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No.2

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 3人のもめ合いの横で座って静かに読書していた私は、驚きが隠せずに声が少し出てしまった。
 ラニャンサ、ミマの二人も、非常に驚いた顔をしている。



 「申し訳ない。本当に二人には悪い。だが、もう終わりにしよう。このまま半端な思いで付き合ってたら、お互いよくない。もう、二人ともお互いの関係を終わりにしよう…」



 なんというクソ野郎だ。アデノワール。まさか、そこまでヤバい奴とは思わなかった。というか、私は今、どうすべきなのか。本に夢中になって聞こえてないフリをすれば良いのか…
 だが、もう手遅れなのは分かっている。ラニャンサ、ミマの二人の視線は既にこちらに向いていた。そして、アデノワールもこちらを向いている。そう。3人に直視されている。
 本に夢中になっている作戦は果たしてうまくいっているのか。何も話しかけられていない。だが、ただただ二人が動揺しているだけかもしれない。



 「レイアさん………どういうことなの………」



 正気を取り戻したのか、ラニャンサが私に近付いてそう聞いた。



 「私は何も知りません。むしろ、アデノワール様とも話したことが無いです。別に私はアデノワール様が好きではないですし、あなた達に喧嘩を売る気も買う気もございません。」



 そして、この流れで本を取って何処かへ行こうとした。すると、ガシッと腕を掴まれてしまった。
 ラニャンサかミマだろう。そりゃ、私を野ざらしになんか出来ない。もう、私は格好のターゲットとなってしまうのだろう。あのアデノワールクソ野郎のせいで…

 と、思いきや、後ろに振り向くと、腕を掴んできた人の正体は、ラニャンサでもミマでもなく、まさかのクソ野郎、アデノワールであった。



 「許してくれ。レイア。こんな大雑把おおざっぱで適当な告白で申し訳ない。申し訳ないが、受け入れてほしい。すぐにとは言わないが、答えを用意してほしい。もう、とは別れるから。」



 よくもそんなこと言えるよなアデノワールコイツ。だが、本当に束縛系女子のラニャンサとミマはこの唐突な別れを受け入れるのか?本当に黙って別れてくれるような女子なのか?(まぁ、二人が別れるからって付き合うとかじゃないが、こんなクソ野郎。)
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