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45.ロストバージン(1)

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 キョウゴの舌が口の中に潜りこんできて、いきなりキスは激しくなった。舌は頬の裏側をぐるりと撫でまわし、歯並を裏側からたどり、そうして智奈の舌を探しまわるようにうごめいた。キョウゴはさらに顔を斜め向け、智奈の舌を捕らえると表面をずるりと舐めた。
 んっ。
 喘ぐと智奈の口がもっと開いて、キョウゴの舌が深く潜りこんできた。舌をすくわれると同時にキョウゴが強く吸いついて、舌が巻きこまれる。甘噛みされて舌先が捕らえられ、吸着が繰り返された。キョウゴの口の中へ導かれると、呑みこまれるような感覚がした。舌が痙攣して、脱力しそうな快感に襲われる。
 智奈の舌を咥えたままキョウゴは舌を絡ませた。吸着力が弱まって逃れられるかと思うとキョウゴが嚥下するのに伴ってまた引きこまれる。思考がぼんやりしていくなか、頬に添えた手が離れていき、次の瞬間、胸のトップが両側ともに抓まれた。
 ん、ふぅっ。
 びくんと背中が浮いた。
 くりっとひねるようにしながら胸先は持ちあげられ、それ以上は伸びないところで、指の腹から抜けだすようにもとの位置にはね返る。
 ふくらみ全体がぷるっと弾み、揺れがおさまらないうちにまた同じようにされる。胸をせり上げるのは無意識に刺激から逃れようとしているのかもしれない。
 んん――っ。
 指の間から胸先が逃れたとたん、さらに胸が跳ねあがった。
 キョウゴの口内では、ちゅぷっ、ちゅぷっ――と一定の感覚で吸引音が立ち、舌は快感に痺れてしまっている。胸もとは指先で何度も扱かれて、そのたびに上半身がうねって躰がだるくなっていき、やがて痙攣するようなふるえに変わった。
 硬く、大きくふくらんだ胸の尖端が指の腹に捕らえられて、ふくらみの中に埋没するほど押し潰される。ぐりぐりと捏ねられて、さっきまでとは違う、なんともいえない感覚がした。
 んくう……っ!
 胸をぴくぴくと跳ねながら、智奈はその刺激から逃れようと躰をよじった。キョウゴは強く舌を吸引しながら顔を上げていき、胸の硬い粒はまた三本の指先で抓まれて持ちあげられ、そして舌と胸のトップが同時に放たれた。
 あああっ。
 広い部屋に嬌声が甲高く弾けて、胸もとをびくつかせながら智奈の躰は波打った。
「智奈の反応の良さは絶品だ。オスとしての征服欲はあるけど、それよりも智奈をもっと感じさせたい」
 智奈のくちびるの端に口づけたあと、キョウゴは悦に入った声で熱を吐く。
 智奈は緩慢に首を横に振り、それから口を開くまでの間に、キョウゴは膝で智奈の膝を割って脚を広げさせると、その間におさまった。
「……っ、だめ……ぅ、あああっ」
 引きとめても無駄だとはわかっていながら云ってみたものの、キョウゴはやっぱり容赦ない。躰の中心に太い指の腹が添い、二枚の花片の間を這いのぼって最も敏感な場所に到達した。触れたのは一瞬なのに、お尻が浮くほど腰が跳ねた。
 キョウゴの指は中心に戻り、ぬぷっ、とそんなぬめった音を立てて指先を体内に潜らせた。入り口を広げるように、くるりとひとまわりする。
 ふ、あっ。
 快感を催す神経はどんなふうに張りめぐらされているのだろう。わからないから制御しようがない。キョウゴに触れられると、とたんにその回路があらゆるところに繋がる。そんな感覚がしている。
 キョウゴの指が入り口をひとまわりするたびに秘口が歓迎するように開いていく。そう感じるのは気のせいだろうか。
