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勇気と決断編
episode485
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ベルトルドはアルカネットに隣に座るように手招きする。念話の内容をより正確に共有するために、アルカネットの身体に触れている必要があるからだ。それが判っているので、アルカネットはおとなしく従う。
(ヴィヒトリ!!)
ハーメンリンナの大病院を透視し、追跡しながらヴィヒトリを見つけ出す。診察室や彼専用の事務室にはおらず、屋上でのほほんと夕暮れの空を見上げている最中だった。
(うわっ、びっくりしたー。なんですか閣下いきなり!?)
(お前に尋ねたいことがある。今朝リッキーに、どんな風に教えたか詳細を話せ)
(えーっと…、軽く男女の身体の違いと役割について説明しました。キュッリッキちゃん、子供の作り方とか物凄い誤認してて驚いてましたね~。でも具体的なイメージとか浮かばないみたいだったんで、便利な教材を見つけたから、それを見せました)
(便利な教材?)
これにはアルカネットが念話に割り込む。
(アルカネットさんも一緒なんですか。ええ、教材……ていうか、教材に使っちゃったんですけどね)
これにはベルトルドの顔が、じりじりと気まずそうに歪んでいく。
(いや~閣下のコレクション凄いですよね。そのテの映像データの充実してること、ボクあのテのポルノは初めて見たけど、過激すぎて吃驚ですよ、モロ未修正だし)
(…………ちなみに、どれを観せたんだ……?)
ベルトルドの声から勢いが殺げていく。
(えーと『女学生と非常勤講師のイケナイ放課後』『覗くだけじゃ満たされない!隣の団地妻』『淫乱なご令嬢』の3本ですね。選ぶの苦労しましたよ多すぎて~)
瞬間、隣から殺意が湧き上がって、ベルトルドはダラダラと冷や汗をかいた。
(最後の『淫乱なご令嬢』は女優がキュッリッキちゃんにちょっと似てたから、キュッリッキちゃん画面の前で固まってましたよ。――アレ見て妄想浮かべて自己処理してるんじゃないでしょうね閣下)
あはははは、とバカにしたような笑いが続く。
(未修正だから丸見えでしょ、何をどうするのか、よーっく判ったみたい。だから今後はもう、閣下のアレを引っこ抜こうなんてことは、ないと思いますよ~)
そして念話が終わると、突然アルカネットの手がガッシリと喉と首を掴んできて、ベルトルドは「ぐげっ」と潰れた声を上げた。
「エロ本だけじゃなく、そんなくだらないポルノ映像も隠し持っていたのか貴様!」
「いや、だ、だって、あれは入手にかなり苦労をしたからだな…」
引き攣りながら言い訳をするが、火に油を注いだだけだった。
「根こそぎコレクションは全部焼き捨てる。いいな?」
完全に目の座ったアルカネットに、ベルトルドは泣きべそを浮かべて顔を横に振る。
「俺の生き甲斐奪わないでっ」
「そんなくだらないモノを生き甲斐にするなや」
「じゃあ、『淫乱なご令嬢』だけは捨てないで、あれ一番のお気に入り……ぐふっ」
「それを真っ先に焼き捨てる!」
更に首を締め上げられて、ベルトルドは「ギブギブ」とソファをバシバシ叩いた。そこへノックがして、キュッリッキが入ってきた。
それに気づいた2人が扉のほうへ顔を向けると、ドレスに身を包んで、美しく装われたキュッリッキが佇んでいる。その姿に2人は恍惚と見とれたが、先ほどと寸分違わない軽蔑の目を見て一気に現実に戻った。
(ヴィヒトリ!!)
ハーメンリンナの大病院を透視し、追跡しながらヴィヒトリを見つけ出す。診察室や彼専用の事務室にはおらず、屋上でのほほんと夕暮れの空を見上げている最中だった。
(うわっ、びっくりしたー。なんですか閣下いきなり!?)
(お前に尋ねたいことがある。今朝リッキーに、どんな風に教えたか詳細を話せ)
(えーっと…、軽く男女の身体の違いと役割について説明しました。キュッリッキちゃん、子供の作り方とか物凄い誤認してて驚いてましたね~。でも具体的なイメージとか浮かばないみたいだったんで、便利な教材を見つけたから、それを見せました)
(便利な教材?)
これにはアルカネットが念話に割り込む。
(アルカネットさんも一緒なんですか。ええ、教材……ていうか、教材に使っちゃったんですけどね)
これにはベルトルドの顔が、じりじりと気まずそうに歪んでいく。
(いや~閣下のコレクション凄いですよね。そのテの映像データの充実してること、ボクあのテのポルノは初めて見たけど、過激すぎて吃驚ですよ、モロ未修正だし)
(…………ちなみに、どれを観せたんだ……?)
ベルトルドの声から勢いが殺げていく。
(えーと『女学生と非常勤講師のイケナイ放課後』『覗くだけじゃ満たされない!隣の団地妻』『淫乱なご令嬢』の3本ですね。選ぶの苦労しましたよ多すぎて~)
瞬間、隣から殺意が湧き上がって、ベルトルドはダラダラと冷や汗をかいた。
(最後の『淫乱なご令嬢』は女優がキュッリッキちゃんにちょっと似てたから、キュッリッキちゃん画面の前で固まってましたよ。――アレ見て妄想浮かべて自己処理してるんじゃないでしょうね閣下)
あはははは、とバカにしたような笑いが続く。
(未修正だから丸見えでしょ、何をどうするのか、よーっく判ったみたい。だから今後はもう、閣下のアレを引っこ抜こうなんてことは、ないと思いますよ~)
そして念話が終わると、突然アルカネットの手がガッシリと喉と首を掴んできて、ベルトルドは「ぐげっ」と潰れた声を上げた。
「エロ本だけじゃなく、そんなくだらないポルノ映像も隠し持っていたのか貴様!」
「いや、だ、だって、あれは入手にかなり苦労をしたからだな…」
引き攣りながら言い訳をするが、火に油を注いだだけだった。
「根こそぎコレクションは全部焼き捨てる。いいな?」
完全に目の座ったアルカネットに、ベルトルドは泣きべそを浮かべて顔を横に振る。
「俺の生き甲斐奪わないでっ」
「そんなくだらないモノを生き甲斐にするなや」
「じゃあ、『淫乱なご令嬢』だけは捨てないで、あれ一番のお気に入り……ぐふっ」
「それを真っ先に焼き捨てる!」
更に首を締め上げられて、ベルトルドは「ギブギブ」とソファをバシバシ叩いた。そこへノックがして、キュッリッキが入ってきた。
それに気づいた2人が扉のほうへ顔を向けると、ドレスに身を包んで、美しく装われたキュッリッキが佇んでいる。その姿に2人は恍惚と見とれたが、先ほどと寸分違わない軽蔑の目を見て一気に現実に戻った。
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