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粛正の六重奏

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 パーティーの騒ぎから約2時間後……。
 王宮内の円卓がある会議用も兼ねた、専用の質素な尋問部屋にエルーシャ達はいる。パーティーの参加者達の意識が、国王とエルーシャ達からそれた頃合いを見計らい、退出した後、身支度を整えてここへと来ていた。
 公爵家から養父母と共に飛んで来た侍女は、帝国王太子の正装である軍服と、ファルクスの着替えも携えていた。二人は一室を借り受けて、新たなる出で立ちで国王達といる。エルーシャは上下白の軍服で胸元には、帝国の金銀細工で出来た記章が付けられ、肩口には金モール、上着の裾辺りには帝国の聖獣の意匠の銀糸の刺繍がほどこされている。ファルクスは黒の軍服で、胸元には金の記章、肩口には銀のモールと言う装い。

 王子と愉快な仲間達は、手錠と足枷をつけられ、床に座らされている。その列の合間には、彼らの親御が頭と腰を下げ、恭順の意志を示していた。王子の左右には屈強な騎士が二名ついて目を光らせているようであった。

 無言で進み、先ずは国王が着席する。次に騎士が王の右側を固めるように立つ。左側には宰相がまだ座らないで、エルーシャに自身の左側の席をと合図する。

 ファルクスはエルーシャの椅子を引き、着席するのを確認したのち、隣の席に座る。その後、宰相も椅子に腰かけると、口を開く。
「皆、面を上げよ。さて、先ずは、席に着きなさい」

 青い顔をした者が多数いたが、はっとしたようにエルーシャを見た後、少し焦った様に席に移動する。ランプロス公爵夫妻は至って平然としている。皆、無言で席に着き、その間の空間に元凶の子供を床に跪かせた。勅命で家名から外された者なので、同席は出来ない為の措置である。

「此度の件、既に罪状と判決を皆には了承してもらっているが、再度問おう。異議のある者はおるか?」
 国王が淡々と問い掛ける。その間、潤んだ眼でじっと見詰める王子を完全無視である。
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