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番外編・2
コッコラ王国の悲劇・28
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ブルーベル将軍は増援とベルトルドが派遣されることが決まった報告を、副官のハギから受けていた。
「おやおや、ベルトルド殿まで?」
「勅命だったようですよ」
「それはそれは」
ニコニコしながらブルーベル将軍は頷いた。
一方、コッコラ王国本軍でも、ハーメンリンナに潜り込んでいた密偵が、増援とベルトルドが送り込まれてくる情報を掴んで報告していた。
「やっとあの痴れ者がくるか」
王太子は鋭い眼光を皇都イララクスの方角へ向けた。
副宰相であるベルトルドが、戦場に送り込まれてくることはまず有り得ない。軍関係者であるなら多少可能性はあるが、サイ《超能力》を有するとはいえベルトルドは政治屋だ。そこで、王太子は密偵を使って、ベルトルドの周辺や関係者を徹底的に調べ上げた。
そこに浮かび上がったのは、ライオン傭兵団の存在である。そのライオン傭兵団も調べ、傭兵としては駆け出しの無名ではあるが、メンバーの中にハワドウレ皇国軍に属していた者が多くいることを知った。
かつて身を寄せていた軍と敵対するだろうか? 普通なら憚るだろう。だから報酬を餌に自軍に取り込むことは賭けだった。
まんまと餌につられてやってきたライオン傭兵団の存在を、皇国軍にアピールするためには、自由に彼らを遊ばせてやればいい。派手に皇国軍に敵対してくれれば、詰め腹を切らされにベルトルドは出てこざるを得ない。
それが王太子の賭け寄りな計画だったが、期待以上にライオン傭兵団は目立ち、暴れまわってくれたようだ。
「思惑通りにベルトルドを引っ張り出してくれたライオン傭兵団とやらには、特別に報酬を弾んでやらねばな」
王太子の呟きに、密偵は深々と頭(こうべ)をたれた。
たった一人の男を引きずり出すために、王家は命運をかけた計画を実行した。石油の供給を停止して謀反を起こし、大々的に傭兵を募って戦争にまで発展させたのも、全てはベルトルドを殺すため。
ハーメンリンナにいるベルトルドを殺すことは難しい。副宰相という地位についている者は、陰ながら四六時中護衛がついているものだ。それを退けて殺害することは不可能に近い。暗殺を試みることも検討されたが、ダエヴァと呼ばれる特殊部隊の存在がベルトルドを守っていると言われている。だから、どうしても確実に殺せる場所を作り、そこへおびき出す必要があったのだ。
「妹姫の仇は兄であるこの俺がとらねばならない。必ず俺自身の手で首を取ってやるぞ」
全ては愛する只ひとりの妹ジーネット姫のため。その大切な妹姫のために、この大規模な処刑場を用意したのだ。
王太子は片時も離さず握っている長槍の柄を、更に力強く握り締めた。
「おやおや、ベルトルド殿まで?」
「勅命だったようですよ」
「それはそれは」
ニコニコしながらブルーベル将軍は頷いた。
一方、コッコラ王国本軍でも、ハーメンリンナに潜り込んでいた密偵が、増援とベルトルドが送り込まれてくる情報を掴んで報告していた。
「やっとあの痴れ者がくるか」
王太子は鋭い眼光を皇都イララクスの方角へ向けた。
副宰相であるベルトルドが、戦場に送り込まれてくることはまず有り得ない。軍関係者であるなら多少可能性はあるが、サイ《超能力》を有するとはいえベルトルドは政治屋だ。そこで、王太子は密偵を使って、ベルトルドの周辺や関係者を徹底的に調べ上げた。
そこに浮かび上がったのは、ライオン傭兵団の存在である。そのライオン傭兵団も調べ、傭兵としては駆け出しの無名ではあるが、メンバーの中にハワドウレ皇国軍に属していた者が多くいることを知った。
かつて身を寄せていた軍と敵対するだろうか? 普通なら憚るだろう。だから報酬を餌に自軍に取り込むことは賭けだった。
まんまと餌につられてやってきたライオン傭兵団の存在を、皇国軍にアピールするためには、自由に彼らを遊ばせてやればいい。派手に皇国軍に敵対してくれれば、詰め腹を切らされにベルトルドは出てこざるを得ない。
それが王太子の賭け寄りな計画だったが、期待以上にライオン傭兵団は目立ち、暴れまわってくれたようだ。
「思惑通りにベルトルドを引っ張り出してくれたライオン傭兵団とやらには、特別に報酬を弾んでやらねばな」
王太子の呟きに、密偵は深々と頭(こうべ)をたれた。
たった一人の男を引きずり出すために、王家は命運をかけた計画を実行した。石油の供給を停止して謀反を起こし、大々的に傭兵を募って戦争にまで発展させたのも、全てはベルトルドを殺すため。
ハーメンリンナにいるベルトルドを殺すことは難しい。副宰相という地位についている者は、陰ながら四六時中護衛がついているものだ。それを退けて殺害することは不可能に近い。暗殺を試みることも検討されたが、ダエヴァと呼ばれる特殊部隊の存在がベルトルドを守っていると言われている。だから、どうしても確実に殺せる場所を作り、そこへおびき出す必要があったのだ。
「妹姫の仇は兄であるこの俺がとらねばならない。必ず俺自身の手で首を取ってやるぞ」
全ては愛する只ひとりの妹ジーネット姫のため。その大切な妹姫のために、この大規模な処刑場を用意したのだ。
王太子は片時も離さず握っている長槍の柄を、更に力強く握り締めた。
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