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第1章
さぁ、ざまあタイムですわよ! 5
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「……」
何と言うか、壮大な(?)クエストオチとは、思わなかったのでちょっとキャパオーバーしつつ、アレクサンダーと聖癒神ケレスと管理神バルキリーのお膳立て転職に乗っかる形で落ち着くしかない。まぁ、プリーストに転職するのは決めてたから良いんだけどね。
『……レスティーナよ、気持ちは落ち着いたか?』
「あ、はいっ」
問われて、私は大きく頷いて応えた。
背筋をピンと伸ばし、そっとアレクサンダーが空けてくれた場所に立つ。
『では、プリーストの儀式を執り行う』
「はい」
『汝、聖癒神ケレスとの契約を更新するか?』
「はい、更新します」
私の答えに、伝令鳥はチラリと横にいる白猫に視線を移す。すると。
『妾が派遣せし、御使いに問う。愛し子がプリーストたる資格を有するか?』
「はい、レスティーナは、資格を有します」
白猫こと、聖癒神の問い掛けにアレクサンダーはハッキリと答えを返す。
『ならば、ギルドカードを祭壇に捧げよ』
てしてしと白猫の肉球で、ここに置けと合図してくれる。私は本来のサイズのままである、ギルドカードを白猫と伝令鳥の御前に置く。
「カードを捧げます」
カツッと伝令鳥が嘴で、ギルドカードの端の部分を突いた体勢のまま止まる。
『カードに触れよ』
「はいっ!」
私は言われた通りに、ギルドカードの半分位の所まで手を乗せる。
『アレクサンダーよ、レスティーナの手におのが手を重ねよ』
「はい」
聖癒神ケレスが告げた通りに、アレクサンダーは私の手に、その手を重ね合わせた。
すると、アレクサンダーの手の上に、ぽふりと白猫の肉球が乗った。
『我、管理神バルキリーの名に於いてこの儀式を見届けん』
パアーッと、ギルドカードが輝いた。伝令鳥は嘴をカードから放し、バサリと羽根を大きく広げた。
『妾の愛し子たる者に、更なる覚醒と力を与えん』
「……っ」
『今この時を以て、かの者はプリーストとならん! 更なる契約を!』
ぶわっっと、柔く暖かい風が指先から流れて、全身を駆け抜けていく。思わず目を閉じる。
「……ッ!」
ゾクゾクする様で、でもポカポカする様で不思議な感覚が体を突き抜けた。
『契約は成された。そなたはこれよりプリーストとなり、その力を奮うがよい』
「はっ……い。聖癒神様と管理神様に感謝を捧げます」
目を開けると、ちょこんと座る白猫と伝令鳥と目が合う。うむうむ、と首を縦に振り満足気にしている。
視線を自分の手とギルドカードに向けると、違和感に気付く。中指には指輪が填まり、指輪から白い布が手の甲を一部を覆い、その先へと伸びている。視界に写る袖部分は、さっきまで着ていた服装とまるで違う。
「……え?」
『ふむ、似合いじゃな』
『我らからの餞別だ、受け取り拒否は出来ないがな』
「有り難う御座います! 聖癒神様、管理神様! レスティーナと揃いにして頂き感謝致しますっ!!」
アレクサンダーが感極まった声を上げる。
「……ええっ!?」
私は慌てて、アレクサンダーを凝視した。しかし、アレクサンダーの服装は変わっていない。恐る恐る自分の服装を確認してみる。
――――アレクとオソロじゃーーん!!
