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勇気と決断編
episode475
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バシッと書類の束で頭を殴られ、ベルトルドは泣きそうな顔でリュリュを見る。
「痛いじゃないか!」
「おだまり。悶々と桃色妄想浮かべてないで、さっさと会議に入るわよ!」
「俺はな、毎日、毎日、ま・い・ん・ち! 大真面目に仕事をしているんだぞ!! 休憩もさせてもらえないしリッキーのことを想っても怒られるとか、ちょっとは労われオカマ!!」
「生意気ほざいてんじゃないよこのロリコンエロ中年!!!」
ベルトルドとリュリュの子供じみた口喧嘩を眺め、大将たちは慄いて、顔に冷や汗を浮かべた。
言い合っている内容がどんなにおバカでも、大将たちから見たらベルトルドは恐怖の対象なのだ。
一方ブルーベル将軍は、2人の口喧嘩を微笑ましく見つめている。この場にいる誰よりも年長者の将軍からすれば、子供の喧嘩を眺めているようなレベルだ。
「さて、もうすぐ夕飯の時間ですし、お腹も好きましたねえ。閣下もお疲れのご様子なので、早く会議を終わらせてしまいましょうか」
好々爺の笑みで穏やかに本題をつくブルーベル将軍は、有無を言わさないシロクマの笑顔をベルトルドとリュリュへ向ける。
「そ、そうだな」
「そ、そうねん」
気まずさマックスの表情で2人は頷くと、ベルトルドは椅子に座り直し、リュリュは手にしていた書類をデスクの上で整えた。
4国に配置する正規部隊をどの隊に任せるか、民衆寄りの治安のために警務部隊も配置されることが決められた。そして政治・軍事における犯罪者の取り扱いに尋問・拷問部隊も投入され、新任の知事が治安面で扱いに困らない体制を敷いた。
「送り込まれてくるのは誰だ?」
「サロモン子爵よ」
「――あー……、能無しサウッコネン伯爵一門の男だな、確か」
記憶をたどり、社交界リストを思い浮かべる。
「ぴんぽーん。人選する時間がないとかで、取り急ぎ”代理”として着任するそうよ。さすがの宰相もサロモン子爵には渋ったらしいんだけど、暇してるのが子爵しかいなかったらしいわ。まあ、あまりにも終戦が早すぎて、本国でも大わらわですって」
小さく「ちっ」と舌打ちして、ベルトルドは首をすくめた。戦争を早く終わらせて文句を言われるのは俺だけじゃね? と内心で悪態をつく。
「なるべく早めに正式な知事を立てるそうだから、その時はあーたも人選に協力しなさいですって」
「おうよ」
地方の知事は宰相、副宰相の推薦を経て皇王が任命する。皇王の名代として行政、司法を執り、外交も行うことから、それに相応しい才覚と人望を必要とした。この場合才覚はそこそこあれば、下につく補佐官や幕僚たちが対応できる。しかし人望面、社交面は知事自身に大きくよるところがあるので、貴族や豪族の中から選ばれることもあった。
今回は急遽ということもあり、社交面のところのみをチョイスされた人選といえるような人物が推挙されたようだ。
話も一区切りしたところで、下官がサロモン子爵の到着を告げに来た。
「晩飯前に来るなよ……」
「痛いじゃないか!」
「おだまり。悶々と桃色妄想浮かべてないで、さっさと会議に入るわよ!」
「俺はな、毎日、毎日、ま・い・ん・ち! 大真面目に仕事をしているんだぞ!! 休憩もさせてもらえないしリッキーのことを想っても怒られるとか、ちょっとは労われオカマ!!」
「生意気ほざいてんじゃないよこのロリコンエロ中年!!!」
ベルトルドとリュリュの子供じみた口喧嘩を眺め、大将たちは慄いて、顔に冷や汗を浮かべた。
言い合っている内容がどんなにおバカでも、大将たちから見たらベルトルドは恐怖の対象なのだ。
一方ブルーベル将軍は、2人の口喧嘩を微笑ましく見つめている。この場にいる誰よりも年長者の将軍からすれば、子供の喧嘩を眺めているようなレベルだ。
「さて、もうすぐ夕飯の時間ですし、お腹も好きましたねえ。閣下もお疲れのご様子なので、早く会議を終わらせてしまいましょうか」
好々爺の笑みで穏やかに本題をつくブルーベル将軍は、有無を言わさないシロクマの笑顔をベルトルドとリュリュへ向ける。
「そ、そうだな」
「そ、そうねん」
気まずさマックスの表情で2人は頷くと、ベルトルドは椅子に座り直し、リュリュは手にしていた書類をデスクの上で整えた。
4国に配置する正規部隊をどの隊に任せるか、民衆寄りの治安のために警務部隊も配置されることが決められた。そして政治・軍事における犯罪者の取り扱いに尋問・拷問部隊も投入され、新任の知事が治安面で扱いに困らない体制を敷いた。
「送り込まれてくるのは誰だ?」
「サロモン子爵よ」
「――あー……、能無しサウッコネン伯爵一門の男だな、確か」
記憶をたどり、社交界リストを思い浮かべる。
「ぴんぽーん。人選する時間がないとかで、取り急ぎ”代理”として着任するそうよ。さすがの宰相もサロモン子爵には渋ったらしいんだけど、暇してるのが子爵しかいなかったらしいわ。まあ、あまりにも終戦が早すぎて、本国でも大わらわですって」
小さく「ちっ」と舌打ちして、ベルトルドは首をすくめた。戦争を早く終わらせて文句を言われるのは俺だけじゃね? と内心で悪態をつく。
「なるべく早めに正式な知事を立てるそうだから、その時はあーたも人選に協力しなさいですって」
「おうよ」
地方の知事は宰相、副宰相の推薦を経て皇王が任命する。皇王の名代として行政、司法を執り、外交も行うことから、それに相応しい才覚と人望を必要とした。この場合才覚はそこそこあれば、下につく補佐官や幕僚たちが対応できる。しかし人望面、社交面は知事自身に大きくよるところがあるので、貴族や豪族の中から選ばれることもあった。
今回は急遽ということもあり、社交面のところのみをチョイスされた人選といえるような人物が推挙されたようだ。
話も一区切りしたところで、下官がサロモン子爵の到着を告げに来た。
「晩飯前に来るなよ……」
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