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第三章
貴族の興味
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ソフィアが記憶を取り戻してから、俺は真っ先に彼女を街へ連れ出した。街での散歩が好きだから、きっと元気になると思ったのだが……その判断は間違っていなかったらしい。
街のはずれで馬車を降り、城下の人々と同じような身なりで街を歩く。それだけで彼女は嬉しそうに足を弾ませた。もっとも、彼女の顔を知る者がいた場合に備えてフード付きのケープを身につけてもらっているから、俺も顔は良く見えない。
「アドレイ様、突然街を歩こうなどと仰って、今日は何かお買い物ですか?」
「いいや、特に用事はないよ。君が行きたいところに行こう」
「私が行きたいところ?」
そうは言っても、すぐには欲が出てこないのが彼女だろう。
「とりあえず昼ご飯でも食べようか。あの店が美味いとゲイルが言っていた」
ちなみに、ゲイルは留守番だ。ソフィアの記憶が戻ったと分かるや否や、鬱陶しいくらいに彼女に構い出したから置いてきた。
「食事はもちろんだが、フルーツサンドに定評があると聞いた。ソフィアは好きだろう?」
果物を手土産にジルの元へ遊びに行くと、ジルよりもソフィアが喜んでいた記憶がある。現に今も、その単語を聞いて俄然興味が湧いたという顔になった。こんなに愛らしい顔をこうもはっきり見たのは初めてだな。いつもはソフィアが可愛いことをすると、ジルに「見るな」と言わんばかりの目で牽制されていたから。
そうしてその店で頼んだフルーツサンドだが、テーブルに運ばれてからもソフィアはすぐに食べ始めることはなく、じっと皿を見つめていた。
「どうしたソフィア、苦手はものでも入っていたか?」
彼女に苦手な果物などないと思ったが。しかし、そんな俺の心配は杞憂に終わり、彼女は首を横に振った。
「いいえ、そうではないのです。ただ、このお皿のデザインが素敵だなと思ったものですから」
「皿が?」
たしかに、この店はどの料理にも凝った彩色の食器を使っているようだ。工芸への心得もない俺の感性ではよく分からないが、料理が映えるデザインというものなのだろう。
近くの給仕を捕まえて食器の販売元を問えば、案外すぐに店の名が出てきた。幸いにも、チャパル食器店というこの街の店らしい。
「ソフィア、食事が終わったらその食器屋に行かないか? 屋敷で使うものを揃えよう」
「もしかして、アドレイ様のお気に召したのですか?」
「ああ、気に入った」
君がこの皿を見てうっとりと目を細めるのなら、それだけで俺も気に入るというものだ。彼女が喜ぶものならば俺も欲しい。
「アドレイ様が工芸品に興味を示されるだなんて、変わったこともあるものですね」
ふふ、と楽しそうに笑う彼女の眩しさといったら、ずっとこれを独り占めしていたジルが少しばかり妬ましくなるほどだ。あいつに言わせれば「ソフィアはぜんぶ自分のものなのだから、他人になど見せるわけがない」といったところなのだろうが。
「あいつが心底羨ましいよ」
囁きほどの声で言ったつもりだが、それが彼女には聞こえたようで首を傾げられた。
「いや、なんでもない。それよりもこの中に入っているオレンジ、酸味が程よくて美味しいぞ」
俺の一言でようやくソフィアも目当てのものに口をつける。そこから食べ終えるまで、終始幸せそうな顔をしていたのは言うまでもない。
**********
例の食器店は街では有名らしく、道を尋ねればすぐに答えが返ってきた。
教えられた通りに道を行き、たどり着いたのは「チャパル」の名が異国風の字体で掲げられた店だった。素朴な外観の小さな店のようだが、俺達が店の前に着いた時にも別の客が外に出てきたあたり、それなりに繁盛しているようだ。
ドアを開けると重い鈴の音が鳴り、カウンターにいた店員が目を向けた。
「いらっしゃいませ」
にこやかで柔らかい物腰の若い男だが、店を一人で任されているということは食器にはだいぶ詳しいに違いない。
「リリーレストランという店で先ほど食事をしたのだが、そこで取り扱っている食器はここのものだと聞いた。彼女が気に入ったようだから見せてもらってもいいか?」
「そうでしたか、ありがとうございます! どうぞゆっくりご覧ください。ああ、リリーレストランに卸している物と同じシリーズはこちらです」
カウンターから出てきた男が手で示した壁には、店で見たものと同じような柄の皿が飾られていた。
「ソフィア、ゆっくり見るといい。他の柄でも気に入ったものがあったら教えてくれ」
俺にはどれがいいかなど全く分からないから、彼女に一任するに限る。
ソフィアは少しだけ遠慮を覗かせたものの、店員の男の説明を聞いているうちにだんだんと前のめりになっていった。
