上 下
1 / 1

「君しかいない」

しおりを挟む


 「君しかいない」


 そんな告白のされ方をして、私はまんまと落とされてしまった。このクズ野郎、エドワーズ・マリリードに。


 聞けばこの男、同じような手を使い、私とは別に4~5人程の女がいるらしい。彼の浮気性には困ったものだ。いや、困るなんてものではない。ただただ不快で腹が立つ。


 浮気が発覚したのは、婚約して3日後のこと。不倫の被害請求をしに来た女性に会ったことだ。


 話を聞くと、その人は私のように、かつてエドワーズに騙されてしまった人らしく、彼が過去にも何度も浮気していることを教えてもらった。


 私は、半信半疑のようだったが、こっそり彼の生活を監視してみると、見知らぬ女と何度も面会していることが分かった。話しているときなど、私と話しているときとは全く差があり、楽しそうだ。


 ただただ不快で腹が立つ。気持ちが悪い。


 そして、最後に別れ際に、彼がこう言っていた。


 「僕には、君しかいない。」


 お得意のフレーズだ。また、そのクズのフレーズで誰かが不幸になってしまう。そう思うと、さらに腹が立って、私は見過ごしてはいられなかった。


 エドワーズと別れた浮気相手の女性の元に行き、彼の真相について話し、目を覚まさせた。


 そして、彼女と共に、エドワーズと会った。


 「な、何をしているんだ!お前ら!何で二人が一緒にいるんだ!」


 「全て見てました。怪しいと思っていたんですよね。」


 「人のプライバシーを覗くなんてなんて最低な女だ!」


 「最低?どの口がおっしゃっているのかしら。君しかいないなんてその汚い口から出して、何人の女性を騙したのよ。」


 「そ、それは……」


 エドワーズは、口が出なくなった。我々の勝利だ。そして、女性と共に、損害賠償を求め、金だけ搾取し、「二度と顔を見せないで」と言って、家を出た。


 エドワーズは、とうとう女性がいなくなった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました

鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と 王女殿下の騎士  の話 短いので、サクッと読んでもらえると思います。 読みやすいように、3話に分けました。 毎日1回、予約投稿します。

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

処理中です...