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第12話 逆監視5日目 監視前(エリーナの告白) (1)
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「お父様、お母様、ミーシャ様やサニア様達――神殿の皆様は、何も悪くありません。悪いのは、自分です」
立ち上がって頭を下げた私は、4回首を左と右に動かしました。
「『この国とみんなは、私が護らなきゃ』、『私がちゃんとしないといけないんだ』、『私が堂々としていないと、皆が不安になっちゃう』。聖女となった時から、頭の中はそんな思いばかりになりました」
覚醒は、先代と入れ替わる形で発生するもの。この国の加護を維持できるのは自分しかおらず、その気持ちは殊更強く芽生えました。
「なので一日も早く歴代聖女のような聖女になれるよう、自分を厳しく律するようになりました。……ですが私にとっては、そこが間違いだったんですよね。独りで焦ってしまい、知らず知らず『頼ることは駄目なこと』と思い込んでしまっていました」
頼ることは、悪くないことなのに。周りには、こんなにも親身になってくれる人がいるのに。
勝手に思い違いをして、空回りを始めてしまいました。
「私が周りを拒絶するような雰囲気を出してしまっていたので、皆様がそうなってしまうのは至当です。ですので今し方申し上げましたように、そちらは何も悪くないのですよ」
当人が一切の手助けをできないようにしているのですから、皆さんは何もできるはずがありません。皆さんの判断、選択は、私が招いた必然的なものなのです。
「お父様、お母様、ミーシャ様、サニア様、全ての原因はこちらにあります。これまで想いを無下にしてしまい、今回のような状況を作り出してしまい、本当に申し訳ありませんでした」
《違うっ! 違うよエリーっ! それは違う!》
《あたし達は、それでも踏み込んでいかなければならなかったのよっ。貴女が頼れる空気を作らなければならなかったのっ!》
「御父様、御母様。あなた様方にも、責任はございません。こたびの責任はやはり、我々にあります」
「覚醒後に最も多くの時間を共にしたのは我々であり、我々は聖女を支える存在です。『外』ばかり支えてしまい『内』を疎かにしてしまった我々が、謝罪をすべきなのですよ」
間髪容れずお父様とお母様が首を振り、更に間髪容れずミーシャ様とサニア様が首を振ってくださいます。
《いえっ! 僕らはこの子の親ですっ。最も距離が近い僕らがちゃんと動いていれば、この子は気付けていましたっ!》
《その通りで、時間は関係ありませんよっ。お二人を含めた神殿関係者の皆さんは、本当によくやってくださっていますっ》
「とても有難い御言葉ですが、この場合『時間』は『関係』と同等でございます。肉体的な距離がある御父様と御母様には、限界がございますよ」
「接する機会が減れば減るほど、行動しにくくなってしまいます。いつもお傍に居た我々こそ、最も状況を変えられる人物でした」
「あのっ、お待ちくださいっ。どんなに動こうとしてくださっても、そもそも私は独りで壁を作ってしまっています。ですので何があっても結果は不変で、やはり非は自分にありますよっ」
私も続けてもう一度首を振って、そうしたら再びお父様とお母様が首を振り、それが終わるとミーシャ様とサニア様が首を振る。
そんな事が繰り返されて、私が二度目の否定をした時でした。
「いやいや、間違ってるのは全員っスよ。だってこれは、誰も悪くなんてないんスからね」
ちょっぴり高めで明るい声が響き渡り、ラズフ様がニッと笑いました。
立ち上がって頭を下げた私は、4回首を左と右に動かしました。
「『この国とみんなは、私が護らなきゃ』、『私がちゃんとしないといけないんだ』、『私が堂々としていないと、皆が不安になっちゃう』。聖女となった時から、頭の中はそんな思いばかりになりました」
覚醒は、先代と入れ替わる形で発生するもの。この国の加護を維持できるのは自分しかおらず、その気持ちは殊更強く芽生えました。
「なので一日も早く歴代聖女のような聖女になれるよう、自分を厳しく律するようになりました。……ですが私にとっては、そこが間違いだったんですよね。独りで焦ってしまい、知らず知らず『頼ることは駄目なこと』と思い込んでしまっていました」
頼ることは、悪くないことなのに。周りには、こんなにも親身になってくれる人がいるのに。
勝手に思い違いをして、空回りを始めてしまいました。
「私が周りを拒絶するような雰囲気を出してしまっていたので、皆様がそうなってしまうのは至当です。ですので今し方申し上げましたように、そちらは何も悪くないのですよ」
当人が一切の手助けをできないようにしているのですから、皆さんは何もできるはずがありません。皆さんの判断、選択は、私が招いた必然的なものなのです。
「お父様、お母様、ミーシャ様、サニア様、全ての原因はこちらにあります。これまで想いを無下にしてしまい、今回のような状況を作り出してしまい、本当に申し訳ありませんでした」
《違うっ! 違うよエリーっ! それは違う!》
《あたし達は、それでも踏み込んでいかなければならなかったのよっ。貴女が頼れる空気を作らなければならなかったのっ!》
「御父様、御母様。あなた様方にも、責任はございません。こたびの責任はやはり、我々にあります」
「覚醒後に最も多くの時間を共にしたのは我々であり、我々は聖女を支える存在です。『外』ばかり支えてしまい『内』を疎かにしてしまった我々が、謝罪をすべきなのですよ」
間髪容れずお父様とお母様が首を振り、更に間髪容れずミーシャ様とサニア様が首を振ってくださいます。
《いえっ! 僕らはこの子の親ですっ。最も距離が近い僕らがちゃんと動いていれば、この子は気付けていましたっ!》
《その通りで、時間は関係ありませんよっ。お二人を含めた神殿関係者の皆さんは、本当によくやってくださっていますっ》
「とても有難い御言葉ですが、この場合『時間』は『関係』と同等でございます。肉体的な距離がある御父様と御母様には、限界がございますよ」
「接する機会が減れば減るほど、行動しにくくなってしまいます。いつもお傍に居た我々こそ、最も状況を変えられる人物でした」
「あのっ、お待ちくださいっ。どんなに動こうとしてくださっても、そもそも私は独りで壁を作ってしまっています。ですので何があっても結果は不変で、やはり非は自分にありますよっ」
私も続けてもう一度首を振って、そうしたら再びお父様とお母様が首を振り、それが終わるとミーシャ様とサニア様が首を振る。
そんな事が繰り返されて、私が二度目の否定をした時でした。
「いやいや、間違ってるのは全員っスよ。だってこれは、誰も悪くなんてないんスからね」
ちょっぴり高めで明るい声が響き渡り、ラズフ様がニッと笑いました。
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