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勇気と決断編
episode517
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ベルトルドやアルカネットだけではなく、この屋敷の使用人たちは皆キュッリッキに優しい。セヴェリやリトヴァも、それは献身的に面倒を見てくれるし、上流階級育ちではないキュッリッキに、色々なことを教えてくれた。仕事の枠を超えるほどの愛情を示してくれるのだ。
メルヴィンと結ばれる架け橋をしてくれた2人に、キュッリッキは心から感謝しているというのに。その2人の好意を、ベルトルドとアルカネットは責めている。それがとても悲しい。
「セヴェリさんとリトヴァさんは悪くないし、メルヴィンもアタシに会いに来てくれただけで、屋敷を抜け出たのはアタシの勝手なんだよ」
むっすりと頬を膨らませ、キュッリッキはワンピースの裾を握り締めた。
「ベルトルドさんにもアルカネットさんにも関係ないんだから。アタシはアタシの生きたいように生きるし、傭兵だってやめないもん」
ベルトルドもアルカネットも、厳しい表情を和らげない。
「今からエルダー街へ帰る」
むくれたままスッと立ち上がり、ドアのほうへ身体を向けようとすると、何かに掴まれたように動かない。
「駄目だ」
ベルトルドのサイ《超能力》によって、身体の動きを拘束されていると気づき、キュッリッキは険しくベルトルドを睨みつけた。
「放してよ!!」
「いい子だから、聞き分けなさい」
「いやっ! メルヴィンのところへ帰るのっ」
「リッキー!」
「ベルトルドさんのバカっ! 大っ嫌い!!」
キュッリッキはついに泣きながら怒鳴った。その瞬間、キュッリッキの心が流れ込んできて、ベルトルドは渋い顔で内心舌打ちした。
メルヴィンと結ばれ、共にエルダー街のアジトへ帰りたい気持ちを抑え、ベルトルドとアルカネットにアジトへ帰ることを話す。沢山世話になっているし、黙って帰ることはできなかった。
2人はキュッリッキにとってはだいじな人たちで、メルヴィンとのことは喜んで欲しい。今とてもとても幸せなのだということを知って欲しかった。なぜなら、2人はキュッリッキの不幸な生い立ちを知っている。こんな幸せは初めて味わうのだと、判っているから。
一緒に喜んで欲しかったから。
塑像のようにその場に立ちすくして泣きじゃくるキュッリッキを、セヴェリとリトヴァは痛ましく見つめた。
応接室に入ってきた時のキュッリッキの、幸せに満ちた表情を見て、心から嬉しくなった。やっと想いが通じ合ったのだと。しかし目にいれても痛くないほどキュッリッキを溺愛している2人が、どのような仕打ちをしでかすか。あらかじめ想像はついていたが、案の定この有様である。
自分たちが口を挟めば、事態がこじれるのは想像がつくので、2人は堪えるように口をつぐんでいた。
「やれやれ全く、オトナ気ないったらありゃしないわ、あーたたち」
そこへ突然オネエ口調の声が、ドアを大胆に開けて入ってきた。
メルヴィンと結ばれる架け橋をしてくれた2人に、キュッリッキは心から感謝しているというのに。その2人の好意を、ベルトルドとアルカネットは責めている。それがとても悲しい。
「セヴェリさんとリトヴァさんは悪くないし、メルヴィンもアタシに会いに来てくれただけで、屋敷を抜け出たのはアタシの勝手なんだよ」
むっすりと頬を膨らませ、キュッリッキはワンピースの裾を握り締めた。
「ベルトルドさんにもアルカネットさんにも関係ないんだから。アタシはアタシの生きたいように生きるし、傭兵だってやめないもん」
ベルトルドもアルカネットも、厳しい表情を和らげない。
「今からエルダー街へ帰る」
むくれたままスッと立ち上がり、ドアのほうへ身体を向けようとすると、何かに掴まれたように動かない。
「駄目だ」
ベルトルドのサイ《超能力》によって、身体の動きを拘束されていると気づき、キュッリッキは険しくベルトルドを睨みつけた。
「放してよ!!」
「いい子だから、聞き分けなさい」
「いやっ! メルヴィンのところへ帰るのっ」
「リッキー!」
「ベルトルドさんのバカっ! 大っ嫌い!!」
キュッリッキはついに泣きながら怒鳴った。その瞬間、キュッリッキの心が流れ込んできて、ベルトルドは渋い顔で内心舌打ちした。
メルヴィンと結ばれ、共にエルダー街のアジトへ帰りたい気持ちを抑え、ベルトルドとアルカネットにアジトへ帰ることを話す。沢山世話になっているし、黙って帰ることはできなかった。
2人はキュッリッキにとってはだいじな人たちで、メルヴィンとのことは喜んで欲しい。今とてもとても幸せなのだということを知って欲しかった。なぜなら、2人はキュッリッキの不幸な生い立ちを知っている。こんな幸せは初めて味わうのだと、判っているから。
一緒に喜んで欲しかったから。
塑像のようにその場に立ちすくして泣きじゃくるキュッリッキを、セヴェリとリトヴァは痛ましく見つめた。
応接室に入ってきた時のキュッリッキの、幸せに満ちた表情を見て、心から嬉しくなった。やっと想いが通じ合ったのだと。しかし目にいれても痛くないほどキュッリッキを溺愛している2人が、どのような仕打ちをしでかすか。あらかじめ想像はついていたが、案の定この有様である。
自分たちが口を挟めば、事態がこじれるのは想像がつくので、2人は堪えるように口をつぐんでいた。
「やれやれ全く、オトナ気ないったらありゃしないわ、あーたたち」
そこへ突然オネエ口調の声が、ドアを大胆に開けて入ってきた。
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