恋愛コンプライアンス

奏井れゆな

文字の大きさ
上 下
40 / 64
第4章 unfairのちfair

8.

しおりを挟む
 琴子が抵抗できないと見切ったのか、道仁は中指を体内にくぐらせた。一気にではなく、少しずつ具合を確かめるようにゆっくりとしている。琴子もまた、隘路がじ開けられていくのを鮮明に捉えて、無意識下でその形を確かめるように道仁の指に絡みついている。
「呑みこまれているみたいだ」
 きっとわざとに違いない。耳もとの嫌らしい声に身をふるわせ、琴子の躰がうねる。体内で収縮が起こり、道仁の指先がすっと奥深くに沈んできた。道仁が云ったように琴子が呑みこんだのか、それとも道仁がそうしたのか判断はつかない。道仁が中で指先を折るようなしぐさをする。
 あうっ。
 嬌声と一緒に琴子の腰がびくっと跳ねた。
「ここは琴子の急所の一つだ」
 道仁は勝手に断定した。反論も認めることもできないけれど、指先がうねるように動き始めるとすぐ、琴子の躰が肯定を示した。びくっ、びくっ、とそこが摩撫されるたびに腰が跳ねあがって、自分の躰なのに自分では止められない。
「もう一つはここだ」
 琴子は喘ぎながら身構えたものの、胸をくるんでいた手がその先端を抓むとなんにもならなかった。
 ん、ぁああっ。
 道仁は加減を心得ている。痛みになる手前の圧力で硬い実をころころと弄ぶ。体内に潜った指も連動してうごめいた。いまは後ろ手に抱きとられ、脚は大きく開かされたまま宙ぶらりんで身動きができない。快感を逃すこともできずに刺激をただ受けとめるしかなく、琴子の躰は大きくうねった。
 はっ、あっ、あっ……ぅんっ……。
 喘ぐ合間に、くちゅっ、くちゅっと淫らな音が立ち、最初は間が空いていたのに、まもなく淫音はひっきりなしに聞こえだし、道仁の指先は躰だけでなく琴子の思考を羞恥心で侵した。
「や……あ、あっ……こんなっ……だめっ……ああっ……」
「いまだに恥ずかしい?」
「う、んっ!」
 琴子は返事とも嬌声ともつかない声を上げながらうなずいた。喘ぐのに自ずと首はのけ反ってしまって、うまくうなずけているかわからない。
「自然体で感じるまま反応すればいい。それがおれにとっても快楽になるんだ。確かめてみる?」
 道仁は熱く囁いて琴子を誘った。
「確かめ、るって……?」
「手を動かしてみて」
 云いながら道仁は胸先を押し潰してぐりぐりっとうごめかす。
 ふ、はああっ。
 琴子が身悶えするさなか、さあ、と道仁が促した。何も考えられないまま、無意識に命令を聞き遂げた手が動いた。拘束されていて、手を動かせる範囲は制限されている。そうすれば何が確かめられるのか、撫でるようにするとジョガーパンツ越しに硬いものに触れた。刹那、それは琴子の手から逃れるようにぴくりとうごめく。背後からは唸り声がした。
 この恰好にされてからずっと琴子の手は動かせず、おそらくそれに触れていたはずだ。自分の快楽に捕らわれて琴子が気づかなかっただけで、道仁の反応はすでに現れていた。
「同じ、だろう?」
 道仁の言葉に誘発されて琴子の手がそれを確かめる。つかむように手を閉じると、ぴくぴくと揺らいで道仁が唸り声を放つ。
「っ……生意気だ」
 自分がいざなったくせに道仁は琴子をなじる。それは琴子の衝動を止めることにはならず、逆にもっと道仁の反応を知りたくなって、手探りで服越しに摩撫した。
「くっ……まだ、早かった、な……っ」
 呻いたかと思うと含み笑って、そして――
「いまはここまでだ。琴子の急所はもう一つある」
 と、道仁は脅しを吐いた。
 琴子に触れられることで疎かになっていたのだろう、道仁の手の動きは緩んでいた。そう気づいたところで逃げるすべははなからなく、琴子にはなんの助けにもならない。胸から離れていった手が容赦なくもう一つの急所を襲った。
 んん、あ、ああっ……!
 躰の中心は濡れそぼっている。最も繊細な場所は剥きだしであるにもかかわらず、とろりとした蜜の膜に覆われていて痛みはない。あるのは、ひどい快感だ。
 秘芽を小さく引っ掻くように下から剥きあげられ、指の腹で転がされた。
「あああっ、だめっ」
 琴子は激しく腰を揺らして悶える。快感とはいえ、それがあまりにひどくて、逃れられないつらさがある。そのうえ、体内でも快楽点がつつかれて、融けだしていく感覚に襲われた。
 ぐちゅっ。
 どくん、と体内から淫蜜が溢れ、吐きだすのを道仁の指が邪魔したせいだろう、粘着音を立ててわずかな隙間から迸った。
 道仁が指を引き、その指に一つ一つの襞が絡みつく。その引き止めるようなしぐさは、また奥深くに指が埋もれてきたとき、抉じ開けられる感覚を鮮明にして、琴子は自ら快感を煽っていた。
 道仁は指を前後にスライドさせ、何度も快楽点をつついてくる。ぐちゅっぐちゅっと淫音が続き、嬌声と一緒になって嫌らしく琴子の耳を侵してくる。あまつさえ、秘芽が揺さぶられ、漏らしそうな感覚に襲われる。
「ああっ、もぅっ……あっ、や……濡らしちゃぅ……ああっ、道、仁、さ……っ」
「快楽から逃れられないくせに抵抗するほうが、貪欲でいるよりもずっと嫌らしいってことをわかってる? おれはどっちでもいいけど」
 満悦至極といった笑みが耳から体内へと浸透して、琴子の内部を疼かせる。
「ぃやっ、だめっ」
「逆らうよりもラクになれば? 濡れていい、いつものことだろう?」
 にやけた声でからかい、道仁はさらに琴子を追い立てていく。粘り気のある淫蜜をぐちゃぐちゃに掻きまわすような音を立て、熱くぬめった秘芽を繰り返し引っ掻く。
 琴子の躰はがくがくと激しい痙攣をし始め、腰が砕けそうな脱力感がやってくる。
「ああっもぅ……っ」
 スライドする指の動きはゆっくりしているのに、奥深く快楽点を捕らえられているためか、激しさを感じさせる。秘芽を軽く転がされて、感覚が敏感になっている反面、躰が快感に弛緩し、開放してしまうのを止められなかった。
「あ、あ、あ……イっ、ちゃ……」
 舌っ足らずの嬌声を吐いた刹那、躰を突っぱらせ、直後、がくんっと腰を跳ねあげて琴子は果てに向かわされた。たどり着くまでに途方もない時間がかかった気がする。それほどの息が詰まるような快楽は、かわりに中心から解放されて淫蜜が乱れ散った。
しおりを挟む
登録サイト 恋愛遊牧民R+
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

小野寺社長のお気に入り

茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。 悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。 ☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。 ☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。

幼馴染以上恋人未満 〜お試し交際始めてみました〜

鳴宮鶉子
恋愛
婚約破棄され傷心してる理愛の前に現れたハイスペックな幼馴染。『俺とお試し交際してみないか?』

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...