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34.積み重ね※
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「……む、」
やがて我に帰り、ルーチェは激しく頭を振った。
「むり、無理だっ、絶対無理だ!」
「無理ではない。一度着たではないか」
「な、何で知ってんだよっ!」
ルーチェ自身、ここにきて一番初めに袖を通した覚えはあったが。
ソティラスは魔王に似合う不敵な笑みを浮かべる。
「私に不可能はないのでな。さあ、来てみてくれ」
それでもなお頑なに頭を振るルーチェを、ソティラスは真剣な表情で見つめた。
「……頼む」
「ぐっ……」
(ずるい……っ、今そんな顔をされたら断われないだろ)
「……わかったよ」
仕方なく、ルーチェは着慣れない衣装に苦戦しながらも袖を通した。
ソティラスは着終わったルーチェの姿を見て、満足げに頷く。
「似合っているぞ」
「……おい」
「やはり私の見立ては間違ってはいなかった」
「おい」
「大きさもちょうどよいな。お前の魅力を引き出すには、」
「おい!」
本気で怒鳴った。
「何でドレス白くなってんだよっ!」
ルーチェが身に纏った白いドレスは、婚礼用のものだった。
シンプルだが細かい装飾が随所に施され、生地はしっかりして肌触りもよく高級なものだとわかる。
(着るべく人が着れば絶対綺麗なのに、なんで俺なんだよ……)
ルーチェは大柄という訳ではないが、決して華奢でもない。旅や農作業で日焼けはしているし、小さいものから大きなものまで傷跡も多くある。程よく筋肉もついているので、ドレス姿であろうと遠目からでも女には見えない。自分でも似合っているように思えないし、誰に聞いてもお世辞でさえ頷くものはいないだろう。ただ一人を除いて。
「綺麗だ、ルーチェ。私だけの花嫁だな」
ソティラスは満足げに上から下まで眺めている。笑い飛ばしてくれたほうがいいのに、熱い視線がいたたまれない。全裸とは別の羞恥があった。
「――っ、も、もう満足しただろ。ちょっと待ってくれ今脱ぐから」
まくし立てて慌てて脱ぎにかかる。しかし着るのもやっとだった上に、慌てていたのもある。腰から背を結ぶ紐が絡まり、中途半端に背中が開いた状態で脱げなくなった。
「ん? あれ、どうなってんだ……? 待ってくれ、ひとりじゃ、脱ぎにくくて」
早いところ脱いでしまいたいのに焦れば焦るほど紐は絡まる。ルーチェは紐が絡まった背中をソティラスに向ける。
「なあ、ちょっと紐とってくれよ」
純白のドレスを纏うぐらいなら全裸になりたい。明らかに全裸のほうがましだ。先ほどまで服を着せろと言っていたのに、もう何が恥ずかしいのか区別がつかなくなっていた。
「そのままでよい」
「よくな――んっ」
背中にキスをされ、ルーチェの背筋が震えた。後ろから抱きかかえられ、再びソティラスに押し倒される。花びらのような白いドレスがベッドの上に振り落ちた。戸惑っているうちに、ソティラスはルーチェに覆い被さり、ドレスをたくし上げた。
「じっくり脱がすのもよいが、私も耐えられない」
「ちょっ、な、やめろって――」
先の言葉は熱いキスで封じられた。
僅かに唇が離れ、吐息がかかる。
「……愛している、いとしいルーチェ」
目の前で微笑まれ、一気に体温が上がった。気持ちが膨れ上がり、感情が溢れてくる。
(たったこれだけの言葉なのに……嘘だろ。俺、こんなに、こいつのこと好きなんだ……)
ソティラスは少しずつ、ドレスの裾をたくし上げるが。
「ふむ、やはりドレスだとやりにくい」
ぱちん、とソティラスが指を鳴らした途端、ルーチェが身に纏っていたドレスは消えた。代わりに純白の男性用の礼服へと替わっている。
