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貴方がいなくても……
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「お前みたいな気持ちの悪いやつ、もう要らないんだよな。」
夫のカネックスは、私をそう言って嫌った。そりゃ私もですよ。貴方になんかもう興味も好意もありません。
しかし、これは悪魔で政略結婚だから、頑張って耐えていただけなのに、そのあげくにこんなことを言われるだなんて…政略結婚も、楽なものではないようです。
「だけど、お前が好きだからというから、こうして夫婦になってやってるのに。ろくに家事も出来ないし、抱いてもイマイチ気持ち良くない。亭主を気持ちよくさせるテクぐらい、学んだらどうなんだ?」
冗談交えでそんなことを言ってくる。だが、微塵も笑えるものではなかった。
ここは、親に悪いけど、もう我慢の限界だ。離婚するしかなさそうだ。
そのことを、夫のカネックスに言った。すると、カネックスはおかしそうに笑い始めた。
「笑わせるなよ!お前みたいな奴がどうやって?ずっと独身のまま生きていくってか?笑わせてくれるぜ。」
カネックスは、私の頭をポンッと叩いた。
「お前は俺みたいな優しい人としか付き合えないんだよ。他の男ってのはもっと酷くてね。唾吐かれたりするぞ。」
そう言って、また高笑いして部屋に行ってしまった。だが、私は荷造りをし、今日中に家を出ていった。
そして、出ていったことをしったカネックスは、私の寝泊まりしている宿までつけてきた。なかなか怒っているような表情だ。
「おい。お前。今すぐ帰れ。亭主に迷惑をかけんな。」
「ですが、もう一人で生きていくことにしました。」
「バカを言うな。俺がいなきゃ生けていけないくせに。」
「ご安心ください。一人で生き抜いていきます。」
「おい!」
少しの間、静寂が続いた。
「なぁ。帰ってこいよ。帰ってきたら、また可愛がってやるからよ。」
私は、ため息をついた。
「貴方に可愛がられたくありません。」
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