アレクサンダーが着ている服装とほぼ同じ感じの作りである。違うのは色で私のはアレクの髪と同じ色。また、ピッチリしたアレクの服の細部が、私のだと所々ふわっとしたり、動きやすくゆったりしたりとした作りである。
詰め襟は苦しくない感じに少し大きい。胸元は動きやすい様にゆとりがある。手首の袖部分は、ラッパ水仙の様に広がり可愛らしく見える。その下から手の甲に伸びる白い布を良く見ると、うっすらと魔法陣の様な精緻刺繍がある。腰の部分はサイドにふわっと広がり、後ろにはスリットが入っている。ウエストの所には、革ベルトが二重に装着されてて、左右対称に下がってる。魔導銃の装着用ベルトらしく、後ろにはポシェットの様な小さいバックがベルトに付いている。正に至れり尽くせりの衣装である。
『我らの加護付きの服だから、汚れる事もなければ、戦闘の時は活躍する事だろう。詳しくは、ギルドカードを見ると良い』
『妾からはこれを授けよう。受け取るがよい。ディバインロッドじゃ! どうだ嬉しかろう?』
中空に突如出現した杖。
持ち手の部分は、びっしりと精緻に彫り込まれた文字が下まである。
ロッドの頭の部分は、拳二つ分の大きく透き通る虹色の魔法石らしき、宝玉。天辺にはクロスが付いている。接着剤で付いている訳でないと思うが、謎な作りである。
そして、目を惹く美しさも兼ね備えた杖。宝玉だけで、下手すれば国が傾くレベルの代物何じゃないの、これ?
『どちらもヴァルカンが造った神具じゃ。並みの装備品ではないぞ?』
『ロキをやり込めると知って、ミネルヴァが出来上がった、それに追加魔法を込めている。そなたの功績は他の神にも届いている。そなたの意識を奪った時間の対価として受け取るがよい。と、言ってもそなた専用の装備だがな』
『そうじゃな。平常で使わぬ時は指輪に収容される。合言葉を決めるがよい。まずは収容する言葉じゃ。意識しながら言うが良い』
聖癒神ケレスの言葉に、はっとなって考える。
「……えっと……では、【クローズ】」
シュンッと、目の前にあったディバインロッドと着ていた法衣が消え、元の服装に戻っていた。
『次は出現させる合言葉を言ってみよ、先程と同じ様に意識してだ』
「はい……【オープン】」
すると、法衣を瞬時纏い、ディバインロッドは指輪をしている手の内にある。
『成功だな。では、我らはこれにて去ろう』
満足げに言う管理神バルキリーである。隣でコクコクと頷いて同意する白猫聖癒神ケレス。
『妾も次にまみえる時まで、そなたの成長を楽しみにしておるぞ』
『汝らの今後に幸あらん』
「はい!」
そう言うバルキリーの伝令鳥と、ケレスの白猫の姿が淡く光り、空気に溶けて消えていった。
何と言うか、壮大な(?)クエストオチとは、思わなかったのでちょっとキャパオーバーしつつ、アレクサンダーと聖癒神ケレスと管理神バルキリーのお膳立て転職に乗っかる形で落ち着くしかない。まぁ、プリーストに転職するのは決めてたから良いんだけどね。
『……レスティーナよ、気持ちは落ち着いたか?』
「あ、はいっ」
問われて、私は大きく頷いて応えた。
背筋をピンと伸ばし、そっとアレクサンダーが空けてくれた場所に立つ。
『では、プリーストの儀式を執り行う』
「はい」
『汝、聖癒神ケレスとの契約を更新するか?』
「はい、更新します」
私の答えに、伝令鳥はチラリと横にいる白猫に視線を移す。すると。
『妾が派遣せし、御使いに問う。愛し子がプリーストたる資格を有するか?』
「はい、レスティーナは、資格を有します」
白猫こと、聖癒神の問い掛けにアレクサンダーはハッキリと答えを返す。
『ならば、ギルドカードを祭壇に捧げよ』
てしてしと白猫の肉球で、ここに置けと合図してくれる。私は本来のサイズのままである、ギルドカードを白猫と伝令鳥の御前に置く。
「カードを捧げます」
カツッと伝令鳥が嘴で、ギルドカードの端の部分を突いた体勢のまま止まる。
『カードに触れよ』
「はいっ!」
私は言われた通りに、ギルドカードの半分位の所まで手を乗せる。
『アレクサンダーよ、レスティーナの手におのが手を重ねよ』
「はい」
聖癒神ケレスが告げた通りに、アレクサンダーは私の手に、その手を重ね合わせた。
すると、アレクサンダーの手の上に、ぽふりと白猫の肉球が乗った。