「一瞬で着替えさせられるんじゃん! 苦労してドレス着たの、なんだったんだよ。最初からこうしろよ!」
「恥ずかしがりながらも袖を通してくれるのを見るのが楽しいんだろう」
「変態魔王……」
「やはりこちらの服のほうが似合っている。見映えがするな。まあ、これから脱がすのだが」
白い上着に手をかけるソティラスを、
「ま、待ってくれっ」
と、慌ててルーチェは制止した。
「まだ心構えができないか?」
「ち、違くて……」
真っ赤になりながら、か細い声で言った。
「……俺が、やっても、いいか……?」
意を決した申し出であったが、ソティラスからは何の反応もない。もしや聞こえなかったのかとちらりと視線を上げると、困惑の表情を浮かべていた。
「ルーチェ、その気持ちだけで十分だ。無理せずともよいのだぞ」
ルーチェは頭を振った。
「……確かに、無理してるよ。いっぱいいっぱいなんだ。会ったのも久しぶりだし……そもそも、こんな気持ちになったのだって、俺、初めてだから、わけわかんなくて」
「ルーチェ……」
「でも、やってもらってばっかで申し訳ない、とかじゃなくて、その……、やったことねえし、できねえかもしれないけど、……やりたいって思ったんだよ」
すがるように、逃げ出さないように、礼服の裾を握り締める。羞恥で消えてしまいたいし、自分から進んで触りたいと申し出るなんて、以前では考えられなくて怖くもある。それでも芽生えたこの気持ちを大切にしたかった。
「練習だと思ってさ。……い、嫌か?」
「そんなわけは、」
未だ戸惑うソティラスをぐっと押し倒し、ルーチェはソティラスの中心に触れた。すでに熱く反応している。自分に興奮してくれていると思うと、恥ずかしさより喜びが勝った。
前をくつろげると、自分とは比べ物にならないほど大きい屹立が目の前に現れた。これが自分の中に入っていたのかと考えると思わず慄き、同時に羞恥に襲われた。
(これが俺の中に入って……あんなに、気持ちよくなるなんて……)
ルーチェはごくりと喉を鳴らす。臆している場合ではない。
(俺だって、今まで十二分に愛されていた分を返したい。それ以上に与えてあげたい)
ルーチェはおそるおそる、ソティラスの中心へと触れた。手のひらから熱い脈動が伝わってくる。上下に動かすと、熱塊は次第に手の中で大きくなっていった。ルーチェの鼓動も高鳴っていく。
もっと気持ちよくなって欲しい、と、ルーチェは、前にソティラスがやってくれたことを思い出しながら手を動かした。くぼみやくびれまで丹念に愛撫していく。自分にされたことを思い出しているうちに、そのときの快楽も一緒に蘇ってきた。
「ああ、ルーチェ……いいぞ」
「ん……」
ソティラスも気持ちよさそうな表情を浮かべているのと相まって、ルーチェ自身が触れられているわけでもないのに、再び下腹部が昂ぶっていく。
ソティラスはときより、艶めいた吐息を漏らした。
「ああ……随分と手慣れているではないか。ルーチェは、こうされるのが好きなのか?」
「っ……違う、あんたが前にやってくれたこと、思い出しながらやってるだけだ」
そっちこそ自分が気持ちいいところ触ってたんだろ、と呷ろうとしたが、ソティラスはにやにやと笑っていた。
「ほう、覚えていたのか? 忘れられないほど、気持ちよかったのだな」
かっと、ルーチェは赤くなった。
「ち、違うって、そんなっ」
「先ほどから腰を揺らしているのは無意識か?」
ばっと、ルーチェは下腹部を手で隠した。下穿きを押し上げるように大きくなっている。
「お前の愛撫を堪能するのもよかったが、私ばかり奉仕されるのも耐えられない。ルーチェ、やはり私にも触れさせてはくれないか」
「私にも、って……」
「ほら、こっちへ来い」
ソティラスに促されるまま、ルーチェはソティラスの膝の上に跨がった。ルーチェの中心を外気に晒すと、自分の屹立を沿わせ、手で包み込んだ。
「……っ、あっ」
「こら、離れるな。私にしがみついておけ」
ソティラスが手を動かす。ルーチェは刺激に耐えきれず、ソティラスにしがみついた。二人分の水音が室内に響く。ぴったりと合わされた中心から脈動と熱が直接伝わってきて、快楽が何倍にも膨れ上がった。すぐに限界寸前まで高められた。
「あ、あっ……も、もう……」
「ああ、ともにいこう」
ソティラスの手の動きがより一層激しさを増した。ルーチェはソティラスの肩にぐっと爪を立て、背中を仰け反らせた。同時にソティラスも小さく呻き、達した。
ルーチェは脱力した身体をソティラスに預け、肩口に頭を押しつけた。
「……結局、俺、やってないじゃん」
「また今度だな。練習ならいつでも付き合ってやろう」
頭を撫でられ、こめかみにキスされる。拗ねた顔を見せると、ソティラスはルーチェの突き出した下唇をかじり、抱きしめた。腰へと回された手は下穿きの中に入れられ、双丘を優しく揉み解していく。ルーチェは新たな快楽の予感に身震いし、思わず鼻にかかる濡れた声を漏らした。
「もっと深くまで愛していいか?」
ルーチェが小さく頷くと、ソティラスはキスをしながら、儀式のようにゆっくりと、ルーチェの礼服を脱がせていった。一糸まとわぬ姿を見下ろすソティラスの熱視線で身が焦げそうだ。ルーチェは手で顔を隠した。
「隠すな。お前のすべてを私だけに見せてくれ」
「そんな、んっ……」
ソティラスがルーチェの手首を掴んでこじ開け、唇を塞ぐ。
「さあ、膝をついて、腰を向けてくれ。この体勢のほうが辛くはなかろう」
言われるがまま、ルーチェはベッドの上で四つん這いになった。腰を撫でたソティラスに尾てい骨を舐められ、背筋に甘美な電流が走った。
「あっ、あ、あ……ん」
舌が後孔から内壁へと伝っていく。弱いところも全て知られている。重点的に攻められ、嬌声が上がった。
「ぁ……うぅ、く、っふ……っ」
誰かに聞かれでもしたらまずいと、ルーチェはシーツに顔を押しつけた。無意識に腰だけを突き上げる姿は非常に扇情的であり、ソティラスは喉を鳴らした。
突然止まった愛撫にルーチェは振り返る。ソティラスは視線を逸らしながら言う。
「……そういえばまだ、名を呼んでもらっていない」
「え、そう、だったか?」
それがわざわざ行為を止める理由なのか首を傾げる。
「いや、呼んでたよな……――っ」
ルーチェは身体をひっくり返され、仰向けになった。ソティラスがじっと見下ろす。
「足りぬ。私は幾度となく愛しい名を呼んでいるというのに。そうだろう、……ルーチェ」
覆い被さり、耳元で熱く囁くソティラス。名前を呼ばれるだけでも歓喜に全身が震えた。
確かに照れくささもあって、ずっと『あんた』や『お前』呼ばわりだった。不公平かも知れないし、名前を呼ばれるだけで嬉しい気持ちは理解できる。
「……ソ、ソティラス」
「ああ」
「……そ、ソティラス・バグローヴィ・レサルドラコス・セストロワ……って、これでいいか?」
満足げな表情を浮かべていたソティラスが目を見開いた。
「覚えていてくれたのか」
「えっ?……――っ」
と、やっとルーチェは気付く。わざわざフルネームを呼ぶ必要はなかったのだ。
「違っ! 本にたくさん書いてあって、レイルが何度も読むからっ」
「私のことを知ろうとしてくれたのだな」
「勝手に解釈するな! 単に耳に残ってただけだって」
「愛しているからこそ耳に残っていたのだろう?」
期待のまなざしで覗き込むソティラスに、
「そうだよ!」
と、ルーチェは開き直った。
「あんたの……ソティラスのことが、その……す、好きだから……」
「ああ、ルーチェ。私も愛している」
「ん、ぁ……っ」
軽くキスされただけで思わず声が漏れた。慌てて口元を抑える。全身が性感帯のように敏感になっている。指先で腰をなぞられただけでも、快感にぞくぞくと体が震えた。
「ふふ、すまなかったな、中断してしまって。待ちきれなかったろう?」
そう言いつつも、焦らすように体中に赤い跡を残しながら、全身を撫でられた。ルーチェは思わずソティラスの腕を掴み、潤んだ瞳で見上げる。
「ぁ……や、もう、いい……っ、もういいから、」
ぐ、と喉を鳴らし、ソティラスの瞳が熱情に光った。ソティラスはルーチェの足の間に身体を入れ、思い切り足を開かせる。あられもない体勢に戸惑う暇もなく、秘部に張り詰めた灼熱をあてがわれ、一気に挿入された。
「っ――、あああっ!」
貫かれる苦痛と繋がる快楽に頭の中が真っ白になり、ルーチェの中心はいきなり弾けた。ほとばしった白濁が汗を滲ませる腹や胸に飛び散る。
「あ、ああ……ひあ、やっ、……んう、ふ……」
身体が戦慄き、弾む呼吸に胸が上下する。目の前で、一人で達するところを見られたのだ。恥ずかしさに涙が滲む。その涙を吸い取るように、ソティラスはルーチェの目の端に口づけし、そのまま全身にキスの嵐を降らせた。唇や熱い吐息が肌をなぞるたび、敏感になった体が震える。
「可愛いな、ルーチェ……こんなにも感じてしまって」
「ん……ご、ごめっ……おれ、なんか変になってる……」
ルーチェは上擦った声で謝る。ソティラスに快楽を与えられるたび、もう自分の身体ではなくなっていくようだ。
「謝ることはない。お前も気持ちよくなってくれて嬉しいのだ。……それより、謝らなければならないのは私のほうだ」
「……え?」
「すまない。もう、余裕がない」
軽口も冗談も飛び出さないことが、本心であるなによりの証明だった。ルーチェが達したばかりだというのに、ソティラスはすぐに腰を揺らし始めた。
「あ……ああっ!」
激しく突き上げられ、視界に火花が散った。敏感なしこりを攻める激しい律動に、理性は簡単に吹き飛んだ。穿たれるたびに、ルーチェは掠れた嬌声を上げた。
唇を貪りあう獣のような結合に、快楽はすでに振り切れていた。滾った肌がぶつかり合う淫らな音と、とめどなく溢れる喘ぎ声が室内に反響する。
「ひっ、や、あん、あっ、ソ……ソティラスっ、もう、」
「ああ……私も、愛している、ルーチェ……」
抜け落ちる寸前まで引き抜かれ、最奥まで貫かれた。息が止まるような快楽が背筋を駆け抜ける。
再び絶頂が訪れた。四肢の指先まで引きつらせ、背を仰け反らせる。ソティラスが呻き、最奥で灼熱の飛沫がはじけるのを感じた。胸を締め付ける愛しさがこみ上げる。
甘く気だるい酩酊に、ルーチェは熱く濡れた吐息を漏らす。艶めいた表情を浮かべるソティラスと視線が絡むと、互いに口元をほころばせた。こんなにも愛おしい相手が目の前にいるという単純なことに、かつてない幸福感を覚える。
ゆるく開いた口をついばむ。身体の奥底に点った炎はまだ消えそうにない。
ルーチェはソティラスに手を伸ばし、自分には無い巻角に触れた。恐れていたそれさえも愛おしく感じる。
上書きではない、積み重ねなのだ。強引な出会いも、夜な夜な忍び込んできたことも、乱暴にされたことも、優しくされたことも、全て覚えている。今までの積み重ねがなければ、今この幸せな瞬間は訪れなかった。
過去がなくなるわけではない。だからこれから新しく作っていくのだ。
ふたりは何度でも互いを求め、抱き合った。
いつもより高い体温と速い鼓動を感じながら、汗にまみれた逞しい身体に腕を回す。体温も鼓動もこのまま溶けてひとつになり、気持ちも全て伝わってしまえばいい。
これから先、何百年の人生の全てを捧げてくれなどと贅沢なことは言わない。
この先の五十年を、たくさんの積み重ねで満たしてくれ。
やがて我に帰り、ルーチェは激しく頭を振った。
「むり、無理だっ、絶対無理だ!」
「無理ではない。一度着たではないか」
「な、何で知ってんだよっ!」
ルーチェ自身、ここにきて一番初めに袖を通した覚えはあったが。
ソティラスは魔王に似合う不敵な笑みを浮かべる。
「私に不可能はないのでな。さあ、来てみてくれ」
それでもなお頑なに頭を振るルーチェを、ソティラスは真剣な表情で見つめた。
「……頼む」
「ぐっ……」
(ずるい……っ、今そんな顔をされたら断われないだろ)
「……わかったよ」
仕方なく、ルーチェは着慣れない衣装に苦戦しながらも袖を通した。
ソティラスは着終わったルーチェの姿を見て、満足げに頷く。
「似合っているぞ」
「……おい」
「やはり私の見立ては間違ってはいなかった」
「おい」
「大きさもちょうどよいな。お前の魅力を引き出すには、」
「おい!」
本気で怒鳴った。
「何でドレス白くなってんだよっ!」
ルーチェが身に纏った白いドレスは、婚礼用のものだった。
シンプルだが細かい装飾が随所に施され、生地はしっかりして肌触りもよく高級なものだとわかる。
(着るべく人が着れば絶対綺麗なのに、なんで俺なんだよ……)
ルーチェは大柄という訳ではないが、決して華奢でもない。旅や農作業で日焼けはしているし、小さいものから大きなものまで傷跡も多くある。程よく筋肉もついているので、ドレス姿であろうと遠目からでも女には見えない。自分でも似合っているように思えないし、誰に聞いてもお世辞でさえ頷くものはいないだろう。ただ一人を除いて。
「綺麗だ、ルーチェ。私だけの花嫁だな」
ソティラスは満足げに上から下まで眺めている。笑い飛ばしてくれたほうがいいのに、熱い視線がいたたまれない。全裸とは別の羞恥があった。
「――っ、も、もう満足しただろ。ちょっと待ってくれ今脱ぐから」
まくし立てて慌てて脱ぎにかかる。しかし着るのもやっとだった上に、慌てていたのもある。腰から背を結ぶ紐が絡まり、中途半端に背中が開いた状態で脱げなくなった。
「ん? あれ、どうなってんだ……? 待ってくれ、ひとりじゃ、脱ぎにくくて」
早いところ脱いでしまいたいのに焦れば焦るほど紐は絡まる。ルーチェは紐が絡まった背中をソティラスに向ける。
「なあ、ちょっと紐とってくれよ」
純白のドレスを纏うぐらいなら全裸になりたい。明らかに全裸のほうがましだ。先ほどまで服を着せろと言っていたのに、もう何が恥ずかしいのか区別がつかなくなっていた。
「そのままでよい」
「よくな――んっ」
背中にキスをされ、ルーチェの背筋が震えた。後ろから抱きかかえられ、再びソティラスに押し倒される。花びらのような白いドレスがベッドの上に振り落ちた。戸惑っているうちに、ソティラスはルーチェに覆い被さり、ドレスをたくし上げた。
「じっくり脱がすのもよいが、私も耐えられない」
「ちょっ、な、やめろって――」
先の言葉は熱いキスで封じられた。
僅かに唇が離れ、吐息がかかる。
「……愛している、いとしいルーチェ」
目の前で微笑まれ、一気に体温が上がった。気持ちが膨れ上がり、感情が溢れてくる。
(たったこれだけの言葉なのに……嘘だろ。俺、こんなに、こいつのこと好きなんだ……)
ソティラスは少しずつ、ドレスの裾をたくし上げるが。
「ふむ、やはりドレスだとやりにくい」
ぱちん、とソティラスが指を鳴らした途端、ルーチェが身に纏っていたドレスは消えた。代わりに純白の男性用の礼服へと替わっている。
「一瞬で着替えさせられるんじゃん! 苦労してドレス着たの、なんだったんだよ。最初からこうしろよ!」
「恥ずかしがりながらも袖を通してくれるのを見るのが楽しいんだろう」
