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第1章

封印されてた記憶 5

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 今日の私は、領主の館がある城下町に来ている。冒険者として訪れるのでは無く、レスティーナ・トゥーア公爵令嬢としてだ。なので、公爵家の馬車が目的地に到着するまで、揺られつついる。

 私の今日のコーディネートは、商談するためにキッチリとした、簡素だけどそれなりの高品質の生地で作られたドレスを身に纏っている。ドレスの色は、淡いエメラルドカラーで、アレクサンダーが自身の瞳の色のドレスをプッシュした為である。
 そんなアレクサンダーは、本日ちんまくなって私の肩に乗ってご満悦です。魔力等を無駄に使わない、省エネモードだそうな。美形キャラがちっこくなっても、無駄に格好良いんだろうと思っていたら、デフォルメ系になるって聞いてないいいい!
 かわゆすぎて、抱きしめたくなった衝動を抑えるのに苦労しました。(涙)

 さて、目的地は、商人ギルドである。記憶チート使って作ったアイテムの三度目の売り込みに行くのだ。冒険者として行ったら、忙しいとか言って話も聞かないのがザラなので、絶対に無視出来ない方法をとったのだか、流石商人で前回までダメ出しを食らった。今回は、それをクリアした状態である。

 このアイテム、日本人なら結構当たり前に知っている、お菓子作成には不可欠な代物だ。名付けて、何様俺様計量サマシリーズだ。スプーン大中小とカップ大中小のみだけど。名前もまんまだがなーー。(笑)

 この世界には、金銀鉱石等々の計量するものはあるのだが、料理に使うものは揃っていない。目分量、舌で覚えるが基本になってて職業スキル気味になっているが実状である。

 そんなこんなで、重さから砂糖や塩の同じ重さをもつ砂を使い、スプーンを作成。カップはそのまま水などの液体と砂を使って作成。似たような計量する品はあるにはあったのだか、アルケミスト達が使う為に、材質が異なり採算が取れないからと断られた。
 
とりあえず、採算の取れる材質で作成出来るガラス職人と木工職人と、鍛冶師に話してマージンも色々決めたのだが、何よりも職人達が食い付たのは安定しない料理の味が安定すると言う事だった。
 料理下手の奥さんがいて、大変だと言う事実が後押ししたらしい。一応食べれる料理なので、分量さえしっかりすれば美味しくなるだろうと考えた訳である。

 ただ普通に店に並べたとしても、取っ付き難いだろうから、粉物の材料とセットにしてはどうだろうかと、プレゼンテーションをしてみる予定だ。三度目なので修正案もバッチリだろう。
 プレゼンテーション用のお菓子は、クッキーにしてみた。当家御抱えの料理人に作らせたクッキーと、私が作った正確なレシピで同じ材料で作成。どのくらい違いが出るかを分かりやすく出してみた訳である。
 そして、初期から改良を重ねた職人達の自信作も、しっかり鞄の中に入っているしね!

 これが上手くいったら、装備品のグレードアップをするんだ。あれにしようこれにしようかなどと夢を膨らませる。

 城下町の中心地に程近い場所にそびえ立つ、中世ヨーロッパの城にしか見えないギルドの前に、馬車が停車する。

 御者が告げる。
「お嬢様、商人ギルドに到着致しました」
 私はドアを開ける。前以て御者のエスコートを断っておいたので、するりと降り立つ。ドアを閉めて、御者に言う。
「帰りはギルドの人に頼むから、戻って構わないわ」
「畏まりました」
 御者の回答聞いてから、ギルドの入り口を私は潜った。



 まさか、この一件で王と宰相に目を付けられてしまうとは、この時の私は知るよしも無かった。
 
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