『我、管理神バルキリーの名に於いてこの儀式を見届けん』
パアーッと、ギルドカードが輝いた。伝令鳥は嘴をカードから放し、バサリと羽根を大きく広げた。
『妾の愛し子たる者に、更なる覚醒と力を与えん』
「……っ」
『今この時を以て、かの者はプリーストとならん! 更なる契約を!』
ぶわっっと、柔く暖かい風が指先から流れて、全身を駆け抜けていく。思わず目を閉じる。
「……ッ!」
ゾクゾクする様で、でもポカポカする様で不思議な感覚が体を突き抜けた。
『契約は成された。そなたはこれよりプリーストとなり、その力を奮うがよい』
「はっ……い。聖癒神様と管理神様に感謝を捧げます」
目を開けると、ちょこんと座る白猫と伝令鳥と目が合う。うむうむ、と首を縦に振り満足気にしている。
視線を自分の手とギルドカードに向けると、違和感に気付く。中指には指輪が填まり、指輪から白い布が手の甲を一部を覆い、その先へと伸びている。視界に写る袖部分は、さっきまで着ていた服装とまるで違う。
「……え?」
『ふむ、似合いじゃな』
『我らからの餞別だ、受け取り拒否は出来ないがな』
「有り難う御座います! 聖癒神様、管理神様! レスティーナと揃いにして頂き感謝致しますっ!!」
アレクサンダーが感極まった声を上げる。
「……ええっ!?」
私は慌てて、アレクサンダーを凝視した。しかし、アレクサンダーの服装は変わっていない。恐る恐る自分の服装を確認してみる。
――――アレクとオソロじゃーーん!!
アレクサンダーが着ている服装とほぼ同じ感じの作りである。違うのは色で私のはアレクの髪と同じ色。また、ピッチリしたアレクの服の細部が、私のだと所々ふわっとしたり、動きやすくゆったりしたりとした作りである。
詰め襟は苦しくない感じに少し大きい。胸元は動きやすい様にゆとりがある。手首の袖部分は、ラッパ水仙の様に広がり可愛らしく見える。その下から手の甲に伸びる白い布を良く見ると、うっすらと魔法陣の様な精緻刺繍がある。腰の部分はサイドにふわっと広がり、後ろにはスリットが入っている。ウエストの所には、革ベルトが二重に装着されてて、左右対称に下がってる。魔導銃の装着用ベルトらしく、後ろにはポシェットの様な小さいバックがベルトに付いている。正に至れり尽くせりの衣装である。
『我らの加護付きの服だから、汚れる事もなければ、戦闘の時は活躍する事だろう。詳しくは、ギルドカードを見ると良い』
『妾からはこれを授けよう。受け取るがよい。ディバインロッドじゃ! どうだ嬉しかろう?』
中空に突如出現した杖。
持ち手の部分は、びっしりと精緻に彫り込まれた文字が下まである。
ロッドの頭の部分は、拳二つ分の大きく透き通る虹色の魔法石らしき、宝玉。天辺にはクロスが付いている。接着剤で付いている訳でないと思うが、謎な作りである。
そして、目を惹く美しさも兼ね備えた杖。宝玉だけで、下手すれば国が傾くレベルの代物何じゃないの、これ?
『どちらもヴァルカンが造った神具じゃ。並みの装備品ではないぞ?』
『ロキをやり込めると知って、ミネルヴァが出来上がった、それに追加魔法を込めている。そなたの功績は他の神にも届いている。そなたの意識を奪った時間の対価として受け取るがよい。と、言ってもそなた専用の装備だがな』
『そうじゃな。平常で使わぬ時は指輪に収容される。合言葉を決めるがよい。まずは収容する言葉じゃ。意識しながら言うが良い』
聖癒神ケレスの言葉に、はっとなって考える。
「……えっと……では、【クローズ】」
シュンッと、目の前にあったディバインロッドと着ていた法衣が消え、元の服装に戻っていた。
『次は出現させる合言葉を言ってみよ、先程と同じ様に意識してだ』
「はい……【オープン】」
すると、法衣を瞬時纏い、ディバインロッドは指輪をしている手の内にある。
『成功だな。では、我らはこれにて去ろう』
満足げに言う管理神バルキリーである。隣でコクコクと頷いて同意する白猫聖癒神ケレス。
『妾も次にまみえる時まで、そなたの成長を楽しみにしておるぞ』
『汝らの今後に幸あらん』
「はい!」
そう言うバルキリーの伝令鳥と、ケレスの白猫の姿が淡く光り、空気に溶けて消えていった。
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