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勇気と決断編
episode486
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「とっても綺麗だぞ、リッキー」
「いつも以上に美しく、ドレスもよくお似合いですよ」
恐る恐る賞賛を述べるが、軽蔑の目つきは変わらない。
「一つ言っておくね」
「お、おう?」
「はい…?」
「今日からベルトルドさんとアルカネットさんは、自分たちの部屋で寝起きしてね! それと、アタシが良いって言うまで、勝手に扉を開けて入ってきたらダメなんだからねっ!! あと、いきなり抱きついたりキスしてきたら許さないんだから。ちゃんと守ってくれないと家出してやるからよっく覚えておいてよ!」
両手を腰に当てて、憤然と言い渡す。そして、ベルトルドとアルカネットは、ハンマーで何度も頭を殴られたような衝撃を受け、完全に固まってしまった。
「一緒に寝られない」
「部屋にも入れない」
「抱きしめられない」
「キスもできない」
ぼそぼそと確認するようにつぶやきあって、アルカネットはそのままよろめき倒れ、ベルトルドは大号泣しだした。
「あんなエッチなことされたら、たまんないんだから」
ヴィヒトリから見せられたポルノ映像の数々の場面を思い出し、キュッリッキはうんざりしたように顔を歪めた。
3本立てのポルノ映像鑑賞が終わったあと、
「男って生き物は例外なく野獣のようなモンだから、隣に女の子がいたら、あっとゆーまに餌食にされるのがオチだよ。キュッリッキちゃんも気をつけるんだよ、とくにベルトルド様は大の女好きで有名だからねえ。キュッリッキちゃんを夢の中でエッチなおかずにして、股間があんなことになってたに違いないから。それにアルカネットさん虫も殺さないような顔をして、キュッリッキちゃんのエッチな妄想浮かべてるんだから。ああいうのをむっつりスケベ、っていうんだよ」
そう、教わった。
まさにヴィヒトリは的を射た見解を述べていた。当人たちが聞いてないことをいいことに、言いたい放題である。
強烈な教材をもとに、男女の身体の違い、過激な性知識などを色々覚えたキュッリッキにとって、これまで優しい父親たちのような存在だったベルトルドとアルカネットが、急に不潔極まりない生き物に大変身してしまった。
(ベルトルドさんとアルカネットさんがエロおやじでも、メルヴィンだけはだいじょうぶなんだから!)
キュッリッキはグッと握り拳を作って天井を睨んだ。同じ男でも、メルヴィンだけは違うと信じて疑っていない。
そこへノックがして、セヴェリが顔を出した。
「失礼いたします。旦那様、王宮よりお迎えのゴンドラが到着しました」
今夜の皇王主催のパーティーに出席するベルトルドたちのために、皇王自ら差し向けた迎えのゴンドラである。ベルトルド邸にもゴンドラはあるが、ベルトルドたちが今夜の大切な主賓であることをあらわすためでもあった。
セヴェリが二度言っても、ベルトルドもアルカネットも撃沈したまま動こうとしない。
2人のショックは特大過ぎて、パーティーどころではなくなっているのだ。
やれやれと頭を振ると、セヴェリは部屋に入り、2人の前に立って「こほん」と小さく咳払いをした。
「あんなに美しいお嬢様を、お一人で王宮へ向かわせて大丈夫なのでしょうか? 今夜はハーメンリンナだけではなく、地方貴族や豪族の皆々様も出席なさるとか。”独身の紳士”たちが、さぞたくさん集まるのでしょうね」
とくに”独身の紳士たち”という言葉に、ベルトルドとアルカネットの顔に生気が戻った。
「俺のリッキーに手を出そうなどと、この俺が許すわけがなかろう!」
「そんな汚らわしい虫は、私が踏み潰して差し上げます!」
エンジンがかかった2人を見て、セヴェリは満足そうに頷いた。
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
