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33.コントロール不能(2)

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 荒っぽく喘ぐ智奈の耳もとでキョウゴが含み笑う。
「無駄に恥ずかしがらなくなったぶん、智奈はイキやすくなってる。もっとイカせたい。その欲求が止まらない。どうする?」
「んっ……それ、イジメ、虐待……」
「――なわけないだろう。気持ちよくなってるくせに。痛みがあるならともかく、智奈はバージンのままだ。おれは一度も痛みを与えたことはない」
 キョウゴは身の潔白を理路整然と訴える。そのとおりで、智奈には反論の余地がない。
 智奈が黙りこむと、耳に短い呼吸が連続して降りかかり、智奈は喘ぎながらぷるっと躰をふるわせた。
 キョウゴは躰を起こしたかと思うと、智奈のお尻をつかんだ。
「このプルッとした智奈のお尻は最高だ」
 嫌らしいおじさんみたいな云い方だ、と思ったけれど、キョウゴが下腹部を押しつけてきて、智奈は云い返すどころじゃなくなる。キョウゴはやる気満々で智奈の中心に自分のモノを宛がった。びくんと智奈の腰がうごめく。軽くイったばかりで、そこは過剰なほど敏感になっている。
「あっ……キョウゴ、まっ……」
「待たない」
 すかさず断固として云い、キョウゴはお尻からウエストへと手を滑らせてがっちりとつかんだ。
 智奈が逃れようとしたのは無意識だ。キョウゴの手がそれを許さず、智奈の腰はビクビクと小さくうねるように跳ねた。こもった笑い声が智奈の背中に降ってくる。
「智奈、嫌らしいな。腰を揺らして催促か?」
「ち、ちがっ……」
「違わない。智奈のここは――」
 と云いながら、キョウゴは腰を一度ゆっくり前後に動かした。智奈の背中がぶるぶるとふるえる。喘ぎつつも、嬌声が空に消えるほどの快感が走った。かわりにキョウゴが短く唸る。
「――ぬるぬるしておれに纏わりつく。ここならいくら濡らしてもかまわない。派手にイケばいい」
 嫌らしいのはキョウゴの熱っぽい声音だ。智奈の意思は必要なくて、キョウゴはおもむろに腰を動かして律動を始めた。
 キョウゴのソレは硬いのにしなやかなやわらかさも兼ね備えて、絶妙なタッチで刺激してくる。そのうえ太くて、繊細な智奈の中心をすべて捕らえて次から次へと快感を繰りだす。もとから滑りやすかったのが、もっとなめらかになっていって自然とキョウゴの動きが速くなっていく。
 ぬちゃっぬちゃっ――と濡れた音がバスルームのなか、よけいに際立って連続し、それは智奈の躰がそうしているに違いなく、せめてと嬌声を堪えた。それをわかっての意地悪なのか、キョウゴがわずかに角度を変える。すると、キョウゴが突きあげてくるたび、花片の突端に及んだ瞬間に秘芽が剥きあげられて、最大の弱点が擦られた。
「ん、ああっ、あああっ……待ってっ……」
 脚ががくがくとふるえてしまうほど強烈な快感に襲われ、嬌声は堪えきれずに飛びだした。バスルームのなか、響き渡って恥ずかしい。
「我慢、しなくていいだろ……おれも……そう持たない……」
 途切れ途切れであることが、キョウゴも快楽を覚えていることの証明で、すると、少し智奈の羞恥心が緩和された。
 律動は速くなりつつも触れ方は一定している。その速さに追随して智奈の感度も増幅していった。漏れだしそうな感覚はイってしまう前触れだ。ぬちゃっ、ぬちゃっと粘着音も激しくなっていき、そのなか突如、智奈はその瞬間へと引きずられていった。
「あ、あ、あ、あ、イっちゃ……ぅ、ぁあああああ――――っ」
 びくんっと激しく揺れるはずの腰はキョウゴの手に抑制された。キョウゴはずるっずるっと動き続け、最大に敏感になった秘芽が摩撫されて、智奈は快楽以外の感覚がわからなくなった。膝もとが力尽きて、くずおれそうにがくがくとふるえ始める。イク感覚とはべつに本当に漏らしているのかもしれない。キョウゴの動きに合わせて、ぶしゅっ、ぶしゅっと迸る音が入り混じる。
 きょ……ご……。
 それは声にならなくて、ただ、キョウゴは応えるように呻いた。直後、キョウゴが智奈のお尻に思いきり腰をぶつけてくる。それを数回、やがて、キョウゴの深いため息が聞こえて、腰をつかんだ手が緩んだ。
 智奈は背中から引き寄せられた。あぐらを掻いたキョウゴの脚の上に智奈の躰がぐったりとおさまる。キョウゴはシャワーを取って湯を出すと智奈の躰に当てた。
「寒くない?」
 いま頃、おかしな問いかけだと、智奈は力なく笑う。回復の早いキョウゴと違って、智奈の躰は定期的にぷるっと痙攣して、快楽はおさまりきれていない。
「自分の躰がコントロールできないの、おかしくない?」
 智奈が訊ねると、キョウゴはふっと笑う。
「その気持ちはわかる」
 からかわれると思ったのに意外にも賛同した言葉が返ってきて、智奈は後ろを振り仰いだ。キョウゴはすかさず顔をおろして、素早く口づける。
「……わかる?」
「ああ。自分がさっきくらいの刺激でイケるとは思ってなかった。智奈とのベッドライフは、まるで童貞喪失したばかりの青二才に返った気になってる」
 キョウゴは自分で自分のことを笑い、続けた。
「智奈を目の前にすると、自分がセーブできない。かろうじて、同化する手前で守れてるけど、それもまもなく……というのはおれの切望だ」
 キョウゴは、けど、と中途半端に洩らしたまま独り笑う。
「何?」
「本当に同化したら、こういうふうに抱けなくなる。だから、気持ちだけ……同化した気分になれるくらいの智奈の気持ちをおれにくれ」
 ――いまは返事いらないけど、と、智奈の優柔不断な気持ちを知悉しているのか、キョウゴは独り言のように付け加えた。
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