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第6話 セザールとクリステルに起きていたこと 俯瞰視点

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「まったく……! あれはとんでもないヤツだ!」
「ええ、そうね……! どうしようもないわ!」

 ブランディーヌが去ったあと。カップを口に押し付けられソーサーを投げつけられた2人は、両目を吊り上げていました。

「アンジェリクと同レベルだよ同レベル。いや! 金の生る木を残しただけ、アンジェリクの方がまだマシだ!」
「遥かに、ましだわ! 仮に・・本当にこのまま居なくなったとしても、ちっとも悲しくないわ!」

『お父様ぁお母様ぁ!! 死神が出たの!! あれは勘違いじゃなかったの! 死神が追いかけてきてたのっ!! たすけてええええええええええええええええええええええ!!』

 セザールは小さな頃から、幽霊やその手の類をまったく信じない。クリステルは幽霊やその手の未知の類に半信半疑でしたが、先日の見間違いの件でまた見間違えたと思っていた。
 どちらも本当に死神がいると思っていなかったため、あのような反応をしていたのです。とはいえ――

「そうだな。むしろ、そうしてもらえた方が有難いかもしれんな」
「また自分だけ体調不良にでもなった時に、邪魔をしてくるかもしれないものね。邪魔者は要らないわ」

 ――2人の中ではブランディーヌもすっかり『要らない子』となっていて、死んだとしても微塵も涙を出さない自信がありました。

「……ちぃっ、馬鹿者のせいでやけどをしてしまった。あと一回生意気な行動を取るようならば、アンジェリクと同じ目に遭わせるべきだな」
「私もそう思っていたわ。可愛くない子どもは要らないもの。そうしましょ」
「どうして、あんなのを可愛いと思っていたのだろうな! 過去の自分を問いただしくなる――っ!? うわあああ!!」
「あなた!? どうしたの!? そこに、なにが――ひあああああ!?」

 いつの間にか、正面に巨大なゴキブリがいた。
 いつの間にか、正面に血の付いたナイフを持ったピエロがいた。
 2人の目はそれぞれ信じられないものを捉え、

「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」
「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」

 それらはものすごい勢いで自分達へと迫ってきたため、セザールをクリステルは悲鳴をあげて逃げ出します。

「食堂っ! 食堂だぁあああああああああ!!」
「しょくどおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 十字架。くしくも2人はブランディーヌと同じことを考え、食堂を目指し――

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!」
「なっ!? なんなんですの!?」

 先に逃げたブランディーヌより先に、食堂に飛び込んでいたのでした。


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