「———なので、あちらのシリーズはこのシリーズを踏襲したデザインということになりますね」
「自身のお父様が作られたものを自己流に落とし込むだなんて、職人さんの尊敬と愛情を感じて素敵です」
「そうでしょう。ほら、あの1番上の大皿などは構図から色合いまでそっくりにデザインされているのです」
男が指差した壁の1番上を見ようと見上げた拍子に、ソフィアのフードがするりと頭から落ちた。
笑顔でソフィアの方に目をやった男が目を見開き、みるみる蒼白になる。
「そん、な、なぜ……」
「え?」
まずい、ソフィアを知っていたの、
「フィリア様、生きていらしたのですか……!」
言うや否や、その目は光沢に満ちすぐに雫が溢れ出した。これほどに希望に満ちた目を、かつて見たことがあるだろうか。
「殿下は、殿下はご存知なのですか? ああ、なぜあの時私に教えてくださらなかったのか!」
「あの、大変申し訳ないのですが……私はフィリア様ではございません」
気まずさを目元に滲ませたソフィアの一言で男の嗚咽がスッと止み、一瞬にして瞳の輝きが失せる。そして、しばしの困惑の後に苦笑を浮かべて涙を拭いた。
「申し訳ございません、あまりに似ていらしたもので……恥ずかしいところをお見せしてしまいました」
「いいえ、フィリア様が大変愛されていた方だということは存じ上げておりますから。あなたもフィリア様にお仕えしていたのですか?」
「フィリア様をご存知なのですか? 私はフィリア様のお屋敷で料理人をしておりましたが……あなた方は一体?」
「私が殿下と知り合いで、彼女は私の友人だ。だから殿下と彼女も多少の交流があって、フィリア様の話も殿下がよくされているのを聞いている」
「そう、でしたか」
複雑な想いが色々とあるのだろう。男は気持ちを整理するように深呼吸をしてから、穏やかな笑顔を作った。
「ご挨拶が遅れました、私はソディ・ヤオランと申します。以前はフィリア様のお屋敷で料理人をしておりました。ここでフィリア様をご存知の方と出会えたのも何かの縁、せっかくですからお茶でも飲んで行かれませんか?」
本音か社交辞令か、それは分からないが、何となくその誘いには乗ってもいい気がした。彼がひどく孤独に見えたせいだろうか。
「迷惑でなければ、少しだけご馳走になろう。それでもいいか、ソフィア?」
「もちろんです。ありがとうございます、ヤオランさん」
ソフィアの柔らかい笑みに一瞬目を見開き、ささやかながらも浮かべた笑顔。それは心なしか嬉しそうに見えた。
街のはずれで馬車を降り、城下の人々と同じような身なりで街を歩く。それだけで彼女は嬉しそうに足を弾ませた。もっとも、彼女の顔を知る者がいた場合に備えてフード付きのケープを身につけてもらっているから、俺も顔は良く見えない。
「アドレイ様、突然街を歩こうなどと仰って、今日は何かお買い物ですか?」
「いいや、特に用事はないよ。君が行きたいところに行こう」
「私が行きたいところ?」
そうは言っても、すぐには欲が出てこないのが彼女だろう。
「とりあえず昼ご飯でも食べようか。あの店が美味いとゲイルが言っていた」
ちなみに、ゲイルは留守番だ。ソフィアの記憶が戻ったと分かるや否や、鬱陶しいくらいに彼女に構い出したから置いてきた。
「食事はもちろんだが、フルーツサンドに定評があると聞いた。ソフィアは好きだろう?」
果物を手土産にジルの元へ遊びに行くと、ジルよりもソフィアが喜んでいた記憶がある。現に今も、その単語を聞いて俄然興味が湧いたという顔になった。こんなに愛らしい顔をこうもはっきり見たのは初めてだな。いつもはソフィアが可愛いことをすると、ジルに「見るな」と言わんばかりの目で牽制されていたから。
そうしてその店で頼んだフルーツサンドだが、テーブルに運ばれてからもソフィアはすぐに食べ始めることはなく、じっと皿を見つめていた。
「どうしたソフィア、苦手はものでも入っていたか?」
彼女に苦手な果物などないと思ったが。しかし、そんな俺の心配は杞憂に終わり、彼女は首を横に振った。
「いいえ、そうではないのです。ただ、このお皿のデザインが素敵だなと思ったものですから」
「皿が?」
たしかに、この店はどの料理にも凝った彩色の食器を使っているようだ。工芸への心得もない俺の感性ではよく分からないが、料理が映えるデザインというものなのだろう。
近くの給仕を捕まえて食器の販売元を問えば、案外すぐに店の名が出てきた。幸いにも、チャパル食器店というこの街の店らしい。
「ソフィア、食事が終わったらその食器屋に行かないか? 屋敷で使うものを揃えよう」
「もしかして、アドレイ様のお気に召したのですか?」
「ああ、気に入った」
君がこの皿を見てうっとりと目を細めるのなら、それだけで俺も気に入るというものだ。彼女が喜ぶものならば俺も欲しい。
