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第4・5話 確信していた元婚約者 俯瞰視点

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「父さん、母さん。もうすぐウチに、ルシィがやって来る。玄関での対応をお願いします」

 ルシィがベイズナ邸をあとにした頃。ルシィの目的地であるファムル邸では、リビングスペースにファムル一家3人が集まっていました。

「うむ、任せておきなさい。……しかし、エリオットよ。ルシィ君は、本当にここへと来てくれるのか……?」
「あの家にあるもの――アリー・ベイズナがつけているペンダントに秘められた、貴方のメッセージ。あれに、気付いてくれるのかしら……?」
「絶対に、気付いてくれる。だってルシィと俺は、将来を誓い合った幼馴染なんだ。他の人間では気付かない事でも、ルシィなら気付いてくれるよ」

 エリオットは夜会の際に一目で違和感を覚える程にルシィを知っていて、普段のルシィも同じくらい、エリオットを知っています。そのため、コントロールされている状態であっても察してくれる――。彼はそう、確信していました。

「俺は念のため、自分の部屋2階で待ってる。ルシィが到着したら敬語で平謝りをして、客人みたく丁寧に招き入れて欲しい。よろしく頼みます」

 ハーナン家の御者もレオンの手に落ちている危険性があり、どこから情報が漏れてしまうか分かりません。薬の貴重性を鑑みるとまずないと思ってはいますが、念に念を入れる。人目につく場所では見られてもいいように振る舞っておく、エリオットはそういった計画を用意してたのです。

「我々にとって、娘となる子はルシィ君以外あり得ないからな。失敗などせんよ」
「貴方達、そして自分達の為にも、完璧なお芝居をしてみせるわ。エリオット、そこは任せて頂戴」
「父さん母さん、ありがとう。それじゃあ俺は、上がってるね」

 エリオットは両親に深々と頭を下げ、自室に入ると2つのイスをセッティング。それが終わると彼はデスクに歩み寄り、そこで保管していたネックレスを久しぶりにつけました。

「……やっぱり。再会には、これが不可欠だよな」

 これは初めてのデートの際に購入した、ペアネックレスの片割れ。2人にとって、とてもとても大切なものでした。

「…………ようやく全てを打ち明けて、救える。あと少しだな、ルシィ」

 ネックレスを両手で大事に包み込んで、そうしていたら門の前が騒がしくなる――ルシィが、到着しました。
 そして両親が巧みな演技で邸内へと招き入れ、ついに。数か月ぶりに、ルシィとエリオットは再会を果たしたのでした。

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