「変態魔王……」
「やはりこちらの服のほうが似合っている。見映えがするな。まあ、これから脱がすのだが」
白い上着に手をかけるソティラスを、
「ま、待ってくれっ」
と、慌ててルーチェは制止した。
「まだ心構えができないか?」
「ち、違くて……」
真っ赤になりながら、か細い声で言った。
「……俺が、やっても、いいか……?」
意を決した申し出であったが、ソティラスからは何の反応もない。もしや聞こえなかったのかとちらりと視線を上げると、困惑の表情を浮かべていた。
「ルーチェ、その気持ちだけで十分だ。無理せずともよいのだぞ」
ルーチェは頭を振った。
「……確かに、無理してるよ。いっぱいいっぱいなんだ。会ったのも久しぶりだし……そもそも、こんな気持ちになったのだって、俺、初めてだから、わけわかんなくて」
「ルーチェ……」
「でも、やってもらってばっかで申し訳ない、とかじゃなくて、その……、やったことねえし、できねえかもしれないけど、……やりたいって思ったんだよ」
すがるように、逃げ出さないように、礼服の裾を握り締める。羞恥で消えてしまいたいし、自分から進んで触りたいと申し出るなんて、以前では考えられなくて怖くもある。それでも芽生えたこの気持ちを大切にしたかった。
「練習だと思ってさ。……い、嫌か?」
「そんなわけは、」
未だ戸惑うソティラスをぐっと押し倒し、ルーチェはソティラスの中心に触れた。すでに熱く反応している。自分に興奮してくれていると思うと、恥ずかしさより喜びが勝った。
前をくつろげると、自分とは比べ物にならないほど大きい屹立が目の前に現れた。これが自分の中に入っていたのかと考えると思わず慄き、同時に羞恥に襲われた。
(これが俺の中に入って……あんなに、気持ちよくなるなんて……)
ルーチェはごくりと喉を鳴らす。臆している場合ではない。
(俺だって、今まで十二分に愛されていた分を返したい。それ以上に与えてあげたい)
ルーチェはおそるおそる、ソティラスの中心へと触れた。手のひらから熱い脈動が伝わってくる。上下に動かすと、熱塊は次第に手の中で大きくなっていった。ルーチェの鼓動も高鳴っていく。
もっと気持ちよくなって欲しい、と、ルーチェは、前にソティラスがやってくれたことを思い出しながら手を動かした。くぼみやくびれまで丹念に愛撫していく。自分にされたことを思い出しているうちに、そのときの快楽も一緒に蘇ってきた。
「ああ、ルーチェ……いいぞ」
「ん……」
ソティラスも気持ちよさそうな表情を浮かべているのと相まって、ルーチェ自身が触れられているわけでもないのに、再び下腹部が昂ぶっていく。
ソティラスはときより、艶めいた吐息を漏らした。
「ああ……随分と手慣れているではないか。ルーチェは、こうされるのが好きなのか?」
「っ……違う、あんたが前にやってくれたこと、思い出しながらやってるだけだ」
そっちこそ自分が気持ちいいところ触ってたんだろ、と呷ろうとしたが、ソティラスはにやにやと笑っていた。
「ほう、覚えていたのか? 忘れられないほど、気持ちよかったのだな」
かっと、ルーチェは赤くなった。
「ち、違うって、そんなっ」
「先ほどから腰を揺らしているのは無意識か?」
ばっと、ルーチェは下腹部を手で隠した。下穿きを押し上げるように大きくなっている。
「お前の愛撫を堪能するのもよかったが、私ばかり奉仕されるのも耐えられない。ルーチェ、やはり私にも触れさせてはくれないか」
「私にも、って……」
「ほら、こっちへ来い」
ソティラスに促されるまま、ルーチェはソティラスの膝の上に跨がった。ルーチェの中心を外気に晒すと、自分の屹立を沿わせ、手で包み込んだ。
「……っ、あっ」
「こら、離れるな。私にしがみついておけ」