「アドレイ様が工芸品に興味を示されるだなんて、変わったこともあるものですね」
ふふ、と楽しそうに笑う彼女の眩しさといったら、ずっとこれを独り占めしていたジルが少しばかり妬ましくなるほどだ。あいつに言わせれば「ソフィアはぜんぶ自分のものなのだから、他人になど見せるわけがない」といったところなのだろうが。
「あいつが心底羨ましいよ」
囁きほどの声で言ったつもりだが、それが彼女には聞こえたようで首を傾げられた。
「いや、なんでもない。それよりもこの中に入っているオレンジ、酸味が程よくて美味しいぞ」
俺の一言でようやくソフィアも目当てのものに口をつける。そこから食べ終えるまで、終始幸せそうな顔をしていたのは言うまでもない。
**********
例の食器店は街では有名らしく、道を尋ねればすぐに答えが返ってきた。
教えられた通りに道を行き、たどり着いたのは「チャパル」の名が異国風の字体で掲げられた店だった。素朴な外観の小さな店のようだが、俺達が店の前に着いた時にも別の客が外に出てきたあたり、それなりに繁盛しているようだ。
ドアを開けると重い鈴の音が鳴り、カウンターにいた店員が目を向けた。
「いらっしゃいませ」
にこやかで柔らかい物腰の若い男だが、店を一人で任されているということは食器にはだいぶ詳しいに違いない。
「リリーレストランという店で先ほど食事をしたのだが、そこで取り扱っている食器はここのものだと聞いた。彼女が気に入ったようだから見せてもらってもいいか?」
「そうでしたか、ありがとうございます! どうぞゆっくりご覧ください。ああ、リリーレストランに卸している物と同じシリーズはこちらです」
カウンターから出てきた男が手で示した壁には、店で見たものと同じような柄の皿が飾られていた。
「ソフィア、ゆっくり見るといい。他の柄でも気に入ったものがあったら教えてくれ」
俺にはどれがいいかなど全く分からないから、彼女に一任するに限る。
ソフィアは少しだけ遠慮を覗かせたものの、店員の男の説明を聞いているうちにだんだんと前のめりになっていった。
「———なので、あちらのシリーズはこのシリーズを踏襲したデザインということになりますね」
「自身のお父様が作られたものを自己流に落とし込むだなんて、職人さんの尊敬と愛情を感じて素敵です」
「そうでしょう。ほら、あの1番上の大皿などは構図から色合いまでそっくりにデザインされているのです」
男が指差した壁の1番上を見ようと見上げた拍子に、ソフィアのフードがするりと頭から落ちた。
笑顔でソフィアの方に目をやった男が目を見開き、みるみる蒼白になる。
「そん、な、なぜ……」
「え?」
まずい、ソフィアを知っていたの、
「フィリア様、生きていらしたのですか……!」
言うや否や、その目は光沢に満ちすぐに雫が溢れ出した。これほどに希望に満ちた目を、かつて見たことがあるだろうか。
「殿下は、殿下はご存知なのですか? ああ、なぜあの時私に教えてくださらなかったのか!」
「あの、大変申し訳ないのですが……私はフィリア様ではございません」
気まずさを目元に滲ませたソフィアの一言で男の嗚咽がスッと止み、一瞬にして瞳の輝きが失せる。そして、しばしの困惑の後に苦笑を浮かべて涙を拭いた。
「申し訳ございません、あまりに似ていらしたもので……恥ずかしいところをお見せしてしまいました」
「いいえ、フィリア様が大変愛されていた方だということは存じ上げておりますから。あなたもフィリア様にお仕えしていたのですか?」
「フィリア様をご存知なのですか? 私はフィリア様のお屋敷で料理人をしておりましたが……あなた方は一体?」
「私が殿下と知り合いで、彼女は私の友人だ。だから殿下と彼女も多少の交流があって、フィリア様の話も殿下がよくされているのを聞いている」
「そう、でしたか」
複雑な想いが色々とあるのだろう。男は気持ちを整理するように深呼吸をしてから、穏やかな笑顔を作った。
「ご挨拶が遅れました、私はソディ・ヤオランと申します。以前はフィリア様のお屋敷で料理人をしておりました。ここでフィリア様をご存知の方と出会えたのも何かの縁、せっかくですからお茶でも飲んで行かれませんか?」
本音か社交辞令か、それは分からないが、何となくその誘いには乗ってもいい気がした。彼がひどく孤独に見えたせいだろうか。
「迷惑でなければ、少しだけご馳走になろう。それでもいいか、ソフィア?」
「もちろんです。ありがとうございます、ヤオランさん」
ソフィアの柔らかい笑みに一瞬目を見開き、ささやかながらも浮かべた笑顔。それは心なしか嬉しそうに見えた。
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