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第2章
トゥーア領 エルフィン工房
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「ふんふんふーん♪」
足取り軽く、私は路地を歩く。こつこつこつと、小気味良い音が足元から返ってくる。
「ご機嫌だね、ティーナ」
ちょこんと、肩に乗ったアレクサンダーが私に告げる。
「まあね、アレク以外に私のすることをイイネっていってくれる人って貴重でしょ! あの二人いい人だね、お父様が選ぶだけはあるのかな」
「ティーナ、もしかして、好きになったりした?」
ちんまいアレクサンダーは、頬をぷっくり膨らませた。
「……」
嫉妬してるアレクサンダーは、めっさ可愛い! ぷくぷくほっぺをつんつんしたい誘惑が頭をもたげる。
私は誘惑を捩じ伏せて、平静を装いつつ言う。
「恋愛的なのは、まだ無いかな。まあ、ドキドキしたのは本当だけど」
あれだけの美形にドキドキしないって、どんだけ枯れ果ててるんだとか、突っ込みドコロ満載であろう。一応、普通の感覚を持ち合わせているんだから、やべーカッコいいとか当たり前に思う訳です。はい。
でも、アレクサンダー的には、ジェラシーを感じてしまうと言う訳なのね。
「とりあえず、アレクよりも好きになるかどうかは未知数ね。あのバカ王子に比べたら、遥かに好ましいわよ。当たり前だけど」
ケラケラと笑いながら、アレクサンダーに正直に告げた。
そうこうしている間に、次の目的地へ到着した。
マリンブルーカラーの扉を開くと、カランカランと音がなる。その音を聞きながら私は、中へと足を踏み入れる。
「こんにちはー、親方はいるー?」
私が来たのは、エルフィン工房である。依頼品の作製状況の確認が目的だ。
カウンターの向こう側で、背を向けていたマッチョな男性がこちらを向いた。
「おう!」
厳つい親父だが、私を見てにかっと笑う。ムキムキ筋肉の持ち主ことルーカス・エルフィン親方は、愛嬌のある笑顔で私を迎え入れてくれる。
「いらっしゃい、ティナ嬢ちゃん! 丁度良かったぜ、さっき依頼品が出来上がったとこだ」
カウンターの下で、大きい身体を丸めゴソゴソするルカ親方である。
奥様のケイトが、家の旦那はカワイイ熊さんなのって言う気持ちがちょっとだけ分かる。確かに熊っぽい。
「これだ、見てくれ!」
どんと出されたそれは、ミスリル銀で出来た腕輪。繊細な彫金で、猫と六枚羽根の伝令鳥が施されている。彫金で掘られている部分から見えるのは、金色である。透かし彫りにして、間に金を挟んでいるようだ。記録石が嵌め込まれている。石の周りに金色が内側に見えるので、記録石の部分だけを型ぬきしたミスリル金を被せてから、更に上に透かし彫りの細工を施したミスリル銀を重ね土台のミスリル銀に溶接した様だ。
彫金は金銀の二重構造で仕上げているようだ。
うろんげな目を思わず向けてしまった私は、悪くないと思う。
「……ルカ親方、金使ってる?」
「おうよ! ミスリル金を使っているが、余り物のを薄く伸ばしてるからそんなに高くないぞ。まあ、俺からのプレゼントだな。ほれ、着けてみろ」
ガハハと豪快に笑って言うルカ親方に、弱冠呆れてしまう。薄く伸ばしているとは言えど、ミスリル金だからそんなに安価ではないでしょうにと思う。
何とも言えない気分で、私は腕輪を左手首に通す。
クルリと腕輪を一周させてみる。透かし彫りのデザインは素敵だ。契約神の猫と鳥の背景には、太陽と空と月と星空をモチーフにして、朝から夜を表現している。太陽や月や星には記録石が使われている。
