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君が早く諦めればいい
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監禁か、同居か。そんな二択を迫られた後のことは、あまりはっきり覚えていない。気がつけばベッドで朝を迎えていて、あの男は居なくなっていた。夢だったのではと思うけれど、それにしては恐怖の残滓が生々しい。
「……そうだ、篠原さんのところに」
交番に行くなら男がいなくなった今しかない。
気怠い身体を無理矢理に起こして着替え、軽く髪を梳かしてから財布とスマホだけをバッグに入れる。髪型やメイクなんて身なりに気を使う余裕はない。
篠原さんがいるかどうかだけを考えて飛び出した……部屋の外。真正面のの手すりに寄りかかり、手を振る男がいた。
「おはよう、緋鞠。いい朝だね」
「なっ……」
「大学に行くには少し早いと思うけど、もう出かけるの?」
私が何をしようとしていたかを見透かした目で笑われても、不気味なだけだ。
「か、帰ってください」
精一杯の強がりで睨んでみても、目の前の男にはまるで効かない。それどころか「強気な緋鞠もかわいいね」などと蕩けた目で宣う。
「昨日返事を聞く前に寝てしまったからね、気になって朝一で来たんだ。あ、今すぐここで暮らせるように荷物も運んできたよ」
そう言って胸を張る男の横には、海外旅行にでも行くのかというほど大きなスーツケース。もはや選ばせる気がない。
「でも、もう出かけるなら返事は後でいいよ。さあ、行こうか」
「……行こうか?」
当然のようについてこようとしている? まさか、ストーカーとは堂々宣言して延々と付き纏うのが普通なのだろうか。いやそもそもストーカー自体……もうだめだ、この男があまりに自然に振る舞うから、もう何が常識で何が異常なのかわからなくなってきた。
「もちろん一緒に行くよ。俺も久しぶりに篠原さんに会いたいからね」
行き先を見透かされ、しかも頼みの綱であった篠原さんと面識があると明かされ、益々目の前が暗くなる。正体を目の当たりにしなければ、あの穂村さんの弟が変質者だとは到底思えないだろう。私の話など勘違い程度にしか捉えられないに違いない。
「どうかした?」
「な、なんでついてくるんですか」
「君が心配だからだけど。それ以外に理由が必要?」
「警察呼びますよ」
「俺は別にいいよ。君を守れなくなることだけは気がかりだけど、そうなったらなんとか早く出所できるようにするね」
冗談なのか本気なのか分からない顔で不気味なほどに落ち着いている男。どんなに逃げようと、どんなに突き放そうと、結局は捕まってしまう……そんなことを思わせる異様な姿を前にして、ぷつんと緊張の糸が切れる音がした。
もう、どうでもいいや。
私を殺す? どうぞご自由に。私を生かすなら気が済むまで飼えばいい。どうせこの男からは逃げられない、なんて確信が持ててしまったが最後だ。
「大学に行く準備、してきます」
「うん、待ってるよ」
「……入らないのですか?」
「いいの?」
「だって荷物、重そうだから。そこの客間を使ってください」
「———ありがとう、お言葉に甘えるよ」
昨日は聞かなかった「お邪魔します」を耳にしながら自室に向かい、不気味に凪いだ心で淡々と通学の準備を進める。今日の講義に要らない本とノートの代わりにノートパソコンを入れると、昨日より少しだけ重くなってしまった。でも昨日寝てしまったせいで、来週提出のレポートが少しも進んでいない。空き時間を見つけてやらなくては。今の時間は……まだ講義まで余裕があるみたい。せっかくだから髪を整えて、いつも通りにメイクもしよう。
