486 / 882
勇気と決断編
episode467
しおりを挟むこの日のゼクロス達は、2番目のエリアのディルドラ王国にあるレストという町の北で「アーマーオーク」を討伐するクエストをしていた。
PTは、パラディンのゼクロス、ソルジャーのクレイド、ガードナイトのライナス、そして新たに入ったビショップのリオールであった。
前衛3人、支援一人のこの布陣は、リオールが提案したもので、戦士3人でのスキルを用いた白兵と、回復系魔法の覚えが早いビショップのリオールの回復魔法「ハイヒール」でのHP回復により、アーマーオークは相手にもならず、曇天模様の岩場のMAPで、無難にクエストは進んでいた。
「この調子なら、楽にいけそうだな」とゼクロスは余裕をかましていたが、油断大敵とはいったもので、またも場違いな強力そうなモンスターと遭遇した。
翼の生えた巨大な黒いリザードマンが、PTの前に立ちはだかったのだ。
この巨大な黒いリザードマンは、意外に俊敏でもあり、曲刀を以って、前衛のゼクロスに斬りつける。
「ぐはっ!」
ゼクロスは、HPの6割を超える大ダメージを受けて、慌てて「パリィ」で防御態勢に入る。
「危ないわ、持ちこたえて!」
リオールが素早く「ハイヒール」でゼクロスのHPの4割弱を回復させる。
「このっ!」
クレイドが白兵にはいり、この黒いリザードマンに、新しく覚えた打撃スキル「デストロイクラッシュ」を使い、ヘビーメイスで殴りつける。ギロリとクレイドを睨んでターゲットする黒いリザードマン。
「おっと、やらせないよ!」
そこにライナスが、ターゲットを取る「ヘイト」上昇系スキル「ドレッドノート・アタック」をブロードソードで仕掛けて、この突きスキルで、黒いリザードマンのターゲットを自分に向ける。
この「ドレッドノート・アタック」は、相手とのLV差が高いほど、高いヘイト値が取れるので、ライナスはこれを連打して、ターゲットを自分に固定しにかかる。
もちろん、黒いリザードマンの攻撃が向かうわけだが、この時、ライナスはプレートメイルにガントレット、レッグガードにオープンヘルム、さらにはラージシールドまで持った重装備であったので、2割強のHPダメージでこの曲刀による攻撃をしのぐ。
(これは見たところデーモン系だな。なら、あれでいけるはずだ)
そう思い、ゼクロスは、クラススイッチして「パラディン」から「ホーリーナイト」になると、魔族やアンデッド系に絶大なダメージを与えるスキル「聖光剣」での斬撃を、この黒いリザードマンに浴びせた。黒いリザードマンは、予想通り魔族の類であったようで、そのHPバーが3割程削れる。
「前衛は大丈夫だな。よし、僕は支援に回る!」
クレイドはこれを見て、自分も後ろに引きながらクラススイッチして「ウィザード」になると「ステータス・ブレイク」の魔法でこの黒いリザードマンの防御力を大幅に下げた。
ターゲットを取り続けるライナスのHPは、リオールが回復魔法「ハイヒール」で治している。
「弱体化させるから、止めは頼むぞ、ゼクロス!」
クレイドは「ステータス・ブレイク」の魔法でさらに黒いリザードマンの素早さも大幅に下げる。
「これで決まりだ!!」
そして、ゼクロスが、その支援を受けて、スキル「聖光剣」での2撃目、3撃目を入れると、黒いリザードマンはHPが0になって「グェェェェェ」と断末魔を上げて、黒くなって、かき消えた。
「LVUP!」PT全員のLVが上がる。
「結構きつい相手だったな。リオールの提案したこの編成でなかったら、もっと危なかったかもしれない。助かったよ」
手で軽く自分の頭をかきつつ、ゼクロスがリオールに礼を言う。司祭服姿のリオールは口元に笑みを浮かべて、曰く。
「私の編成もそうですが、PTのみんなの連携がうまくいった上での勝利ですよ?相手モンスターとの相性もありますから、色々メンバーを入れ替えて、有効だと思える編成で討伐クエストを受けるともっといいですね」とのこと。
ゼクロス達は、この後ポーション類でHPとSP、MPを回復させて、「アーマーオーク討伐」の続きをこなすと、翼のペンダントで、ギルド拠点に戻り、ギルドクエストカウンターに報告した。
するとギルドLVが10になり、拠点が小屋から家屋にレベルアップした。
「よし、大分見栄えもよくなってきたな」とゼクロスは満足そうに言い、ギルド拠点のワープポイントから、セルフィの街の中央公園に戻り、エリシャの隠れ家的な店に帰還した。
このとき、店では、ちょっとしたハプニングが起こっていた……。
0
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

覚悟はありますか?
翔王(とわ)
恋愛
私は王太子の婚約者として10年以上すぎ、王太子妃教育も終わり、学園卒業後に結婚し王妃教育が始まる間近に1人の令嬢が発した言葉で王族貴族社会が荒れた……。
「あたし、王太子妃になりたいんですぅ。」
ご都合主義な創作作品です。
異世界版ギャル風な感じの話し方も混じりますのでご了承ください。
恋愛カテゴリーにしてますが、恋愛要素は薄めです。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます
tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中!
※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father
※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中!
※書影など、公開中!
ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。
勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。
スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。
途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。
なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。
その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる