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第四話
しおりを挟むープシュー…
電車の扉が開く。会社へと導くように。
スタスタと電車の中へと皆は入る。缶詰めかのように、次々と奥へ、奥へと入り、満タンになった電車は次の駅へと進む。
(はぁー。週末とかも行っちゃおうかな。田舎に。)
森下は、田舎にどっぷりはまったようだ。田舎から帰ってきた後も、田舎暮らしのドキュメンタリーTV何てみたりして、すっかり田舎生活にも憧れた。しかし、森下は大都会のマンション暮らし。老後には田舎に別荘なんかを買って週末に遊びにいくなんて生活も悪くないだろう。
しかし、インドアで趣味のない森下も今回の旅行で「自分がハマる趣味」を見つけられたのだ。小学生の頃、お母さんに子供会のキャンプにいかされたり、伯父さんに釣りに連れてってもらったりと、引っ込み思案だった私に何か趣味が見つからないかとお母さんは森下に色んな体験をさせた。しかし、森下の心をときめかせる趣味は見つからなかったのだ。
勉強も苦手ではないが好きではない。運動はあまり得意ではなく、学校のマラソンでも下の方だった。
ープシュー…
森下のオフィスがある地域の駅に着いた。そこには、デパートやビルが建ち並び、文明の発展が物凄い所である。そのため、森下と同様、この駅に降りる人は多い。
ハイヒールの、「コツコツ」と競歩かのように速く歩く音。久し振りに聞く音だ。
改札を出ると、ビルが森下を見下すように建ち並ぶ。
いつも通る信号
いつも見るビル
いつも使うコンビニ
もう、ここは田舎じゃない。
ーーーーーーー
オフィスであるビルに入り、オフィスへ向かった。
「おはようございます。」
森下がそう第一声を発すと、オフィスにいる皆は、こっちを見た。その顔は、何かを睨むような顔だ。
(え?…なにか悪いことをした?)
周りの目を気にしながらも、自分の席に向かった。
「ねぇ、ちょっと。」
「え?」
森下に声を掛けたのは、森下に休みを提案してくれた部長であった。
「何でしょうか。」
「何してるの?」
(え……)
「何で連休を取って遊びに行った?こんな忙しいのに。」
「え?でも、部長が…」
「俺のせい?俺は休めって言ったんだよ。遊べ何て言ったか?」
「……」
「それに6日間も休みやがって。俺の言った休めはあの時のまま仕事をすると支障が出るから休息をとれってこと。1日ずっと寝て次の日に行くみたいなそういうことなの!」
「はい……」
「今うちの社がピンチなの知ってるの?」
「…はい…」
森下はうつ向き、黙ったまま自分の席に向かった。
そして、パソコンを開いた。
「ヴっ…」
(逃げたい!嫌だ!逃げたい!)
すると、森下はパソコンを叩き、トイレに駆け込んだ。
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