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番外編・2
コッコラ王国の悲劇・11
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カーティスとガエルは、重厚な彫刻が並び、微細な天井絵に彩られた大理石廊下を並んで歩く。2人はそんな美術品にはなんの興味もわかず、目の端に眺めながら淡々と前を見ていた。
コッコラ王国側の傭兵募集に乗ることを決めた翌日、出張用の荷物をまとめると、アジトの管理を任せているキリ夫妻に見送られて、傭兵団全員でコッコラ王国に出発した。
移動はエグザイル・システムを使うのでラクなのだが、コッコラ王国への渡航は制限がかかりはじめたようで、とくに傭兵や職人などの出国には、ハワドウレ皇国の厳しい審査が始まっていた。
そこでカーティス達は、わざわざ惑星タピオに飛んで、そこから惑星ヒイシに入り直してコッコラ王国へ飛ぶという、とても面倒な手順を踏んだ。惑星間の移動では、玄関口になる無人のエグザイル・システムに飛ぶ。そこまではハワドウレ皇国の管理下に置かれていない。
幸い裏ワザ手順までは抑えられていないようで、ギリギリ間に合った感じだろう。
エグザイル・システムとは、世界各地に多く点在する転送装置の名称である。
半径1メートルほどの黒い石造りの台座に、短い銀の支柱のようなものが3本立っている。台座の中心にはその惑星の地図が平面上に彫り込まれていて、エグザイル・システムがある土地の位置にスイッチのような突起がある。そのスイッチを踏めば台座に乗っているもの全てを一瞬でそこへ飛ばしてもらえるのだ。重さや大きさは問わず、台座の上に収まれば大丈夫だ。
惑星間を移動するときには銀の支柱に触れればよく、支柱はそれぞれの惑星へのスイッチの役割を持っていた。
惑星間移動ではそれぞれの惑星で、必ず玄関口となる場所に飛ぶようになっている。そこから向かいたい土地を選択すればいいので、移動もスムーズだ。
エグザイル・システムの利用はどの国でも無料で使える、便利で手頃な移動手段だった。
コッコラ王国の首都エルマスに到着したライオン傭兵団は、その足でカーティスとガエルが傭兵募集を行っている宮殿へ、残りは宿屋探しにわかれた。
宮殿から出て街に入ると、辺りに漂う雰囲気にカーティスは眉をしかめた。
エルマスには物騒な連中が多くひしめき合っている。にもかかわらず、街の雰囲気は明るく、どこか異様に盛り上がっているような気配すらあるのだ。
絶え間なく陽気に流れる舞踏の音楽、笑いさざめく人々、露天から香ってくる肉の香ばしい匂い、物を売り歩く陽気な商人たち。とても戦争を控えているという雰囲気ではない。
「心の底から、穏やかに楽しいというわけじゃないようですねえ。まるで恐怖を誤魔化す様な、気色の悪い陽気さを感じます」
「うむ」
鼓舞するためのものではない。恐怖に怯える心を無理に隠すような熱気が、街全体を覆い尽くしているかのようだ。
マリオンから念話で連絡をもらっていたカーティスは、街に漂う異様な空気を肌で感じながら、仲間たちの待つ宿へ向かった。
コッコラ王国側の傭兵募集に乗ることを決めた翌日、出張用の荷物をまとめると、アジトの管理を任せているキリ夫妻に見送られて、傭兵団全員でコッコラ王国に出発した。
移動はエグザイル・システムを使うのでラクなのだが、コッコラ王国への渡航は制限がかかりはじめたようで、とくに傭兵や職人などの出国には、ハワドウレ皇国の厳しい審査が始まっていた。
そこでカーティス達は、わざわざ惑星タピオに飛んで、そこから惑星ヒイシに入り直してコッコラ王国へ飛ぶという、とても面倒な手順を踏んだ。惑星間の移動では、玄関口になる無人のエグザイル・システムに飛ぶ。そこまではハワドウレ皇国の管理下に置かれていない。
幸い裏ワザ手順までは抑えられていないようで、ギリギリ間に合った感じだろう。
エグザイル・システムとは、世界各地に多く点在する転送装置の名称である。
半径1メートルほどの黒い石造りの台座に、短い銀の支柱のようなものが3本立っている。台座の中心にはその惑星の地図が平面上に彫り込まれていて、エグザイル・システムがある土地の位置にスイッチのような突起がある。そのスイッチを踏めば台座に乗っているもの全てを一瞬でそこへ飛ばしてもらえるのだ。重さや大きさは問わず、台座の上に収まれば大丈夫だ。
惑星間を移動するときには銀の支柱に触れればよく、支柱はそれぞれの惑星へのスイッチの役割を持っていた。
惑星間移動ではそれぞれの惑星で、必ず玄関口となる場所に飛ぶようになっている。そこから向かいたい土地を選択すればいいので、移動もスムーズだ。
エグザイル・システムの利用はどの国でも無料で使える、便利で手頃な移動手段だった。
コッコラ王国の首都エルマスに到着したライオン傭兵団は、その足でカーティスとガエルが傭兵募集を行っている宮殿へ、残りは宿屋探しにわかれた。
宮殿から出て街に入ると、辺りに漂う雰囲気にカーティスは眉をしかめた。
エルマスには物騒な連中が多くひしめき合っている。にもかかわらず、街の雰囲気は明るく、どこか異様に盛り上がっているような気配すらあるのだ。
絶え間なく陽気に流れる舞踏の音楽、笑いさざめく人々、露天から香ってくる肉の香ばしい匂い、物を売り歩く陽気な商人たち。とても戦争を控えているという雰囲気ではない。
「心の底から、穏やかに楽しいというわけじゃないようですねえ。まるで恐怖を誤魔化す様な、気色の悪い陽気さを感じます」
「うむ」
鼓舞するためのものではない。恐怖に怯える心を無理に隠すような熱気が、街全体を覆い尽くしているかのようだ。
マリオンから念話で連絡をもらっていたカーティスは、街に漂う異様な空気を肌で感じながら、仲間たちの待つ宿へ向かった。
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