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勇気と決断編
episode464
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「ん……」
キュッリッキは目を覚ますと、飛び込んできた陽光に再び目を閉じる。
「目に滲みる…」
ゴシゴシと両手で目をこすって再び開くと、今度はなんとか目を開くことができてホッと息をついた。
夕べ散々泣いたせいで、目が腫れている。
きっと酷い顔をしているんだろうな、と思い身を起こすと、アルカネットがいないことに気づいた。そして時計を見ると、もう8時を過ぎている。
「やだ、スゴイ大寝坊だ」
慌ててベッドから飛び降りて、しかしふいに立ったままガックリと顔を俯かせた。
「……起きて何をするんだろう、アタシ」
ベッドにすとんっと座り込み、膝に両肘をついて掌に顔を置いた。そんなキュッリッキのそばに、フェンリルとフローズヴィトニルが近寄ってきて膝の上に飛び乗ってきた。
「ベルトルドさんに忘れられずに、ちゃんと一緒に飛ばしてもらえたんだね」
甘えるようにお腹を見せるフローズヴィトニルと、キュッリッキの腕に顔を何度も擦り付けるフェンリル。心配しているとき、フェンリルはいつもこうする。フローズヴィトニルは単に、キュッリッキにかまってほしいだけのようだ。
「ついにバレちゃった……。みんなに見られちゃったよ、翼…」
フェンリルとフローズヴィトニルを腕に抱きかかえると、そっと頬ずりする。
「いつかはね、ちゃんと話すつもりだったんだよ。きっかけが中々なくって、それでずっと黙っていたんだけど…。でもあんな形で見られちゃうなんて、アタシのドジ」
グルル、とフェンリルが喉を鳴らす。
「うん…、みんながどう思ったか知るのが怖いの。………メルヴィンがどう思ったのか、知るのがとっても……怖い」
嫌われたかもしれない。そして、嫌われているのを知るのが怖い。会いたくて、知りたいのに、怖くて足がすくむのだ。
それきり黙り込んだキュッリッキを励ますように、フローズヴィトニルがぺろりとキュッリッキの鼻先をなめた。そのくすぐったさに、キュッリッキの顔に小さな笑みが浮かぶ。
「シャワー浴びてこようか、顔も洗わなくちゃね」
フェンリルとフローズヴィトニルをベッドの上に置くと、キュッリッキは立ち上がって上着を脱いだ。そして両方の二の腕に巻かれた包帯を見て、ヴィヒトリに言われたことを思い出す。
「そういえば、今日一日お風呂我慢しなさいって言われてたんだっけ……」
仕事明けで頭や身体を洗ってスッキリしたいし、お風呂を我慢するのは辛い。
「どうしようかな~」と呟きながら考え込んでいると、ノックがしてアルカネットが入ってきた。
愛しい少女の思わぬ艶姿に、アルカネットは満面に笑みを浮かべた。
「朝から眼福ですね」
にっこりと言われてキュッリッキは首をかしげたが、フェンリルが喉を鳴らして喚起してやっと気づく。
「み、見ちゃダメなのー!」
顔を真っ赤にして、キュッリッキはベッドに放ってある上着を掴んで前を隠した。
以前、寝ている間に散々身体を弄ばれていたことなど知らないので、アルカネットに初めて下着姿を見られたと思い込んで、ひたすら焦った。
キュッリッキの慌てた様子があまりにも可愛らしく、またおかしくて、アルカネットは吹き出したいのを堪えつつ、くるりと後ろを向いた。
「ずっと眺めていたいのですが、我慢しましょうか」
「アルカネットさん意地悪なの」
困ったように立ちすくしている姿が気配で容易に感じられ、アルカネットはくすりと微笑んだ。
キュッリッキは目を覚ますと、飛び込んできた陽光に再び目を閉じる。
「目に滲みる…」
ゴシゴシと両手で目をこすって再び開くと、今度はなんとか目を開くことができてホッと息をついた。
夕べ散々泣いたせいで、目が腫れている。
きっと酷い顔をしているんだろうな、と思い身を起こすと、アルカネットがいないことに気づいた。そして時計を見ると、もう8時を過ぎている。
「やだ、スゴイ大寝坊だ」
慌ててベッドから飛び降りて、しかしふいに立ったままガックリと顔を俯かせた。
「……起きて何をするんだろう、アタシ」
ベッドにすとんっと座り込み、膝に両肘をついて掌に顔を置いた。そんなキュッリッキのそばに、フェンリルとフローズヴィトニルが近寄ってきて膝の上に飛び乗ってきた。
「ベルトルドさんに忘れられずに、ちゃんと一緒に飛ばしてもらえたんだね」
甘えるようにお腹を見せるフローズヴィトニルと、キュッリッキの腕に顔を何度も擦り付けるフェンリル。心配しているとき、フェンリルはいつもこうする。フローズヴィトニルは単に、キュッリッキにかまってほしいだけのようだ。
「ついにバレちゃった……。みんなに見られちゃったよ、翼…」
フェンリルとフローズヴィトニルを腕に抱きかかえると、そっと頬ずりする。
「いつかはね、ちゃんと話すつもりだったんだよ。きっかけが中々なくって、それでずっと黙っていたんだけど…。でもあんな形で見られちゃうなんて、アタシのドジ」
グルル、とフェンリルが喉を鳴らす。
「うん…、みんながどう思ったか知るのが怖いの。………メルヴィンがどう思ったのか、知るのがとっても……怖い」
嫌われたかもしれない。そして、嫌われているのを知るのが怖い。会いたくて、知りたいのに、怖くて足がすくむのだ。
それきり黙り込んだキュッリッキを励ますように、フローズヴィトニルがぺろりとキュッリッキの鼻先をなめた。そのくすぐったさに、キュッリッキの顔に小さな笑みが浮かぶ。
「シャワー浴びてこようか、顔も洗わなくちゃね」
フェンリルとフローズヴィトニルをベッドの上に置くと、キュッリッキは立ち上がって上着を脱いだ。そして両方の二の腕に巻かれた包帯を見て、ヴィヒトリに言われたことを思い出す。
「そういえば、今日一日お風呂我慢しなさいって言われてたんだっけ……」
仕事明けで頭や身体を洗ってスッキリしたいし、お風呂を我慢するのは辛い。
「どうしようかな~」と呟きながら考え込んでいると、ノックがしてアルカネットが入ってきた。
愛しい少女の思わぬ艶姿に、アルカネットは満面に笑みを浮かべた。
「朝から眼福ですね」
にっこりと言われてキュッリッキは首をかしげたが、フェンリルが喉を鳴らして喚起してやっと気づく。
「み、見ちゃダメなのー!」
顔を真っ赤にして、キュッリッキはベッドに放ってある上着を掴んで前を隠した。
以前、寝ている間に散々身体を弄ばれていたことなど知らないので、アルカネットに初めて下着姿を見られたと思い込んで、ひたすら焦った。
キュッリッキの慌てた様子があまりにも可愛らしく、またおかしくて、アルカネットは吹き出したいのを堪えつつ、くるりと後ろを向いた。
「ずっと眺めていたいのですが、我慢しましょうか」
「アルカネットさん意地悪なの」
困ったように立ちすくしている姿が気配で容易に感じられ、アルカネットはくすりと微笑んだ。
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