 そうして、キョウゴは少し指を中へと進めた。第一関節くらいまで進んだところで、キョウゴは指を引き抜く。ゆっくりとした動きはよけいに神経を剥きだしにする。また中に入って、そしてじわりと抜けだす。
 ぬちゃっ、ふぁっ、ぬぷっ、んっ、ぬちゃっ、ふぁっ、ぬぷっ、んんっ……。
 智奈の二つの口から淫音が連動して飛びだす。秘口のふちも体内の襞も、キョウゴの指に纏わりついている。快感は増幅していくばかりで、智奈はたまらず腰を揺すった。いや、意識してそうしているわけではなく、快感が限界を超えそうになっている反動だ。
 キョウゴは左腕で智奈の右脚をすくい、そのまま前にかがむ。
「智奈、ぐちゃぐちゃだ。わかる? 次から次にべたべたの蜜がこぼれてくる」
 キョウゴはにやついた声で、云わなくていいことを云う。
「ぃや……あ、ああっ」
 智奈が形だけの否定をしかけたとき、ぬぷりと入った指先が、ついさっきまでの行き止まりを越えて奥に侵入した。そうして、体内の弱点をピンポイントで捕らえた。指先を少し曲げてキョウゴはそこを揉みこむようにうごめかす。
 あ、あ、あ……。
 舌っ足らずの嬌声が止め処なくこぼれた。神経が快感に占められて躰から力が奪われていく。ベッドに呑みこまれてしまいそうな脱力感のなか、キョウゴが責め立てる場所もまた緩んでいく感覚がした。その証拠に、グチュッ、グチュッ――と淫音がひどくなっていく。
「きょ、ごっ……あっ、だ、めっ――ああっ……漏らし……ぁっ、ちゃ……ぅ」
「大丈夫だ。塞いでやるから」
 どういう意味か、含み笑いつつキョウゴは嫌らしく云うと、より摩撫をひどくして智奈を煽った。
 智奈は逃れようとして自由なほうの左膝を立てたものの、右脚を抱えられていてどうにもできない。逆にそうしたことで腰が反りあがり、キョウゴに突きだすような恰好になって、まるでせがんでいるみたいだ。
「もっと?」
 案の定、キョウゴは都合のいい解釈を疑問として、わざと智奈にゆだねた。そして、答えも必要とせず、キョウゴはそこをいたぶった。
 ぶるぶると腰がふるえ、引き返せないまま快感は果てに向かった。
 んくぅっ……あ、あ、ぁああああ――――。
 グシュッ――と、腰が跳ねあがるのに伴って淫蜜の噴き出る音が聞こえた。そうやって耳に届くくらい、漏らすよりもひどく、智奈はそこから蜜を噴いているのだ。再び腰が跳ねあがる間際、そこに別の濡れた熱が覆い被さった。
 あうぅぅぅ――っ。
 噴いた感覚はある。けれど、今度は迸る音ではなく、ジュルッ、ジュルッ――と啜る音に変わった。指先に淫蜜を掻きだされ、掻きだすキョウゴ自身がそれを飲み下していく。吸い尽くされるような怖さを感じながら、何度も跳ねあがっていた腰が耐えきれずに砕けた。
 そうしてキョウゴはようやく顔を上げて、体内から指を抜いた。その刺激に腰が跳ねたのは生理現象で、快楽に満ちた智奈の脳内にそうする伝達能力は残っていない。
 キョウゴは智奈に覆い被さって頬をくるみ、荒く息を継ぐ口をふさいだ。ゆっくりと離れると。
「智奈はおれを餓鬼ガキに戻す。最高すぎて苛めたくてたまらなくなるんだ。できるなら、融け合うくらい抱きしめたい」
 熱に浮かされたように、衝動的な様でキョウゴは囁いた。
「……同化、したら……」
「そう、抱けなくなるから複雑だ。智奈、せめて、躰を繋いで同化させてくれ」
「そ……ぅ、したぃ……」
「ああ、そうする」
 さっきの乞うような声音と違って、智奈の返事を聞いたキョウゴは決意表明のごとく放った。
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