ソティラスが手を動かす。ルーチェは刺激に耐えきれず、ソティラスにしがみついた。二人分の水音が室内に響く。ぴったりと合わされた中心から脈動と熱が直接伝わってきて、快楽が何倍にも膨れ上がった。すぐに限界寸前まで高められた。
「あ、あっ……も、もう……」
「ああ、ともにいこう」
ソティラスの手の動きがより一層激しさを増した。ルーチェはソティラスの肩にぐっと爪を立て、背中を仰け反らせた。同時にソティラスも小さく呻き、達した。
ルーチェは脱力した身体をソティラスに預け、肩口に頭を押しつけた。
「……結局、俺、やってないじゃん」
「また今度だな。練習ならいつでも付き合ってやろう」
頭を撫でられ、こめかみにキスされる。拗ねた顔を見せると、ソティラスはルーチェの突き出した下唇をかじり、抱きしめた。腰へと回された手は下穿きの中に入れられ、双丘を優しく揉み解していく。ルーチェは新たな快楽の予感に身震いし、思わず鼻にかかる濡れた声を漏らした。
「もっと深くまで愛していいか?」
ルーチェが小さく頷くと、ソティラスはキスをしながら、儀式のようにゆっくりと、ルーチェの礼服を脱がせていった。一糸まとわぬ姿を見下ろすソティラスの熱視線で身が焦げそうだ。ルーチェは手で顔を隠した。
「隠すな。お前のすべてを私だけに見せてくれ」
「そんな、んっ……」
ソティラスがルーチェの手首を掴んでこじ開け、唇を塞ぐ。
「さあ、膝をついて、腰を向けてくれ。この体勢のほうが辛くはなかろう」
言われるがまま、ルーチェはベッドの上で四つん這いになった。腰を撫でたソティラスに尾てい骨を舐められ、背筋に甘美な電流が走った。
「あっ、あ、あ……ん」
舌が後孔から内壁へと伝っていく。弱いところも全て知られている。重点的に攻められ、嬌声が上がった。
「ぁ……うぅ、く、っふ……っ」
誰かに聞かれでもしたらまずいと、ルーチェはシーツに顔を押しつけた。無意識に腰だけを突き上げる姿は非常に扇情的であり、ソティラスは喉を鳴らした。
突然止まった愛撫にルーチェは振り返る。ソティラスは視線を逸らしながら言う。
「……そういえばまだ、名を呼んでもらっていない」
「え、そう、だったか?」
それがわざわざ行為を止める理由なのか首を傾げる。
「いや、呼んでたよな……――っ」
ルーチェは身体をひっくり返され、仰向けになった。ソティラスがじっと見下ろす。
「足りぬ。私は幾度となく愛しい名を呼んでいるというのに。そうだろう、……ルーチェ」
覆い被さり、耳元で熱く囁くソティラス。名前を呼ばれるだけでも歓喜に全身が震えた。
確かに照れくささもあって、ずっと『あんた』や『お前』呼ばわりだった。不公平かも知れないし、名前を呼ばれるだけで嬉しい気持ちは理解できる。
「……ソ、ソティラス」
「ああ」
「……そ、ソティラス・バグローヴィ・レサルドラコス・セストロワ……って、これでいいか?」
満足げな表情を浮かべていたソティラスが目を見開いた。
「覚えていてくれたのか」
「えっ?……――っ」
と、やっとルーチェは気付く。わざわざフルネームを呼ぶ必要はなかったのだ。
「違っ! 本にたくさん書いてあって、レイルが何度も読むからっ」
「私のことを知ろうとしてくれたのだな」
「勝手に解釈するな! 単に耳に残ってただけだって」
「愛しているからこそ耳に残っていたのだろう?」
期待のまなざしで覗き込むソティラスに、
「そうだよ!」
と、ルーチェは開き直った。
「あんたの……ソティラスのことが、その……す、好きだから……」
「ああ、ルーチェ。私も愛している」
「ん、ぁ……っ」
軽くキスされただけで思わず声が漏れた。慌てて口元を抑える。全身が性感帯のように敏感になっている。指先で腰をなぞられただけでも、快感にぞくぞくと体が震えた。
