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第4話 大盛況なラング・ド・シャ(1)

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「一昨日はありがとうっ。約束通り来たよ!」
「あのパンケーキが、また食べたくなっちゃったの。特製スフレパンケーキ、お一つくださいな」

 翌日。美男さんの予想は、大当たり。オープンと同時に見覚えのある方々が来店してくださって、あっという間に満席になった。
 しかも――。

「大勢で押しかけてゴメンナサイ。あんなに幸せな気持ちになれるパンケーキは初めてで、ママ友に紹介しちゃいました」

「絶品パンケーキがあるんだよね? ママが言ってた~」
「ね~。今日はアタシたちも食べれるからね、朝から楽しみだったんだよ~」

 試食をしてくださった人が話を広めてくださっていて、初めましての方も沢山。そのおかげでなかなかお客様は途切れなくって、あたしは何度も嬉しい悲鳴をあげた。

「えっと、次に作るのは……。3番テーブル様の、特製スフレパンケーキとチョコバナナクレープっ。その次は、1番テーブル様のもちもちパンケーキとワッフルだね」
「「「「「「「「にゃ~。にゃ~?」」」」」」」」
「うん、気持ちのいい疲労だから大丈夫っ。心配してくれて、ありがとね」

「わぁ~、かわいい猫さんだ~。あなたは白猫さんの、シロさん。触ってもいい?」
「にゃぁ~」
「僕はこの、カッコイイ黒い子がいいーっ。クロ、おいでおいで~」
「うにゃ~」
((……シロとクロは、それが終わったら休憩してもらおう。入れ替わりで、サビとチャに出てもらって……。そろそろ、みんなのお昼ご飯を用意しないとだね))

 心を込めて作って、テーブルの様子を確認して、みんなの体調をチェックして、レジをして、テーブルの掃除をして。
 かなり慌ただしいけどウチは席数が少なめだし、『一から作るためお時間がかかります』や『看板猫は優しく接してあげてください』などなどのお願いを書いておいた。そのため比較的想定した通りに動けて、体力の消耗は少ない。
 今日は、午前9時から午後1時お昼休みになるまで、お昼休み後から4時半までは大忙しだったけど、これが毎日続いても大丈夫そう。継母達にこき使われたおかげ? で、体力もそれなりにあるのです。

「「「「「「「「にゃ~。うにゃ~」」」」」」」」
「みんなも、お疲れ様。今日の残りは、あと1時間。もうひと頑張りしようね」

 新鮮なお水をお皿に注いで、ナデナデ&ハグ。労いつつ美男さんみたいに癒しをもらっていたら、噂をすれば何とやら。

「邪魔をする。店主よ、今日は達成感のある顔をしているな」

 アドバイスをくださった『ラング・ド・シャ』初の常連さんが、カランコロンという音と共に来店されたのでした。



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