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第14話 3人を襲う新たな悩み~隣国の公爵様から手紙?~ ローラ視点(3)
しおりを挟む「じゃ、じゃあ……。じゃあ……っ。あたし達は、どうすればいいの……!?」
「……………………ナルテン様とニナ。2人の関係が発展しないことを――一度きりの接触となることを、祈るしかない……」
目を見開いてパパとママの顔を覗き込んでいたら、パパは大きく息を吐きつつ天を仰いだ。
「親しくない人間に、その手の話はしない。ニナがその話をしなければ、ナルテン殿は知りえない。そうだろう?」
「う、うん。そうだね」
「故に――。『実際に会ったら予想していた人とは違っていた』、『印象が違っていた』。そうなれば、我々は助かるのだよ」
確かに……っ。確かにそうだ……っ。
鉄槌を下されることも、嫁いで暴走する危険性もなくなるっ!
「直接言葉を交わせば、印象が変わる。それはよくある話だ。それに――。この件、こちらに勝算があるにはある」
焦りと動揺だらけだったパパの顔に、少し余裕が覗いた。勝算って……?
「ニナが乗り気なのは恐らく、相手が公爵の爵位を持っているからだろう」
「あちらとは一面識もないどころか、相手に関する知識すらなかったのだもの。そうなるわね」
顔も知らないのに、快諾したんだもん。絶対、それが狙い。
「とすれば無意識的に、そういった打算の色が表れてしまう可能性が高い。そして――。上級貴族になるほどに、それらの感情には敏感になるものだ。ということは?」
「ナルテン様が気付いて興味を失うっ! うんっ、うんっっ! それはあり得るコトだねっ!」
あたし達の希望的観測じゃないっ! この勝負っ、絶対に負ける勝負じゃないっ!
「『祈りは必ず届く』、この国にはそんな言葉があるっ。我々も失敗を祈り、危機を乗り越えようではないかっ!」
「ええ、あなた。わたくし達、ローラの3人で、力を合わせて道を切り拓きましょっ!」
「だねっ。パパ、ママっ。頑張ろっ!」
あたし達は仲良く拳を振り上げ、今日からは日課が一つ追加。1時間に1回、心を込めて大失敗を祈るようにしたのでしたっ!
あたし達はずっと、色んなことをしてきた。
でも。あたし達はあの日からず~っと、お姉ちゃん最優先で生きてるんだもん。
絶対に帳消しになってて、全部が上手くいくよねっ。
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