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勇気と決断編
episode489
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煌びやかな灯りに照らされた玄関ホールには招待客が溢れ、入ってくる客たちを眺めながら談笑で賑わっている。
「副宰相閣下、魔法部隊長官殿、そしてお嬢様、ようこそグローイ宮殿へ」
長身で恰幅のいい中年の男が、にこやかな笑みを浮かべて3人を出迎えた。
「出迎えご苦労ヤーコッピ。俺たちの控え室まで案内してくれ」
「承りました。さあ、こちらへどうぞ」
ヤーコッピと呼ばれた男が先導し、招待客たちで溢れる中を流れるように案内していく。
キュッリッキは「この人は誰なんだろう?」という問いたげな視線をベルトルドに向ける。
「この男は、能無しボケジジイよりもグローイ宮殿を知り尽くしている使用人だ」
と答えてくれた。能無しボケジジイとは、皇王のことである。
「閣下は相変わらず容赦がありませぬな」
少しも気を悪くした様子もなく、ヤーコッピはニコニコと笑顔で頷いた。
「この方は、皇王様の身辺のお世話を取り仕切っている方なのですよ」
アルカネットがきちんと説明すると、耳に心地よいバリトン声が愉快そうに笑い声を上げた。
ヤーコッピに案内された控え室は、喧騒から遠のいた静かな場所に用意されていた。そして控え室にはすでに、3人の客が待っていた。
「こんばんは、閣下」
席を立って敬礼して出迎えたのは、ブルーベル将軍、フォヴィネン大将、エクルース大将だった。
「あ! シロクマのおじいちゃん」
パッと顔を輝かせたキュッリッキは、ベルトルドの手から離れて、ブルーベル将軍に飛びつくように抱きついた。
「おやおや、こんばんはお嬢さん。今日は一段と綺麗ですねえ」
「えへへ」
将軍の横腹までしか腕が回せないキュッリッキが、嬉しそうな笑顔で見上げてくる。その輝く笑顔を見て、ブルーベル将軍はにっこりと微笑み返した。
(おのれぇ……なんて羨ましい……)
(クマ人間だからって卑怯な…)
嫉妬の痛い視線を感じてブルーベル将軍が顔を上げると、ベルトルドとアルカネットが怖い顔で将軍を睨みつけていた。フォヴィネン大将とエクルース大将は、怖れるあまり視線を明後日の方向へ泳がせている。しかしブルーベル将軍はにっこり2人に微笑み、そして「あっ」と小さく声を上げた。
「そうそう、閣下に大事なご伝言をお伝えしなければ」
「ぬ、伝言?」
「ええ。――明日ハーメンリンナに戻るから、ケツ磨いて待ってなさいよ。だそうです、リュリュ殿から」
途端、ベルトルドの顔が青ざめていった。
「たいそうご立腹で。とばっちりを受けたサロモン子爵なんて、体重が5キロも落ちてましたよ、たった1日で」
ニコニコと言うブルーベル将軍の顔を、ベルトルドは泣きそうな顔で見つめた。
「あと30分ほどで陛下がお見えになります。お迎えに上がるまで、こちらでごゆっくりおくつろぎ下さい」
ヤーコッピがシャンパングラスを置いて下がった。
「副宰相閣下、魔法部隊長官殿、そしてお嬢様、ようこそグローイ宮殿へ」
長身で恰幅のいい中年の男が、にこやかな笑みを浮かべて3人を出迎えた。
「出迎えご苦労ヤーコッピ。俺たちの控え室まで案内してくれ」
「承りました。さあ、こちらへどうぞ」
ヤーコッピと呼ばれた男が先導し、招待客たちで溢れる中を流れるように案内していく。
キュッリッキは「この人は誰なんだろう?」という問いたげな視線をベルトルドに向ける。
「この男は、能無しボケジジイよりもグローイ宮殿を知り尽くしている使用人だ」
と答えてくれた。能無しボケジジイとは、皇王のことである。
「閣下は相変わらず容赦がありませぬな」
少しも気を悪くした様子もなく、ヤーコッピはニコニコと笑顔で頷いた。
「この方は、皇王様の身辺のお世話を取り仕切っている方なのですよ」
アルカネットがきちんと説明すると、耳に心地よいバリトン声が愉快そうに笑い声を上げた。
ヤーコッピに案内された控え室は、喧騒から遠のいた静かな場所に用意されていた。そして控え室にはすでに、3人の客が待っていた。
「こんばんは、閣下」
席を立って敬礼して出迎えたのは、ブルーベル将軍、フォヴィネン大将、エクルース大将だった。
「あ! シロクマのおじいちゃん」
パッと顔を輝かせたキュッリッキは、ベルトルドの手から離れて、ブルーベル将軍に飛びつくように抱きついた。
「おやおや、こんばんはお嬢さん。今日は一段と綺麗ですねえ」
「えへへ」
将軍の横腹までしか腕が回せないキュッリッキが、嬉しそうな笑顔で見上げてくる。その輝く笑顔を見て、ブルーベル将軍はにっこりと微笑み返した。
(おのれぇ……なんて羨ましい……)
(クマ人間だからって卑怯な…)
嫉妬の痛い視線を感じてブルーベル将軍が顔を上げると、ベルトルドとアルカネットが怖い顔で将軍を睨みつけていた。フォヴィネン大将とエクルース大将は、怖れるあまり視線を明後日の方向へ泳がせている。しかしブルーベル将軍はにっこり2人に微笑み、そして「あっ」と小さく声を上げた。
「そうそう、閣下に大事なご伝言をお伝えしなければ」
「ぬ、伝言?」
「ええ。――明日ハーメンリンナに戻るから、ケツ磨いて待ってなさいよ。だそうです、リュリュ殿から」
途端、ベルトルドの顔が青ざめていった。
「たいそうご立腹で。とばっちりを受けたサロモン子爵なんて、体重が5キロも落ちてましたよ、たった1日で」
ニコニコと言うブルーベル将軍の顔を、ベルトルドは泣きそうな顔で見つめた。
「あと30分ほどで陛下がお見えになります。お迎えに上がるまで、こちらでごゆっくりおくつろぎ下さい」
ヤーコッピがシャンパングラスを置いて下がった。
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