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帰ってきてほしい
しおりを挟むたまたま兵の誘導により生き残った王族。もちろん、そこには私を婚約破棄した王太子もいる。
王太子は、すぐに気がついた。
この不運な大規模な火災の原因は、私にあると。私を追い出してしまったことで、国を包む炎の呪いから守ってくれる人がいなくなり、今日のように国が燃えてしまったのだ。
王太子は、馬を走らせ、私が行ったであろう隣国へと向かった。私を説得し、再びこの国を呪いから守らせるようにするために。
私は、王太子の向かっている隣国で新たな生活を始めていた。ここはのどかだ。それに、呪いもないから聖女の仕事をしなくても良い。
一生、ここで暮らそう。そして、良い人を見つけて、付き合って、結婚しよう。あの王太子とは違う、良い人を探そうと、出会いを求めることにした。
そんな中、邪魔が入ってしまった。
マントをして、王族であることがバレないように変装した王太子が、私を見つけてしまった。
「リオン……一生のお願いだ。国に戻ってきてくれ。お前の聖女の能力が無いせいで、国は莫大な炎に包まれて大炎上した。今、何とか復興しようとしているが、お前の能力が無いと、再び国は炎に包まれてしまう。頼む。」
最後に、王太子は土下座をした。だが、私は同情する気はない。
「王太子…貴方は、私の心を酷く傷つけました。よって、貴方の言うことを聞く気はございません。貴方のために貢献しようとする気はございません。諦めてください。」
王太子は、顔を青ざめた。
「そ、そんなことを言わないでくれ!」
「私には、私の生活があります。残念ですけど、これは、貴方のせいです。」
「く、国には炎に怯える子供たちがいっぱいいるんだ。これは、俺のためではなくて、国のためなんだ!」
「うーん。でも、いくら国のためとはいえ、貴方の元に戻るのは嫌なのです。さようなら。」
「ま、待て!」
私は、彼から走って逃げて人混みへ消えた。
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