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勇気と決断編
episode499
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身分違いというのは建前で、エヴェリーナは沢山のことに臆病になっていた。自分をこんなに求めてくれているのに、ずっと変わらず愛し続けてもらえるのか。飽きられたらどうしようと。
「キュッリッキよ、恋愛は勇気じゃ。そなたが、片翼であることに、これまで沢山辛い思いをしてきたのは、片鱗だがワシにも察しがつく。もし片翼であることが理由でフラれるのであれば、それは幸いじゃ。相手の苦しみを受け入れられない男など、言語道断じゃからの。だがメルヴィンがそなたの全てを受け入れられる男ならば、これ以上の幸せはない。気合と勇気で全力アタックじゃ」
そう言って皇王はウィンクした。
キュッリッキはにっこり笑うと、そうかもしれない、と心の中で頷いた。
片翼であることは、やはり辛い。そんなすぐに克服できるほど、軽いものではないのだ。しかしそれは一生抱えていく問題。皇王が言うように、メルヴィンがあんなに驚いた顔をしていたのが、片翼のことではなくアイオン族だったから、というのであれば。
それでもまだ、心が躊躇してしまう。
でも、とキュッリッキは思う。思い切ってメルヴィンに告白できるよう、勇気を持とうと。すぐには無理でも、勇気が持てるよう、そう考えようと。
「皇王様に、話せて良かった。すぐには無理だけど、でも頑張ってみる。後悔しないように、アタシ頑張ってみる」
「うんうん、その意気じゃ」
はにかんで微笑むキュッリッキに、皇王も優しく微笑み返した。
「そうじゃ、そなた、ベルトルドは好きかの?」
「? はい、好きです」
「そうかそうか。あれは女好きでエロイのが玉に瑕じゃが、好い男じゃ。あやつをよろしく頼むぞ」
キュッリッキは素直に頷き、そしてふと思っていることを言ってみた。
「皇王様より偉そうだよねベルトルドさん。なにか弱みを握られてるの?」
皇王は「ギクッ」と顔を明後日の方へ向けて、渋面を作った。
「気のせいじゃ」
「気のせい?」
「うむ」
そこへ、噂の本人が肩をいからせてズンズン歩いてきた。今にも噴火しそうな顔をしていると、キュッリッキは思った。
「いい加減リッキーを解放しろっボケジジイ!」
「そうですよ、一体何曲踊らせるおつもりですか!」
アルカネットに指摘されてみると、もう3曲目に入るところだったらしい。
「話し込んでいたら、すっかりじゃった」
「年寄りは椅子に座って見てろ、シッ、シッ」
「ワシは犬か」
手で払われる仕草をされて、ベルトルドを悲しげにみやると、皇王は腰をトントンッと叩いた。
「どれ、五月蝿いお邪魔虫がきたから、ワシは引き下がるかの。キュッリッキよ、今日は存分に楽しんで参れ。ではの」
「はい。ありがとうございました、皇王様」
厄介払いをした2人は、意気揚々と身を乗り出した。
「さあ、俺と踊ろうな、リッキー」
「いえ、私と踊りましょうね」
「お前は壁際で見学してろ」
「あなたこそ、あの群がるご婦人がたのお相手でもしてればいいんですよ」
「あれはお前のファンだろが。ケツ振ってお前を見てるぞ」
「あなたのでしょう。私はリッキーさんがいれば、それでもう充分です」
「疲れたから、アタシはジュースでも飲んでくる」
キュッリッキは呆れたようにため息をつくと、軽食や飲み物を置いてあるテーブルのほうへスタスタ歩いて行ってしまった。
「リッキー」
「リッキーさん」
額を突き合わせていがみ合っていたベルトルドとアルカネットは、慌ててキュッリッキのあとを追いかけた。
「キュッリッキよ、恋愛は勇気じゃ。そなたが、片翼であることに、これまで沢山辛い思いをしてきたのは、片鱗だがワシにも察しがつく。もし片翼であることが理由でフラれるのであれば、それは幸いじゃ。相手の苦しみを受け入れられない男など、言語道断じゃからの。だがメルヴィンがそなたの全てを受け入れられる男ならば、これ以上の幸せはない。気合と勇気で全力アタックじゃ」
そう言って皇王はウィンクした。
キュッリッキはにっこり笑うと、そうかもしれない、と心の中で頷いた。
片翼であることは、やはり辛い。そんなすぐに克服できるほど、軽いものではないのだ。しかしそれは一生抱えていく問題。皇王が言うように、メルヴィンがあんなに驚いた顔をしていたのが、片翼のことではなくアイオン族だったから、というのであれば。
それでもまだ、心が躊躇してしまう。
でも、とキュッリッキは思う。思い切ってメルヴィンに告白できるよう、勇気を持とうと。すぐには無理でも、勇気が持てるよう、そう考えようと。
「皇王様に、話せて良かった。すぐには無理だけど、でも頑張ってみる。後悔しないように、アタシ頑張ってみる」
「うんうん、その意気じゃ」
はにかんで微笑むキュッリッキに、皇王も優しく微笑み返した。
「そうじゃ、そなた、ベルトルドは好きかの?」
「? はい、好きです」
「そうかそうか。あれは女好きでエロイのが玉に瑕じゃが、好い男じゃ。あやつをよろしく頼むぞ」
キュッリッキは素直に頷き、そしてふと思っていることを言ってみた。
「皇王様より偉そうだよねベルトルドさん。なにか弱みを握られてるの?」
皇王は「ギクッ」と顔を明後日の方へ向けて、渋面を作った。
「気のせいじゃ」
「気のせい?」
「うむ」
そこへ、噂の本人が肩をいからせてズンズン歩いてきた。今にも噴火しそうな顔をしていると、キュッリッキは思った。
「いい加減リッキーを解放しろっボケジジイ!」
「そうですよ、一体何曲踊らせるおつもりですか!」
アルカネットに指摘されてみると、もう3曲目に入るところだったらしい。
「話し込んでいたら、すっかりじゃった」
「年寄りは椅子に座って見てろ、シッ、シッ」
「ワシは犬か」
手で払われる仕草をされて、ベルトルドを悲しげにみやると、皇王は腰をトントンッと叩いた。
「どれ、五月蝿いお邪魔虫がきたから、ワシは引き下がるかの。キュッリッキよ、今日は存分に楽しんで参れ。ではの」
「はい。ありがとうございました、皇王様」
厄介払いをした2人は、意気揚々と身を乗り出した。
「さあ、俺と踊ろうな、リッキー」
「いえ、私と踊りましょうね」
「お前は壁際で見学してろ」
「あなたこそ、あの群がるご婦人がたのお相手でもしてればいいんですよ」
「あれはお前のファンだろが。ケツ振ってお前を見てるぞ」
「あなたのでしょう。私はリッキーさんがいれば、それでもう充分です」
「疲れたから、アタシはジュースでも飲んでくる」
キュッリッキは呆れたようにため息をつくと、軽食や飲み物を置いてあるテーブルのほうへスタスタ歩いて行ってしまった。
「リッキー」
「リッキーさん」
額を突き合わせていがみ合っていたベルトルドとアルカネットは、慌ててキュッリッキのあとを追いかけた。
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