「ふふ、すまなかったな、中断してしまって。待ちきれなかったろう?」
そう言いつつも、焦らすように体中に赤い跡を残しながら、全身を撫でられた。ルーチェは思わずソティラスの腕を掴み、潤んだ瞳で見上げる。
「ぁ……や、もう、いい……っ、もういいから、」
ぐ、と喉を鳴らし、ソティラスの瞳が熱情に光った。ソティラスはルーチェの足の間に身体を入れ、思い切り足を開かせる。あられもない体勢に戸惑う暇もなく、秘部に張り詰めた灼熱をあてがわれ、一気に挿入された。
「っ――、あああっ!」
貫かれる苦痛と繋がる快楽に頭の中が真っ白になり、ルーチェの中心はいきなり弾けた。ほとばしった白濁が汗を滲ませる腹や胸に飛び散る。
「あ、ああ……ひあ、やっ、……んう、ふ……」
身体が戦慄き、弾む呼吸に胸が上下する。目の前で、一人で達するところを見られたのだ。恥ずかしさに涙が滲む。その涙を吸い取るように、ソティラスはルーチェの目の端に口づけし、そのまま全身にキスの嵐を降らせた。唇や熱い吐息が肌をなぞるたび、敏感になった体が震える。
「可愛いな、ルーチェ……こんなにも感じてしまって」
「ん……ご、ごめっ……おれ、なんか変になってる……」
ルーチェは上擦った声で謝る。ソティラスに快楽を与えられるたび、もう自分の身体ではなくなっていくようだ。
「謝ることはない。お前も気持ちよくなってくれて嬉しいのだ。……それより、謝らなければならないのは私のほうだ」
「……え?」
「すまない。もう、余裕がない」
軽口も冗談も飛び出さないことが、本心であるなによりの証明だった。ルーチェが達したばかりだというのに、ソティラスはすぐに腰を揺らし始めた。
「あ……ああっ!」
激しく突き上げられ、視界に火花が散った。敏感なしこりを攻める激しい律動に、理性は簡単に吹き飛んだ。穿たれるたびに、ルーチェは掠れた嬌声を上げた。
唇を貪りあう獣のような結合に、快楽はすでに振り切れていた。滾った肌がぶつかり合う淫らな音と、とめどなく溢れる喘ぎ声が室内に反響する。
「ひっ、や、あん、あっ、ソ……ソティラスっ、もう、」
「ああ……私も、愛している、ルーチェ……」
抜け落ちる寸前まで引き抜かれ、最奥まで貫かれた。息が止まるような快楽が背筋を駆け抜ける。
再び絶頂が訪れた。四肢の指先まで引きつらせ、背を仰け反らせる。ソティラスが呻き、最奥で灼熱の飛沫がはじけるのを感じた。胸を締め付ける愛しさがこみ上げる。
甘く気だるい酩酊に、ルーチェは熱く濡れた吐息を漏らす。艶めいた表情を浮かべるソティラスと視線が絡むと、互いに口元をほころばせた。こんなにも愛おしい相手が目の前にいるという単純なことに、かつてない幸福感を覚える。
ゆるく開いた口をついばむ。身体の奥底に点った炎はまだ消えそうにない。
ルーチェはソティラスに手を伸ばし、自分には無い巻角に触れた。恐れていたそれさえも愛おしく感じる。
上書きではない、積み重ねなのだ。強引な出会いも、夜な夜な忍び込んできたことも、乱暴にされたことも、優しくされたことも、全て覚えている。今までの積み重ねがなければ、今この幸せな瞬間は訪れなかった。
過去がなくなるわけではない。だからこれから新しく作っていくのだ。
ふたりは何度でも互いを求め、抱き合った。
いつもより高い体温と速い鼓動を感じながら、汗にまみれた逞しい身体に腕を回す。体温も鼓動もこのまま溶けてひとつになり、気持ちも全て伝わってしまえばいい。
これから先、何百年の人生の全てを捧げてくれなどと贅沢なことは言わない。
この先の五十年を、たくさんの積み重ねで満たしてくれ。
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