍観していた他の傭兵たちも巻き込まれ、逃げ遅れた傭兵たちは消し炭にされてしまった。
散々水柱が荒れ狂った場に雷の雨が降り注いでいる状況は、ライオン傭兵団をますます慌てさせた。これでは雷に打たれなくても感電死してしまう。
「アルカネット、もっと水を拡散させろ。その他傭兵どもも一網打尽だ」
「了解です」
更にアルカネットは「トゥムルトゥス・リーフ」と言って風を荒れ狂わせた。
水柱がトゥムルトゥス・リーフによって巻き上げられ、戦場にビシャビシャと散っていった。これに気づいた傭兵たちが、血相を変えて逃亡を始める。
「イラアルータ・トニトルス!」
水が拡散してばらまかれたのを確認したと同時に、広範囲に雷の雨が降り注いで、傭兵たちは焼き殺されるか感電死するかで、平原は阿鼻叫喚状態だ。
ベルトルドの興味はなすすべもないライオン傭兵団から、逃げ惑うその他傭兵たちに切り替わった。鋭い視線をコッコラ王国軍側に向けると、そちらに向けて歩き出す。
それにカチンときたライオン傭兵団は、死に物狂いで反撃に出たが、
「もうあなた方は寝ていなさい、目障りです。――ケーラ・ベークシス!」
アルカネットがその場に手をつくと、瞬時に氷が地面を走り、ライオン傭兵団を飲み込んで動きを奪ってしまった。
氷に自由を奪われながらも、ガエルとヴァルトはもがいてどうにか氷を砕こうとした。
「往生際が悪いぞ」
トコトコ戻ってきたベルトルドが、ガエルとヴァルトのこめかみを容赦なく蹴り飛ばした。急所を攻撃されてはどうしようもなく、2人はサクッと気を失ってしまった。
ベルトルドが戦場を見渡すと、傭兵たちは無様に全速力で逃げている真っ最中だった。
「出し惜しみするんじゃないぞお前たち! もう終わりなのか?」
不敵な笑みを浮かべながら叫ぶと、ベルトルドは足元のザカリーの背中を遠慮なく踏んづけて、軽く肩をすくめる
「張り合いのない連中だな…。それにしてもお前たち、もうちょっと頑張れば面白かったものを。あっさり沈みおって情けない」
やれやれ、とため息をつき、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う傭兵たちを追いかけるために、軽やかな足取りでコッコラ王国領内に向けて歩き出した。
シビルが泣きそうに叫び、
「だったらこれでどうだよ!!」
ハーマンがトイコス・トゥルバで土の壁を作る。しかしアルカネットの作り出した水柱は、土の壁を易易と粉砕して襲いかかった。
ギャリーとメルヴィンが、ハーマンとシビルに襲いかかる水柱を刃で叩き落とそうとした。しかし、水柱はまるで蛇のように刃に絡みつき、2人の自由を奪ってしまう。
ザカリーから放たれる魔弾では全ての石礫を叩き落とせず、タルコットの放った大鎌スルーズの剣圧も空間に飲み込まれてしまう。そして水柱は容赦なく襲いかかってくる。
「きゃあっ」
マーゴットは腕を水柱で貫かれて悲鳴を上げて倒れた。それに気づいてカーティスが駆けつけようとしたが、同様に両足を水柱で貫かれて転んで倒れる。
「ほらほら、あなたたちは甘いのですよ」
笑顔のアルカネットは手心も加えず水柱を操り、
「イラアルータ・トニトルス」
水柱を操りながら、今度は雷の雨を戦場に降らせた。これには周囲で傍観していた他の傭兵たちも巻き込まれ、逃げ遅れた傭兵たちは消し炭にされてしまった。
散々水柱が荒れ狂った場に雷の雨が降り注いでいる状況は、ライオン傭兵団をますます慌てさせた。これでは雷に打たれなくても感電死してしまう。
「アルカネット、もっと水を拡散させろ。その他傭兵どもも一網打尽だ」
「了解です」
更にアルカネットは「トゥムルトゥス・リーフ」と言って風を荒れ狂わせた。
水柱がトゥムルトゥス・リーフによって巻き上げられ、戦場にビシャビシャと散っていった。これに気づいた傭兵たちが、血相を変えて逃亡を始める。
「イラアルータ・トニトルス!」
水が拡散してばらまかれたのを確認したと同時に、広範囲に雷の雨が降り注いで、傭兵たちは焼き殺されるか感電死するかで、平原は阿鼻叫喚状態だ。
ベルトルドの興味はなすすべもないライオン傭兵団から、逃げ惑うその他傭兵たちに切り替わった。鋭い視線をコッコラ王国軍側に向けると、そちらに向けて歩き出す。
それにカチンときたライオン傭兵団は、死に物狂いで反撃に出たが、
「もうあなた方は寝ていなさい、目障りです。――ケーラ・ベークシス!」
アルカネットがその場に手をつくと、瞬時に氷が地面を走り、ライオン傭兵団を飲み込んで動きを奪ってしまった。
氷に自由を奪われながらも、ガエルとヴァルトはもがいてどうにか氷を砕こうとした。
「往生際が悪いぞ」
トコトコ戻ってきたベルトルドが、ガエルとヴァルトのこめかみを容赦なく蹴り飛ばした。急所を攻撃されてはどうしようもなく、2人はサクッと気を失ってしまった。
ベルトルドが戦場を見渡すと、傭兵たちは無様に全速力で逃げている真っ最中だった。
「出し惜しみするんじゃないぞお前たち! もう終わりなのか?」
不敵な笑みを浮かべながら叫ぶと、ベルトルドは足元のザカリーの背中を遠慮なく踏んづけて、軽く肩をすくめる
「張り合いのない連中だな…。それにしてもお前たち、もうちょっと頑張れば面白かったものを。あっさり沈みおって情けない」
やれやれ、とため息をつき、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う傭兵たちを追いかけるために、軽やかな足取りでコッコラ王国領内に向けて歩き出した。
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