目をぱちくりさせるキュッリッキの右手をベルトルドが、左手をアルカネットが握ると、キュッリッキが抗議の声を上げる前に、ズンズンと玄関ホールに引っ張っていった。
「いつも以上に美しく、ドレスもよくお似合いですよ」
恐る恐る賞賛を述べるが、軽蔑の目つきは変わらない。
「一つ言っておくね」
「お、おう?」
「はい…?」
「今日からベルトルドさんとアルカネットさんは、自分たちの部屋で寝起きしてね! それと、アタシが良いって言うまで、勝手に扉を開けて入ってきたらダメなんだからねっ!! あと、いきなり抱きついたりキスしてきたら許さないんだから。ちゃんと守ってくれないと家出してやるからよっく覚えておいてよ!」
両手を腰に当てて、憤然と言い渡す。そして、ベルトルドとアルカネットは、ハンマーで何度も頭を殴られたような衝撃を受け、完全に固まってしまった。
「一緒に寝られない」
「部屋にも入れない」
「抱きしめられない」
「キスもできない」
ぼそぼそと確認するようにつぶやきあって、アルカネットはそのままよろめき倒れ、ベルトルドは大号泣しだした。
「あんなエッチなことされたら、たまんないんだから」
ヴィヒトリから見せられたポルノ映像の数々の場面を思い出し、キュッリッキはうんざりしたように顔を歪めた。
3本立てのポルノ映像鑑賞が終わったあと、
「男って生き物は例外なく野獣のようなモンだから、隣に女の子がいたら、あっとゆーまに餌食にされるのがオチだよ。キュッリッキちゃんも気をつけるんだよ、とくにベルトルド様は大の女好きで有名だからねえ。キュッリッキちゃんを夢の中でエッチなおかずにして、股間があんなことになってたに違いないから。それにアルカネットさん虫も殺さないような顔をして、キュッリッキちゃんのエッチな妄想浮かべてるんだから。ああいうのをむっつりスケベ、っていうんだよ」
そう、教わった。
まさにヴィヒトリは的を射た見解を述べていた。当人たちが聞いてないことをいいことに、言いたい放題である。
強烈な教材をもとに、男女の身体の違い、過激な性知識などを色々覚えたキュッリッキにとって、これまで優しい父親たちのような存在だったベルトルドとアルカネットが、急に不潔極まりない生き物に大変身してしまった。
(ベルトルドさんとアルカネットさんがエロおやじでも、メルヴィンだけはだいじょうぶなんだから!)
キュッリッキはグッと握り拳を作って天井を睨んだ。同じ男でも、メルヴィンだけは違うと信じて疑っていない。
そこへノックがして、セヴェリが顔を出した。
「失礼いたします。旦那様、王宮よりお迎えのゴンドラが到着しました」
今夜の皇王主催のパーティーに出席するベルトルドたちのために、皇王自ら差し向けた迎えのゴンドラである。ベルトルド邸にもゴンドラはあるが、ベルトルドたちが今夜の大切な主賓であることをあらわすためでもあった。
セヴェリが二度言っても、ベルトルドもアルカネットも撃沈したまま動こうとしない。
2人のショックは特大過ぎて、パーティーどころではなくなっているのだ。
やれやれと頭を振ると、セヴェリは部屋に入り、2人の前に立って「こほん」と小さく咳払いをした。
「あんなに美しいお嬢様を、お一人で王宮へ向かわせて大丈夫なのでしょうか? 今夜はハーメンリンナだけではなく、地方貴族や豪族の皆々様も出席なさるとか。”独身の紳士”たちが、さぞたくさん集まるのでしょうね」
とくに”独身の紳士たち”という言葉に、ベルトルドとアルカネットの顔に生気が戻った。
「俺のリッキーに手を出そうなどと、この俺が許すわけがなかろう!」
「そんな汚らわしい虫は、私が踏み潰して差し上げます!」
エンジンがかかった2人を見て、セヴェリは満足そうに頷いた。
「お気をつけて、いってらっしゃいませ」
目をぱちくりさせるキュッリッキの右手をベルトルドが、左手をアルカネットが握ると、キュッリッキが抗議の声を上げる前に、ズンズンと玄関ホールに引っ張っていった。
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