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公爵様から婚約解消を言い渡されましたが、それは公爵様、あなたがざまぁになるだけなのでは…

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 公爵様は、お金持ちだ。確かに、それは当たり前だ。何故なら、公爵だから。

 だが、私の彼氏となった公爵様は、確かにお金持ちだが、容姿は全く…むしろ、貧乏人より醜いものであった。

 しかし、私の家系は貧乏で、その家系を逆転させるためにも、公爵様との婚約をすることにした。お金持ちは、大好きだ。

 私は、特に容姿を気にしないため、お金持ちなら別に良いのだが、周りはそんな私を変な目で見た。いったい、いくらつまれたの?いくらつまれて婚約したの?と、よく言われた。

 そして、なかなか、というか、一度も告白を受けていなかった公爵様ということもあり、すんなり私を受け入れ、婚約もした。

 確かに、お金目当てのようで、あまりよい恋愛とは言えないと思うが、私いわく、お金も立派な人の性格であると思う。それに、決して公爵様は、悪い人ではない。

 そう、思っていたのだが…

 ◼️◼️◼️◼️◼️◼️

 婚約して少し経ったあと、なんと公爵様のスキャンダルが公にされた。彼は、結婚を前にして、風俗や遊郭に遊びに行っていたのだ。私は、すぐに彼を呼び出し、事情を説明させた。

 と、思いきや、こんなことを言い出した。

 「婚約を解消しよう。もう、ウンザリだよ。」

 「婚約解消」という言葉や、「ウンザリ」という言葉。いったい、何様なんだと思ったが、続きがあった。

 「たかが風俗や遊郭あれぐらいの遊びで浮気だなんてさ…君、器がちっちゃすぎるよ。というか、公爵を相手に何だって言うんだ。」

 私は、思った。というか、見抜いた。彼は、浮かれて調子に乗っているのだ。公爵は、恵まれた環境で、可愛がられて生きてきたものだから、自分がどれ程醜いか、分かっていないのだろう。

 可哀想に。

 「公爵様。お言葉ですが、何か勘違いしていませんか?私から言わせていただきますと、公爵様、もし、私との婚約を解消すれば、もう二度と結婚するチャンスが来なくなるんですよ?それとも、風俗や遊郭あんなところで偽装の愛を受け続けるのですか?」

 公爵様は、ショックを受けたような顔をした。

 恵まれた環境で育まれるのも、決して良いことばかりではないのだろう。
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