幸せじゃないのは聖女が祈りを怠けたせい? でしたら、本当に怠けてみますね

柚木ゆず

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第11話 逆監視5日目 監視前(神殿関係者2人の告白)

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『わたくしも――わたくし達神殿関係者も、同じです。ただただ、付き従うことしかできていませんでした』

 そんな言葉と共に一歩前に出たお二人は、俯きがちに私の瞳を見つめます。

「聖女様に関する問題は、ご本人しか分からない。我々は、聖女様の希望を果たすお手伝いをすればいい。ずっとそう信じ、そのために動いていました」
「思い返せば、エリーナ・ミウヴァとして接したことはありませんでしたよね。どんな時も、聖女エリーナとしていた……。一昨日ラズフ殿が作られたブリオッシュのお話を聞いて、遅ればせながらハッとしましたよ」

 あんなにも違いを感じた一番の理由は、根本的に違っていたから。あのパンにはエリーナ・ミウヴァへの思いやりが詰まっていたから、そう感じたのだと気付きました。
 サニア様は自虐含みでそう言の葉を紡ぎ、ラズフ様を一瞥します。

「あとで御本人からお話がありますが、『そのようなこと』に考えが及んだことさえありませんでした。全員が、固定観念に囚われていました」
「言い訳をさせていただきますと、お会いした当初はエリーナ・ミウヴァ様を心配をする気持ちがあったのです。ですがあまりにご立派に振る舞われるので、歴代聖女様と同じ対応でいいと思い込み……。次第に、そんな感情は薄れてゆき……。おかしな信頼と安心感を、持ってしまっていました」
「我々が行っていたことはご支援ではなく、丸投げ。力を持ってしまった幼い女の子に何もかもを判断させるという、残酷な真似をしていたのです」

 お二人は、衣の下部をギュッと握り締めながら。そして言葉に罪悪感を多く載せながら、口を動かします。

「殿下の暴言の際も、そうでした。『聖女様が判断されたのであれば、我々はそのお手伝いをしていればいい』。勝手にそう解釈して、殆ど配慮を致しませんでした」
「改めて客観視すると、奇妙な忠誠心です。いつしかそんな妙な状態が、当たり前になっていました」
「……我々はミウヴァ様、それに――。愛娘を託すこととなった、御父様と御母様にも謝罪をしなければなりません」
「この言葉で、これまでのご苦労等が消えはしませんが……。伝えさせていただきます」
「「申し訳、ございませんでした」」

 ミーシャ様とサニア様は、私、お父様、お母様へと3度深く腰を折り曲げ、顔を上げると――。今度は私が、皆さんに対して頭を下げます。

 皆さんのお言葉を聞いていたら、こちらにも言いたいことが生まれました。お父様、お母様、ミーシャ様、サニア様。お聞きください。










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