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第29話 罰を受ける者~その1~ パトリシア視点(2)
しおりを挟む「ぎやああああああああああああ!! コブ!? コブができた!?」
「どうしてぇっ!! どうしてぇぇぇぇっ!?」
「わたくしはっ、呪いなんてかけていないのにぃぃっ!! なぜコブがぁぁぁぁ!?」
「それは、貴女方も同罪だから。呪いの余波によって、そうなってしまっているのですよ」
オーティル様達のお顔に異変が生じ、再び会場が騒がしくなった直後のことでした。テオドール様はコブが生まれた人全員を、ゆっくりと見渡しました。
「先日呪いを絶った際に、飛び散った『闇』――呪いの反動は、皆様の体内にも入っていたのですよ。……貴女達は、メラニーが作った状況を嬉々として使った――呪いに乗っかってしまった。その結果、一部が跳ね返ってきているのですよ」
「そんなっ! ほっ、他の方々はっっ、そうだったかもしれませんがっっ!! わたくしはちが――」
「何を言っているんですの!? わたしにそんな意図はありません!! そうしていたのは貴方でしょうっ!」
「私以外は、そうだったと思います!! でも私は違うっ!! 強引になっても外に出ていただこうと思っただけです!!」
「『私以外は』!? そう考えていたのはわたしだけですわっ!! わたしだけがっ、善意で動いていたのですわ!!」
皆様は目を剥いて声を荒げ、ドレスを掴み合って睨み合います。
私はこの身で経験しているので、分かります。ここにいる全員が、悪意しかなかったのに。この方達は自分だけ助かろうとして、懸命に言い訳をしています。
「……流石は同類、醜さもメラニーと同レベルだ。ですが、どんなに争っても無意味ですよ。メラニーとおなじく、回避する方法などないのですから」
「「「「「っ!!」」」」」
「貴女がたも同様に、コブとの共同生活が始まります。どうぞ、お楽しみください」
テオドール様は敢えて慇懃無礼に口元を緩め、それが終わると――。脱力し座り込んでしまった9人から視線を外し、他の参加者を眺め回したのでした。
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