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番外編・2
コッコラ王国の悲劇・18
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コッコラ王国に無事雇われたライオン傭兵団は、無為に5日間暇を持たされた挙句、一先ず他の傭兵団の指揮する班に配属されることになった。
傭兵団からフリーの傭兵たちまで、総勢3万人もの傭兵たちが、莫大な報酬金を成約されコッコラ王国に雇われていた。その傭兵たちを統率するのは傭兵たち自身に任せることにしたのか、比較的大きな3つの傭兵団が代表に選ばれ、その指揮下に師団レベルの人数で割り振られた。
ライオン傭兵団は《夜明けの孔雀》傭兵団の指揮下に配属された。
「ウチもなかなか可愛いネーミングだと思ってましたが、上には上がいらっしゃいますねえ」
吹き出したいのを嫌味で堪えながら、カーティスは通達書を見ながらニヤニヤしていた。
「《夜明けの孔雀》傭兵団ね……どうして夜明けなのかツッコミたいところだが、ウエケラ大陸じゃ有名な傭兵団だぜ」
苦笑しながらギャリーがぼやく。
「有名どころも報酬に釣られて駆けつけてきたんですね。とにかく破格過ぎますから。で、ウチも例外に漏れず組織だって動くことになるんですか? カーティスさん」
ギャリーの膝の上にちょこんと座っているシビルが首をかしげる。
「コッコラ王国側も《夜明けの孔雀》傭兵団側も、そんな面倒なことは望んでいないようでした。戦闘配置の場所指定だけは守って、そのあとは勝手にしろってかんじでしたねえ」
「うは、いよいよもって適当感漂いすぎますね……」
シビルは不安そうにガックリとうなだれた。
「下手に指揮されて、お行儀よく戦闘しろと言われてもぞっとしませんし、好きに戦えるのは、我々にはありがたいですから」
「そーそー。売名行為は目立たなくっちゃ~」
「それ、言い方露骨すぎっ」
「丁寧に言い換えても、やることわぁ~、売名行為だも~ん」
ザカリーにツッコまれて、マリオンは肩をすくめながらも、楽しそうに微笑んでいた。
「なーなー、誰が一番首をとれるか、ショーブしよーぜショーブ!」
ヴァルトが床にゴロゴロ転がりながら叫ぶ。
「ボクが当然一番だろうね、キミたちには悪いが」
いち早く反応したタルコットが、うっすらとした笑みを浮かべながら、挑戦的な視線を仲間に向ける。ヴァルトと双璧を成す美貌の持ち主なので、得意げなその表情すら妖しく艶やかだ。
「ケッ! 寝言はベッドのなかでほざけ。おめえらのちんたらプレーで、オレに勝てるか」
そう言うと、ギャリーは膝の上のシビルの脳天に拳骨を見舞った。
「いった~~い! ノリで殴るのやめてください全く!!」
ぷんすか怒って、シビルは膝の上から飛び降りた。
「お前たちアクションは派手だが、無駄な動きが多い。バテて結局は数を稼げないから俺が一番だ」
壁にもたれかかりながら、ガエルはズッシリと野太い声で断言した。口元には微かに自信に満ちた笑みがほころんでいる。
「バーロー!! クマ野郎に負ける俺様じゃねえ!! てめーらオノレのヒリキさを嘆くがいい!!!」
ガバッと立ち上がったヴァルトが、金髪を振り乱しながら轟然と言い放つ。
今から舌戦上で勝負が始まっている仲間たちを冷ややかに見つめながら、
「誰が回復すると思ってるの……」
と、ランドンがうんざりしたように小さくぼやいていた。
宿がわりに使っている富豪宅の離れで盛り上がるライオン傭兵団は、《夜明けの孔雀》傭兵団から連絡が届き、各々荷物をもって立ち上がった。
「では皆さん、張り切って売名行為に励みましょう」
おう!! と元気な声があがり、ライオン傭兵団はコッコラ王国とハワドウレ皇国の国境に出発した。
傭兵団からフリーの傭兵たちまで、総勢3万人もの傭兵たちが、莫大な報酬金を成約されコッコラ王国に雇われていた。その傭兵たちを統率するのは傭兵たち自身に任せることにしたのか、比較的大きな3つの傭兵団が代表に選ばれ、その指揮下に師団レベルの人数で割り振られた。
ライオン傭兵団は《夜明けの孔雀》傭兵団の指揮下に配属された。
「ウチもなかなか可愛いネーミングだと思ってましたが、上には上がいらっしゃいますねえ」
吹き出したいのを嫌味で堪えながら、カーティスは通達書を見ながらニヤニヤしていた。
「《夜明けの孔雀》傭兵団ね……どうして夜明けなのかツッコミたいところだが、ウエケラ大陸じゃ有名な傭兵団だぜ」
苦笑しながらギャリーがぼやく。
「有名どころも報酬に釣られて駆けつけてきたんですね。とにかく破格過ぎますから。で、ウチも例外に漏れず組織だって動くことになるんですか? カーティスさん」
ギャリーの膝の上にちょこんと座っているシビルが首をかしげる。
「コッコラ王国側も《夜明けの孔雀》傭兵団側も、そんな面倒なことは望んでいないようでした。戦闘配置の場所指定だけは守って、そのあとは勝手にしろってかんじでしたねえ」
「うは、いよいよもって適当感漂いすぎますね……」
シビルは不安そうにガックリとうなだれた。
「下手に指揮されて、お行儀よく戦闘しろと言われてもぞっとしませんし、好きに戦えるのは、我々にはありがたいですから」
「そーそー。売名行為は目立たなくっちゃ~」
「それ、言い方露骨すぎっ」
「丁寧に言い換えても、やることわぁ~、売名行為だも~ん」
ザカリーにツッコまれて、マリオンは肩をすくめながらも、楽しそうに微笑んでいた。
「なーなー、誰が一番首をとれるか、ショーブしよーぜショーブ!」
ヴァルトが床にゴロゴロ転がりながら叫ぶ。
「ボクが当然一番だろうね、キミたちには悪いが」
いち早く反応したタルコットが、うっすらとした笑みを浮かべながら、挑戦的な視線を仲間に向ける。ヴァルトと双璧を成す美貌の持ち主なので、得意げなその表情すら妖しく艶やかだ。
「ケッ! 寝言はベッドのなかでほざけ。おめえらのちんたらプレーで、オレに勝てるか」
そう言うと、ギャリーは膝の上のシビルの脳天に拳骨を見舞った。
「いった~~い! ノリで殴るのやめてください全く!!」
ぷんすか怒って、シビルは膝の上から飛び降りた。
「お前たちアクションは派手だが、無駄な動きが多い。バテて結局は数を稼げないから俺が一番だ」
壁にもたれかかりながら、ガエルはズッシリと野太い声で断言した。口元には微かに自信に満ちた笑みがほころんでいる。
「バーロー!! クマ野郎に負ける俺様じゃねえ!! てめーらオノレのヒリキさを嘆くがいい!!!」
ガバッと立ち上がったヴァルトが、金髪を振り乱しながら轟然と言い放つ。
今から舌戦上で勝負が始まっている仲間たちを冷ややかに見つめながら、
「誰が回復すると思ってるの……」
と、ランドンがうんざりしたように小さくぼやいていた。
宿がわりに使っている富豪宅の離れで盛り上がるライオン傭兵団は、《夜明けの孔雀》傭兵団から連絡が届き、各々荷物をもって立ち上がった。
「では皆さん、張り切って売名行為に励みましょう」
おう!! と元気な声があがり、ライオン傭兵団はコッコラ王国とハワドウレ皇国の国境に出発した。
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