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勇気と決断編
episode478
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ベルトルドとアルカネットの視線がぶつかり合う。視線と視線のぶつかる中心に、火花がバチバチ見えるような錯覚をキュッリッキはおぼえた。
「たかが魔法部隊長官ごときの分際が、リッキーをエスコートするなど笑止千万! テキトーにそのへんの雑魚女どもの相手でもしてるがいい!」
「あなたのような高級なお立場のかたは、社交界の花園でも相手にしているがよろしいでしょう。リッキーさんは私が大切にエスコートします」
なおも火花を散らす2人をゲッソリ見やりながら、ふとキュッリッキは首をかしげた。
「ねえねえ、明日のパーティーってなんのこと?」
睨み合いを休戦すると、2人はキュッリッキに顔を向けた。
「皇王の昼行灯のクソ大ボケじじいが、戦争の勝利を祝いたいからパーティーを開くそうだ。で、そのパーティーにリッキーも連れてくるようにと命令が出ているんだ」
「アタシも?」
とても不思議そうに、ベルトルドとアルカネットの顔を交互に見る。
「詳細は知らされていないのですが、とにかく出席させるようにと、皇王さま自らのお達しなのです」
「バカ皇子の嫁にしたいとか言い出すんじゃないだろうな……」
「冗談じゃありませんよ。そんなことになったりしたら、私は本気で宮殿を吹っ飛ばしますからね」
「俺も吹っ飛ばす!!」
「それはちょっと……」
握り拳全開で怒りをあらわにする2人を見やり、キュッリッキは明日のパーティーのことを思い悩んだ。
これまでパーティーと名のつくものは、飲めや食えやのドンチャン騒ぎしか知らない。王侯貴族や上流階級の開くパーティーなど出たこともない。きっと上品な、テーブルマナーがどうの、話し方や踊りがどうのと、肩のこるような世界が広がっているのだろう。それを思うとうんざりしてしまった。
(マナーなんて判らないし、上品な踊りなんて習ったことないもん…)
元気のないため息を膝の上でつくキュッリッキの気持ちに気づき、ベルトルドは苦笑を浮かべた。
「ジジイの招待だから蹴るわけにもいかないが。なに、俺が一緒だから心配するなリッキー。おめかししてパーティーを楽しみに行こう」
ベルトルドににっこりと微笑まれて、キュッリッキは小さく笑みを返した。2人が一緒なら、たしかに大丈夫だろう。
「さて、腹も減ったし、飯のあとはドレス選びだな!」
「もう私が選んだと言っているでしょう」
「喧しい! 俺の選んだドレスを着せて連れて行く!!」
再びドレス選びの権利を主張し合い始めた2人をため息混じりに見て、キュッリッキはベルトルドの膝からおりた。
「ンもお、アタシが自分で選ぶんだからっ!!」
ふくれっ面にした顔を2人に向けて、キュッリッキは「ぷんっ」と怒って部屋を出ていってしまった。
「リ、リッキー!」
「リッキーさんっ!」
キュッリッキに怒られた2人は、大慌てで足をもつれさせながら後を追いかけた。
「たかが魔法部隊長官ごときの分際が、リッキーをエスコートするなど笑止千万! テキトーにそのへんの雑魚女どもの相手でもしてるがいい!」
「あなたのような高級なお立場のかたは、社交界の花園でも相手にしているがよろしいでしょう。リッキーさんは私が大切にエスコートします」
なおも火花を散らす2人をゲッソリ見やりながら、ふとキュッリッキは首をかしげた。
「ねえねえ、明日のパーティーってなんのこと?」
睨み合いを休戦すると、2人はキュッリッキに顔を向けた。
「皇王の昼行灯のクソ大ボケじじいが、戦争の勝利を祝いたいからパーティーを開くそうだ。で、そのパーティーにリッキーも連れてくるようにと命令が出ているんだ」
「アタシも?」
とても不思議そうに、ベルトルドとアルカネットの顔を交互に見る。
「詳細は知らされていないのですが、とにかく出席させるようにと、皇王さま自らのお達しなのです」
「バカ皇子の嫁にしたいとか言い出すんじゃないだろうな……」
「冗談じゃありませんよ。そんなことになったりしたら、私は本気で宮殿を吹っ飛ばしますからね」
「俺も吹っ飛ばす!!」
「それはちょっと……」
握り拳全開で怒りをあらわにする2人を見やり、キュッリッキは明日のパーティーのことを思い悩んだ。
これまでパーティーと名のつくものは、飲めや食えやのドンチャン騒ぎしか知らない。王侯貴族や上流階級の開くパーティーなど出たこともない。きっと上品な、テーブルマナーがどうの、話し方や踊りがどうのと、肩のこるような世界が広がっているのだろう。それを思うとうんざりしてしまった。
(マナーなんて判らないし、上品な踊りなんて習ったことないもん…)
元気のないため息を膝の上でつくキュッリッキの気持ちに気づき、ベルトルドは苦笑を浮かべた。
「ジジイの招待だから蹴るわけにもいかないが。なに、俺が一緒だから心配するなリッキー。おめかししてパーティーを楽しみに行こう」
ベルトルドににっこりと微笑まれて、キュッリッキは小さく笑みを返した。2人が一緒なら、たしかに大丈夫だろう。
「さて、腹も減ったし、飯のあとはドレス選びだな!」
「もう私が選んだと言っているでしょう」
「喧しい! 俺の選んだドレスを着せて連れて行く!!」
再びドレス選びの権利を主張し合い始めた2人をため息混じりに見て、キュッリッキはベルトルドの膝からおりた。
「ンもお、アタシが自分で選ぶんだからっ!!」
ふくれっ面にした顔を2人に向けて、キュッリッキは「ぷんっ」と怒って部屋を出ていってしまった。
「リ、リッキー!」
「リッキーさんっ!」
キュッリッキに怒られた2人は、大慌てで足をもつれさせながら後を追いかけた。
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