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33.コントロール不能(1)
しおりを挟むキョウゴは智奈を抱いて浴室に連れていった。
床におろされて智奈が髪を纏めてメイクを落としている間に、キョウゴは湯はりを始めて、脱衣スペースに戻ってくる。すぐに背後で服を脱ぎだした。
洗面台の鏡にキョウゴの裸の上半身が映る。何度か一緒に入浴したことがあるし、だから裸体ももう何度も見てきている――いや、毎日のように見ているけれど、飴色の肉体美を目にしたときの感動は失せることがない。
「見惚れてないで、自分のことを早くやって」
鏡越しに横目で見やったキョウゴと目が合ったとたん、からかわれた。自惚れだとは反撃できないから、せめて指図はしないでと云うかわりに、智奈はかすかに顎を上げて示した。
メイクを洗い流していると、キョウゴの手が腰もとに触れて、スカートを脱がしにかかった。スカートだけならまだしも、ショーツまで一緒に脱がそうとしている。
「キョウゴ、ちょっ……待ってっ」
智奈は腰をよじったけれど、その抵抗も虚しくお尻が丸出しになる。必然的に、かがんだキョウゴの目の前にお尻を晒しているわけで、智奈は濡れた手でお尻を隠しながら上体を起こした。
キョウゴは笑って立ちあがる。
「隠してももう手遅れだろう。余すところなく見てる」
「それはそれ!」
悲鳴じみて云い、その間に智奈は躰をくるりとまわされてキョウゴと向き合わされた。胸もとに手が伸びてきたかと思うと、ブラウスのボタンが外される。
「智奈のお尻、かぶりつきたくなる」
「咬みつくとか喰いつくとか云ってたけど、今度はかぶりつくって、わたしは美味しくない」
「――と思ってるのは智奈だけで、おれは違う。云っただろう、同化したいって」
にやりとしたキョウゴは、途中までボタンを外したブラウスとインナーと、纏めて裾をつかんで捲りあげた。智奈は自ずと万歳をさせられる。
「……わたしよりスタイルのいい人を、キョウゴはいっぱい知ってるでしょ。このまえの女の人みたいに」
「はっ、ジェラシー感じてくれてるとしたら本望だ。ただし――」
キョウゴは智奈の背中に手をまわして、パチンとブラホックを外してブラジャーを取り去った。それから、丸裸の智奈を舐めるような様で眺めまわす。もう、こんなふうに見られてもあからさまに恥ずかしがるようなことはないけれど、そのかわりに、視線がレーザー光線みたいに熱くて、躰の奥からかっと火照ってくる。まだ三月の終わり、夜は肌寒いのに少しも寒くない。
「一般的客観的なスタイルの良さと、フェチはまったく違う」
「フェチって……」
キョウゴはせっかちに智奈の手を取って浴室に導いた。
「おれは、智奈フェチだから智奈のすべてに反応してしまう」
と、キョウゴは手早くシャワーでふたりの躰を軽く洗い流したあと、そう話を続けて智奈を驚かせる。
「やっぱりわからないんだけど……」
「じゃあ、わからせてやる」
シャワーを止めてホルダーに引っかけたあと、智奈はバスタブのほうを向いて座らされた。キョウゴはスポンジにボディソープをなじませたあと、ここだ、と智奈の手を取ってバスタブの縁をつかませる。直後、智奈は腰もとをつかまれて、反動でお尻が持ちあがった。
すかされそうになった智奈は、とっさにバスタブにしがみつく。スポンジが肩から腰へと滑った。そうしてキョウゴが背後から覆い被さった。
スポンジが胸もとに当てられ、それが胸先をかすめると、あっ、と智奈は身をよじった。すると、ソープに塗れた背中でキョウゴの上半身が滑り、おまけに智奈のお尻の間を硬いものがつついた。
あふっ。
「いい感じだ」
耳もとでキョウゴが囁き、その吐息が背中をぞわぞわと粟立てさせて、智奈は小さく身ぶるいをした。
スポンジは上半身をひとまわりしたあと放りだされると、次にはキョウゴの手が智奈の腹部で這いだす。ソープのせいでそのタッチはやわらかく、くすぐったさを通り越してひどく心地よい。
まるでマッサージのように腹部を滑っていた手は、脇腹に沿ってのぼってくる。それが腋に来た直後、すっとおりて丸く突きだしたふくらみを鷲づかみにした。
こんなふうに下を向いても仰向けになっても形がくずれない程度に弾力のある胸のやわらかさを、キョウゴは嫌らしいと云う。嫌らしいというのが、気に入っているという言葉と同義語だというのは智奈も学んでいる。
その感触を確かめるように、そして楽しむように、手のひらと指先がふくらみを捏ねて、胸の中に熱を灯らせる。胸先が疼いてきたのは、そこが刺激に応えて硬くしこり、それが手のひらと摩擦を起こしているせいだろう。その硬い粒がふいに指先で抓まれた。
あ、あぅっ。
そうされるだろうとわかっていても声が出てしまう。躰を揺すると、お尻の間でキョウゴのオスが擦れて、別の感覚をも呼ぶ。抓まれた胸先は親指と中指を擦り合わせるようにうごめかされて、痺れたような快感が生まれた。揉み潰されるような動きに、胸の粒は反発するようにますます硬度を増す。そのうえ突端が襲われた。人差し指で爪を立てるようにしながら摩撫される。
「あ、やぁ……っ、キョウゴ……っ」
ソープのせいで滑りがよすぎて、爪先の加減が絶妙だった。神経もまた研ぎ澄まされていって、上半身に痙攣のようなふるえが走り始める。お尻での微妙なタッチも、ぬめった感触がある。キョウゴのオスが昂っている証しだろうか。両側のふくらみとお尻と、同時に責められていて、そのぶん意識が散漫になって理性が飛ぶ。三本の指先が胸先の根もとに集中し、突端へと引っ張るようにしながら扱いた。
んあっ。
ぬるっと滑り、すぐにぷるんと指先から抜けだす。それが繰り返されて、快感が募っていく。それからまもなく、大きくぶるっと智奈の腰が揺れ、体内から蜜がこぼれた。
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