「……ステキ」
繊細で美しく、可愛いと思う程の出来ばえで、思わず感想が口から零れた。
足取り軽く、私は路地を歩く。こつこつこつと、小気味良い音が足元から返ってくる。
「ご機嫌だね、ティーナ」
ちょこんと、肩に乗ったアレクサンダーが私に告げる。
「まあね、アレク以外に私のすることをイイネっていってくれる人って貴重でしょ! あの二人いい人だね、お父様が選ぶだけはあるのかな」
「ティーナ、もしかして、好きになったりした?」
ちんまいアレクサンダーは、頬をぷっくり膨らませた。
「……」
嫉妬してるアレクサンダーは、めっさ可愛い! ぷくぷくほっぺをつんつんしたい誘惑が頭をもたげる。
私は誘惑を捩じ伏せて、平静を装いつつ言う。
「恋愛的なのは、まだ無いかな。まあ、ドキドキしたのは本当だけど」
あれだけの美形にドキドキしないって、どんだけ枯れ果ててるんだとか、突っ込みドコロ満載であろう。一応、普通の感覚を持ち合わせているんだから、やべーカッコいいとか当たり前に思う訳です。はい。
でも、アレクサンダー的には、ジェラシーを感じてしまうと言う訳なのね。
「とりあえず、アレクよりも好きになるかどうかは未知数ね。あのバカ王子に比べたら、遥かに好ましいわよ。当たり前だけど」
ケラケラと笑いながら、アレクサンダーに正直に告げた。
そうこうしている間に、次の目的地へ到着した。
マリンブルーカラーの扉を開くと、カランカランと音がなる。その音を聞きながら私は、中へと足を踏み入れる。
「こんにちはー、親方はいるー?」
私が来たのは、エルフィン工房である。依頼品の作製状況の確認が目的だ。
カウンターの向こう側で、背を向けていたマッチョな男性がこちらを向いた。
「おう!」
厳つい親父だが、私を見てにかっと笑う。ムキムキ筋肉の持ち主ことルーカス・エルフィン親方は、愛嬌のある笑顔で私を迎え入れてくれる。
「いらっしゃい、ティナ嬢ちゃん! 丁度良かったぜ、さっき依頼品が出来上がったとこだ」
カウンターの下で、大きい身体を丸めゴソゴソするルカ親方である。
奥様のケイトが、家の旦那はカワイイ熊さんなのって言う気持ちがちょっとだけ分かる。確かに熊っぽい。
「これだ、見てくれ!」
どんと出されたそれは、ミスリル銀で出来た腕輪。繊細な彫金で、猫と六枚羽根の伝令鳥が施されている。彫金で掘られている部分から見えるのは、金色である。透かし彫りにして、間に金を挟んでいるようだ。記録石が嵌め込まれている。石の周りに金色が内側に見えるので、記録石の部分だけを型ぬきしたミスリル金を被せてから、更に上に透かし彫りの細工を施したミスリル銀を重ね土台のミスリル銀に溶接した様だ。
彫金は金銀の二重構造で仕上げているようだ。
うろんげな目を思わず向けてしまった私は、悪くないと思う。
「……ルカ親方、金使ってる?」
「おうよ! ミスリル金を使っているが、余り物のを薄く伸ばしてるからそんなに高くないぞ。まあ、俺からのプレゼントだな。ほれ、着けてみろ」
ガハハと豪快に笑って言うルカ親方に、弱冠呆れてしまう。薄く伸ばしているとは言えど、ミスリル金だからそんなに安価ではないでしょうにと思う。
何とも言えない気分で、私は腕輪を左手首に通す。
クルリと腕輪を一周させてみる。透かし彫りのデザインは素敵だ。契約神の猫と鳥の背景には、太陽と空と月と星空をモチーフにして、朝から夜を表現している。太陽や月や星には記録石が使われている。
「……ステキ」
繊細で美しく、可愛いと思う程の出来ばえで、思わず感想が口から零れた。
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