滞りなく用意を済ませ、部屋の扉を開ける。彼はシンプルな鶯色のシャツにジーンズ、そして黒いリュックという大学生のような姿で玄関に佇んでいた。かなり待たせただろうに嫌な顔ひとつせず、微笑すら浮かべている。
「うん、可愛いね」
「ありがとうございます」
「ほら、荷物貸して」
私の肩からするりとバッグを抜き取った彼にもう一度お礼を言って靴を履く。
さて、大学に行こう。
真夏とはいかないまでも汗ばむ陽気の中、慣れた道を慣れない人と歩く。この道を一緒に歩いてくれるのは、いつもは蓮さんと篠原さんだった。けれどこれからは、私の隣はこの人なのだろう。どうでもいいけれど。
「ええと……穂村さん」
「伊築(いづき)って呼んでくれると嬉しいな。で、どうかした?」
「……穂村さんはどこまでついて来られるのですか?」
名前で呼ぶのは嫌だ。それをする相手は、蓮さんだけでいい。
「どこまでって、大学までだよ」
「私の講義が終わるのは夕方なのですが、それまで何をされるつもりですか?」
「講義を受けているよ。同じキャンパスにはずっといるから安心して」
「同じキャンパスで、講義?」
「ああ、まだ言ってなかったね。俺が通っている大学、緋鞠と同じなんだ」
そこまでして私をつけ回したかったとは……一体いつから目をつけられていたのだろう。そもそも、大学生だったことも今知った気がする。
「言っておくけど、緋鞠と同じ大学なのは本当に偶然だよ。君の入学を知った時は、君から近づいてきてくれたって喜んだくらいだ」
「そうですか」
「信じていない顔だね。ふふ、そういう顔も好きだよ」
「ソウデスカ」
この人が全く分からない。もしかして、この先私が虫さされを摩って悲しみに暮れているだけでも「かわいい」などと言い始めるのではないだろうか。
全くもって不可解な彼から目を逸らして前を向けば、まもなく見慣れた交番だった。交番前に立ち、通りすがりのお爺さんと犬に挨拶をする篠原さんの笑顔は、今では貴重な「日常」だ。
「篠原さん、おはようございます」
私よりも早く彼が声をかけ、篠原さんの顔がこちらを向く。その目は彼を捉えた瞬間に見開かれ、口元はよりはっきりと弧を描いた。
「伊築君じゃないか! おはよう、久しぶりだね」
「お久しぶりです。何ヶ月もご挨拶すらせず申し訳ございませんでした」
「そんな堅苦しいこと。宮坂さんもおはようございます。二人とも面識があったんですね」
なんだ、と朗らかに笑う篠原さんに、この人の正体を教えたらどんな反応をするのだろう。まあこの人のことだから、篠原さんに何を言われても巧くはぐらかして終わらせるのだろうけれど。
「おはようございます。この方とはつい先日初めてお会いしたんです」
「そうでしたか。伊築君、宮坂さんに絡みすぎて迷惑をかけてはいけないよ?」
「嫌だな、さすがの僕も自重しますよ」
「……どういうことですか?」
絡みすぎて、ということは、まさかストーカーの前科があるのだろうか。
「伊築君は人懐っこいところがあるでしょう? それが相手によっては度を越してしまって、過度に絡んでしまうことがあるそうなのです。お兄さんの話によると、ですが」
「ああ、なるほど」
篠原さん、今まさにその状況です。度を越して犯罪の域です。……ということをここで暴露すれば、すぐに逮捕してくれますか。
「宮坂さんには節度を持って接するようにしてますから。ね、宮坂さん」
「ええ、本当に」
節度なんて持たれた記憶もないけれど、わざわざ指摘する気力も今の私にはない。とりあえず、早く大学に行きたい。
「それでは、大学の授業がありますので失礼します。行きましょう、穂村さん」
篠原さんに一礼して彼の袖を引く。それだけで彼は目を丸くして、かと思えば眩しいくらいの笑みを浮かべた。
「そうだね。また寄りますね、篠原さん」
