公爵に媚薬をもられた執事な私

天災

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公爵に媚薬をもられた私

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 「なぁ、エリザベス、お茶をしないか?」

 ご主人のアルアット令息に、そう言われた。お茶?何故急に?不思議に思ったが、ご主人の命令には基本逆らわないのが執事の心得であり、義務である。

 「は、はい。私なんかでよければ。」

 「嬉しいよ。じゃあ、すまないが、レモンティーを持ってきてくれるかい?茶菓子は良いからさ。」

 「あ、レモンティーだけでいいのですね。」

 「うん。エリザベスは、好きなものを飲むといいよ。」

 そして、早急にレモンティーを二杯用意し、アルアット令息の元へと持ってきた。


 「ん?茶菓子が無いじゃないか…」

 「え?しかし令息様、先程、と言いなさいましたよね?」

 「そんなこと一言も言ってないぞ。茶菓子がないなら話になら無いな。持ってきてよ。」

 「そ、そうですか。かしこまりました。」

 あれ?確かにと言ったよな。とは思いつつも、反抗しない。それが執事の心得であり、義務であるから。

 「お待たせしました。茶菓子を持ってきました。」

 「うん。ご苦労さん。まぁ、座って飲みなよ。」

 アルアット令息は、私の目の前のレモンティーに指を指した。

 「あ、では、頂きます。」

 そして、一口レモンティーを飲んだ。

 あ、あれ?飲んだ瞬間、少し味に異変を感じた。やけに酸っぱい。レモンを入れすぎたか?

 「どうしたの?」

 「あ、いえ…」

 アルアット公爵の方を向くと、アルアット公爵の顔が歪んで見えた。
ど、どうなってるんだ?
 身体が倒れた。イスから落ちた。だが、その格好をアルアット公爵は嬉しそうに見ている。

 「気付いた?レモンティーに入ってるもの。」

 「もしかして、茶菓子を取りに行かせたのって…」

 「そう。その隙にね。これでやっと僕のモノになる。」

 視界がごわごわとするなか、彼にキスをされ、そのままベッドに倒された。

 「そ、そんな…」

 「忘れられない茶会にしたあげる。」
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