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第8話 気がついたら 俯瞰視点(2)

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「旦那様! 奥様! お嬢様!」
「……う……」「……う……」「……う……」
「旦那様っ! 奥様っ! お嬢様っ!」
「う………うう………っ! ここは――なんだこれは!?」「う………うう………っ! ここは――なんなの!?」「う………うう………っ! ここは――なんですの!?」

 身体を揺すられて目を覚ました、セザールとクリステルとブランディーヌ。3人は意識が覚醒するや上体を起こそうとして、仲良く悲鳴をあげました。
 なぜなら3人は手術台のようなものの上で仰向けになっていて、手首足首を台に固定されていたのですから。

「どうなっている!? 誰がこんなことをしたのだ!? それにっ! ここはどこなのだぁっ!?」

 無機質な白い壁、同色の天井と床。そこにいくつもの器材やデスクが置かれている、不思議で奇妙な部屋。バタバタと暴れている間に周囲の景色に気が付き、3人の目は大きく見開かれました。

「こんな部屋知らんぞ!! ここは屋敷ではないな!? 貴様らっ! 答えろ!! ここはどこなのだ!!」
「教えなさい!!」
「答えなさい!! どこなんですの!!」
「ここは、研究施設の一室。お嬢様が長年使用されてきた建物の、地下にある部屋となっております」

 傍で3人を起こしていた、使用人のひとり・デボラ。使用人の中で一番の古株である彼女は、淡々と返事をしました。

「覚えていらっしゃいますでしょうか? 食堂で気が付きあちこち探し回ったあと、旦那様達は眠ってしまわれたのですよ。その隙にわたくし共が運び、今があるのでございます」
「なっ!? アンジェリクが使用していた施設に運んだ!? なっ、なぜそんなことをしたのだっ!?」
「……………………」
「おい! デボラ!! 答えろ!!」
「デボラ!! 答えなさい!!」
「答えなさい!!」
「……………………ちょうど、いらっしゃったようですね。わたくしの出番はここまで。あとはお任せ致します」
「!? 誰だ……!? 誰が来たんだ――な!?」
「!?」「!?」

 デボラが深々と一礼した方向に首を巡らせていた3人は、これまで以上に――眼球が零れ落ちてしまいそうなほどに、目を見開きました。
 なぜ、そうなったのかというと――

「ありがとう。ここからわたしが説明をするわ」

 ――自分達があの日屋敷から追い出したアンジェリクが、エディトやその他の使用人と共に現れたからです。

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