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とある不思議な噂
しおりを挟む「ねえ知ってる? 因果応報の話」
「ううん、知らない。なにそれ」
「悪いことをすれば、必ず悪い事が返ってくる。因果応報ってのは、ちゃんとあるんだって」
「え~、そうなの~? でもさ、悪いコトをしてても幸せにしてる人っているよ? 因果応報ってないんじゃないの?」
「わたしも、そう思ってたんだけどさ。最近、やっぱりあるんだー、って思うようになったんだよ。そういう噂、多いから」
「うわさ? それなに?」
「2年前に起きた、隣街の中学校の女テニ部員の話。Aって人がBってライバルが邪魔で、色んなことをして退部とか不登校にさせようとしてたんだって。でもそれは、有り得ないレベルのミスが原因となって、成功直前で大失敗。Bを嫌われ者にしようとしたAが嫌われ者になって、謹慎からの転校っ。おまけに、そっちでもテニス部を辞めちゃったんだってさ」
「うぁ。謹慎転校、退部。きれーに返ってきてる」
「でしょ? それにSNSとかで調べてみたら、そういう『有り得ない形が原因となって、返ってきた』話が何百件もヒットしてるんだよ。これ、偶然起きたことだと思う?」
「ううん、思わない。それは流石に、信じるよ」
「だからきっと、さっき行ってたそういう人達も同じ目に遭う。それで最近改めて、悪いことは絶対しちゃ駄目って思ってるんだ。……それで、さ。ウチの小学5年生の方って、ほら。アレでしょ?」
「あ~うん。ガキ大将ポジで、友達引き連れてやんちゃしてるよね~」
「今までは何度叱っても直らなかったけど、その情報を全部見せたら反省したの。ビビりまくちゃって、今日からは正義の味方になってる――弱い者イジメする子を懲らしめて回ってるみたい」
「なんとも現金な理由でございますが、まー、あれですなー。それでも、イイ子になってよかったね」
「うん、そうなんだよ。SNS上にもそういう人が沢山いるみたいで、あとね、その噂と必ずセットになってる噂があるんだよ」
「ん~? なになに?」
「被害者――つまり、B的ポジにいる人だね。周りの人によると、その人達はすっごく綺麗な女の子と滅茶苦茶カッコイイ美青年に感謝してるんだってさ」
「へ~。じゃーさ。もしかして、その人達が助けてるとか?」
「そうかもって、思ってる。その人達は不思議な力があって、きっと罪のない人を助けてるんだよ」
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