進む道に目を向けた瞬間に、篠原さんに向けていた必死の笑みが崩れて更地に戻る。それでも彼は嬉しそうにこちらを見つめている。その表情がほんの一瞬、蓮さんのものと重なって見えたことがとても悔しくて、少し嬉しかった。
「……そうだ、篠原さんのところに」
交番に行くなら男がいなくなった今しかない。
気怠い身体を無理矢理に起こして着替え、軽く髪を梳かしてから財布とスマホだけをバッグに入れる。髪型やメイクなんて身なりに気を使う余裕はない。
篠原さんがいるかどうかだけを考えて飛び出した……部屋の外。真正面のの手すりに寄りかかり、手を振る男がいた。
「おはよう、緋鞠。いい朝だね」
「なっ……」
「大学に行くには少し早いと思うけど、もう出かけるの?」
私が何をしようとしていたかを見透かした目で笑われても、不気味なだけだ。
「か、帰ってください」
精一杯の強がりで睨んでみても、目の前の男にはまるで効かない。それどころか「強気な緋鞠もかわいいね」などと蕩けた目で宣う。
「昨日返事を聞く前に寝てしまったからね、気になって朝一で来たんだ。あ、今すぐここで暮らせるように荷物も運んできたよ」
そう言って胸を張る男の横には、海外旅行にでも行くのかというほど大きなスーツケース。もはや選ばせる気がない。
「でも、もう出かけるなら返事は後でいいよ。さあ、行こうか」
「……行こうか?」
当然のようについてこようとしている? まさか、ストーカーとは堂々宣言して延々と付き纏うのが普通なのだろうか。いやそもそもストーカー自体……もうだめだ、この男があまりに自然に振る舞うから、もう何が常識で何が異常なのかわからなくなってきた。
「もちろん一緒に行くよ。俺も久しぶりに篠原さんに会いたいからね」
行き先を見透かされ、しかも頼みの綱であった篠原さんと面識があると明かされ、益々目の前が暗くなる。正体を目の当たりにしなければ、あの穂村さんの弟が変質者だとは到底思えないだろう。私の話など勘違い程度にしか捉えられないに違いない。
「どうかした?」
「な、なんでついてくるんですか」
「君が心配だからだけど。それ以外に理由が必要?」
「警察呼びますよ」
「俺は別にいいよ。君を守れなくなることだけは気がかりだけど、そうなったらなんとか早く出所できるようにするね」
冗談なのか本気なのか分からない顔で不気味なほどに落ち着いている男。どんなに逃げようと、どんなに突き放そうと、結局は捕まってしまう……そんなことを思わせる異様な姿を前にして、ぷつんと緊張の糸が切れる音がした。
もう、どうでもいいや。
私を殺す? どうぞご自由に。私を生かすなら気が済むまで飼えばいい。どうせこの男からは逃げられない、なんて確信が持ててしまったが最後だ。
「大学に行く準備、してきます」
「うん、待ってるよ」
「……入らないのですか?」
「いいの?」
「だって荷物、重そうだから。そこの客間を使ってください」
「———ありがとう、お言葉に甘えるよ」
昨日は聞かなかった「お邪魔します」を耳にしながら自室に向かい、不気味に凪いだ心で淡々と通学の準備を進める。今日の講義に要らない本とノートの代わりにノートパソコンを入れると、昨日より少しだけ重くなってしまった。でも昨日寝てしまったせいで、来週提出のレポートが少しも進んでいない。空き時間を見つけてやらなくては。今の時間は……まだ講義まで余裕があるみたい。せっかくだから髪を整えて、いつも通りにメイクもしよう。
滞りなく用意を済ませ、部屋の扉を開ける。彼はシンプルな鶯色のシャツにジーンズ、そして黒いリュックという大学生のような姿で玄関に佇んでいた。かなり待たせただろうに嫌な顔ひとつせず、微笑すら浮かべている。
「うん、可愛いね」
「ありがとうございます」
「ほら、荷物貸して」
私の肩からするりとバッグを抜き取った彼にもう一度お礼を言って靴を履く。
さて、大学に行こう。
真夏とはいかないまでも汗ばむ陽気の中、慣れた道を慣れない人と歩く。この道を一緒に歩いてくれるのは、いつもは蓮さんと篠原さんだった。けれどこれからは、私の隣はこの人なのだろう。どうでもいいけれど。
「ええと……穂村さん」
「伊築(いづき)って呼んでくれると嬉しいな。で、どうかした?」
「……穂村さんはどこまでついて来られるのですか?」
名前で呼ぶのは嫌だ。それをする相手は、蓮さんだけでいい。
「どこまでって、大学までだよ」
「私の講義が終わるのは夕方なのですが、それまで何をされるつもりですか?」
「講義を受けているよ。同じキャンパスにはずっといるから安心して」
「同じキャンパスで、講義?」
「ああ、まだ言ってなかったね。俺が通っている大学、緋鞠と同じなんだ」
そこまでして私をつけ回したかったとは……一体いつから目をつけられていたのだろう。そもそも、大学生だったことも今知った気がする。
「言っておくけど、緋鞠と同じ大学なのは本当に偶然だよ。君の入学を知った時は、君から近づいてきてくれたって喜んだくらいだ」
「そうですか」
「信じていない顔だね。ふふ、そういう顔も好きだよ」
「ソウデスカ」
この人が全く分からない。もしかして、この先私が虫さされを摩って悲しみに暮れているだけでも「かわいい」などと言い始めるのではないだろうか。
全くもって不可解な彼から目を逸らして前を向けば、まもなく見慣れた交番だった。交番前に立ち、通りすがりのお爺さんと犬に挨拶をする篠原さんの笑顔は、今では貴重な「日常」だ。
「篠原さん、おはようございます」
私よりも早く彼が声をかけ、篠原さんの顔がこちらを向く。その目は彼を捉えた瞬間に見開かれ、口元はよりはっきりと弧を描いた。
「伊築君じゃないか! おはよう、久しぶりだね」
「お久しぶりです。何ヶ月もご挨拶すらせず申し訳ございませんでした」
「そんな堅苦しいこと。宮坂さんもおはようございます。二人とも面識があったんですね」
なんだ、と朗らかに笑う篠原さんに、この人の正体を教えたらどんな反応をするのだろう。まあこの人のことだから、篠原さんに何を言われても巧くはぐらかして終わらせるのだろうけれど。
「おはようございます。この方とはつい先日初めてお会いしたんです」
「そうでしたか。伊築君、宮坂さんに絡みすぎて迷惑をかけてはいけないよ?」
「嫌だな、さすがの僕も自重しますよ」
「……どういうことですか?」
絡みすぎて、ということは、まさかストーカーの前科があるのだろうか。
「伊築君は人懐っこいところがあるでしょう? それが相手によっては度を越してしまって、過度に絡んでしまうことがあるそうなのです。お兄さんの話によると、ですが」
「ああ、なるほど」
篠原さん、今まさにその状況です。度を越して犯罪の域です。……ということをここで暴露すれば、すぐに逮捕してくれますか。
「宮坂さんには節度を持って接するようにしてますから。ね、宮坂さん」
「ええ、本当に」
節度なんて持たれた記憶もないけれど、わざわざ指摘する気力も今の私にはない。とりあえず、早く大学に行きたい。
「それでは、大学の授業がありますので失礼します。行きましょう、穂村さん」
篠原さんに一礼して彼の袖を引く。それだけで彼は目を丸くして、かと思えば眩しいくらいの笑みを浮かべた。
「そうだね。また寄りますね、篠原さん」
進む道に目を向けた瞬間に、篠原さんに向けていた必死の笑みが崩れて更地に戻る。それでも彼は嬉しそうにこちらを見つめている。その表情がほんの一瞬、蓮さんのものと重なって見えたことがとても悔しくて、少し嬉しかった。
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